【D1GP】GRスープラの覚醒と中村選手の初優勝で盛り上がった最終戦オートポリス

D1グランプリ2019年シーズンの最終戦が11月2日(土)、3日(日)の2日間、大分県・オートポリスで行われ、斎藤太吾選手のGRスープラが単走優勝。追走は、今シーズンから参戦した中村直樹選手が涙の初優勝を飾りました。

練習走行をする中村選手(左)と斎藤選手(右)
練習走行をする中村選手(左)と斎藤選手(右)

この結果、シリーズチャンピオンは横井昌志選手が獲得し、2連覇を達成。波乱が波乱を呼んだオートポリス戦をレポートします。

シリーズランキングのトップ2名が予選落ちの波乱

ポイントランキング1位の横井選手に対して、松井有紀夫選手が7ポイント差、小橋正典選手が15ポイント差、藤野秀之選手が19ポイント差でチャンピオンシップを争う状況で迎えたオートポリス戦。事実上、横井選手と松井選手の一騎打ちに思われました。ですが、追走トーナメントの出場と組み合わせを決める単走で、両名ともチャンピオン獲得へのプレッシャーゆえかミスをし、予選落ちという波乱が起こります。

横井選手と愛車シルビアS15
横井選手と愛車シルビアS15
松井選手とRE雨宮チューンのFD3S
松井選手とRE雨宮チューンのFD3S

さすがの横井選手も「楽な気持ちで走ったハズなんですけれど。練習走行は上手くいっていたのですが……。すべてがダメな方に行きました」と、この事態に自身がもっとも驚いている様子。

その波乱の単走決勝で、今年の注目マシンの1台である斎藤選手のGRスープラが遂に覚醒! 2本目にメインストレートで時速194.79キロものスピードを出すと、そこから異次元ともいえる急角度のドリフトを魅せて101.1点と、唯一の満点越え。今シーズンの苦しみを一気に吹き飛ばす結果となりました。

斎藤選手と今年から投入したGRスープラ
斎藤選手と今年から投入したGRスープラ

練習走行から、これまでの不調を一気に吹き飛ばすかのような走りに、観客が大いに沸きます。これには普段ポーカーフェイスの斎藤選手も「気持ちよく走れました。来年のことはわかりませんが、活躍したいですね」と笑顔で喜びを語りました。

戦わずしてチャンピオンが決定!

翌3日に行われた追走トーナメント。シリーズチャンピオンのかかる横井選手が、小橋選手の準決勝進出と藤野選手の決勝進出が実現しないことをただ祈りならが戦況を見守る中、運命の時間がやってきました。

注目の小橋選手のベスト16対戦相手は中村選手。小橋選手にとって今シーズン勝ち越している相手なのですが、ここで小橋選手はコースアウトをする痛恨のミス。中村選手に敗れてしまいます。

中村選手(左)と小橋選手(右)の対戦
中村選手(左)と小橋選手(右)の対戦

残るは藤野選手。初戦の相手である内海彰乃選手を倒すと、次の相手は小橋選手のチームメイトでベテランの末永直登選手。しかし、ここでもプレッシャーからか、藤野選手はミスをしてしまいます。この瞬間、横井選手の2連覇が決定しました。

コースアウトをし、土煙をあげながらも走り続ける末永選手(左)と藤野選手(右)
コースアウトをし、土煙をあげながらも走り続ける末永選手(左)と藤野選手(右)
藤野選手の敗退が決まった瞬間、モニターには指を高々と上げた横井選手の笑顔が映し出された
藤野選手の敗退が決まった瞬間、モニターには指を高々と上げた横井選手の笑顔が映し出された

さて、観客の注目は、単走で活躍した斎藤選手が追走でも豪快な走りを魅せてGRスープラの初優勝を見せてくれるかの一点に絞られました。ですが、斎藤選手はベスト8戦の後追いでクラッシュ。対戦相手の北岡裕輔選手に接触して敗退してしまいます。

斎藤選手(左)と北岡選手(右)
斎藤選手(左)と北岡選手(右)
斎藤選手(奥)の接触により、弾き飛ばされる形でサンドトラップにクルマを止めた北岡選手(手前)。
斎藤選手(奥)の接触により、弾き飛ばされる形でサンドトラップにクルマを止めた北岡選手(手前)。

まさに波乱の展開となったオートポリス戦の決勝は、中村選手と末永選手の対戦に。ここで中村選手は持前の豪快なドリフトで圧倒し、中村選手はもちろんのこと、ヴァリノタイヤにとっても初となるD1優勝を飾りました。

中村選手(左)と末永選手(右)による決勝戦
中村選手(左)と末永選手(右)による決勝戦

勝った中村選手は、うれし涙を流しながら言葉にならない声で「こんなどうしようもない奴に、本当、皆さんありがとうございます」とファンの前で謝辞を述べ、会場につめかけたファンからは暖かい拍手が。優勝会見で中村選手は「本当はもっと早い時期に勝つつもりでした。ですが、時間がかかってしまって。来年のことはわかりませんが、同じ体制でできればうれしいです」と語りました。

勝ち名乗りを受け、ガッツポーズをする中村選手
勝ち名乗りを受け、ガッツポーズをする中村選手

2年連続のD1グランプリチャンピオンとなった横井選手は、「あまりスッキリとした形ではなくて、正直実感がわかないですね。祝宴が行われて実感するのかな」と複雑な心境を吐露すると「来年はニューマシンを投入して、3連覇を狙います」と、来年の勝利を誓いました。

左からシリーズポイント2位の松井選手、二連覇を果たした横井選手、そしてシリーズポイント3位の藤野選手
左からシリーズポイント2位の松井選手、二連覇を果たした横井選手、そしてシリーズポイント3位の藤野選手

D1グランプリは、2020年に20年目を迎えます。開幕戦は、4月25日(土)に聖地・エビスサーキットで行われます。その後、シリーズは5月に初開催の奥伊吹モーターパーク、6月に筑波サーキットと続き、ここ数年なかった関西地区での大会も2試合予定されておりますので、ぜひチェックしてみてください。

そして今年12月には、筑波サーキットでFIA公認の世界一決定戦「FIAインターコンチネンタル・ドリフティングカップ」が行われます。日本勢は、チャンピオンの横井選手のほか、初年度FIA統一王者で、今年GRスープラを駆る川畑真人選手、藤野選手、松井選手、小橋選手が参戦します。

川畑選手とGRスープラ
川畑選手とGRスープラ

横井選手は「日本を制して世界を制す」と意気込み、また松井選手も「自分の手で日の丸を高いところに掲げたい」と語っています。D1グランプリともども、日本勢の活躍に期待しましょう。

(取材・文・写真:栗原祥光 編集:木谷宗義+ノオト)

<関連リンク>
D1 GP
http://www.d1gp.co.jp/

[ガズー編集部]

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