平成元年に登場した今に残る人気車種。2019年に30周年を迎える国産車たち
今から30年前の1989年と言えば、1月7日に昭和天皇が崩御なされ、昭和から平成へと元号が変わった年です。平成となってからは4月に任天堂から携帯ゲーム機である「ゲームボーイ」が発売されたり、映画では『バックトゥザフューチャー』『ゴーストバスターズ』といった有名作品の2作目が公開されたりしました。今回は、そんな平成元年にデビューした国産車を振り返ってみましょう。
ユーノス(マツダ)ロードスター
デビュー30周年を記念したアニバーサリーモデルがメーカーから発売されたことからも、ご存知の方は多いと思いますが、日本のみならず世界中で愛されている小型オープン2シーター車であるロードスターがデビューしたのも1989年のことでした。
当時マツダが新たに立ち上げた販売チャネルである「ユーノス店」の目玉車種という役割も果たしており、同年9月のユーノス店の開店と同時に発売されたモデルでもありました。
エンジンやミッションなどは他車種にも搭載されたものを流用してコストを下げながらも、専用設計のボディや足回りなど、スポーツカーとして大切な部分はキッチリと作り込まれたロードスターは、長らく新型車が登場しなかったオープン2シーターというジャンルに新風を吹かせ、他メーカーから同様の車種が登場するきっかけともなった偉大な日本車の1台と言えるでしょう。
スバル レガシィ
スバルの基幹車種だったレオーネの後継モデルとして、1989年2月に発売がスタートしたレガシィ。レオーネ時代と同じく4ドアセダンも設定されていましたが、やはりここで紹介したいのは「ツーリングワゴン」と名付けられたステーションワゴンでしょう。
当時のステーションワゴンと言えば、商用のライトバンと車体を共用されることがほとんどで、どちらかというと商用車の延長線上にあるクルマというイメージがありました。しかし、レガシィツーリングワゴンでは商用タイプを用意せず、さらに2リッターターボエンジンを搭載したグレードを用意するなど、“速いワゴン”という新たなイメージを構築したモデルだったのです。
また、セダンモデルも10万km耐久走行における走行平均速度223.345km/hという当時の国際記録を樹立したり、93年の世界ラリー選手権、ニュージーランドラリーで優勝を飾ったりと、スポーツセダンとしての性能も一級品でした。
トヨタ セルシオ
日本国内におけるトヨタのフラッグシップカーとして君臨するクラウンとは別に、新たにトヨタが展開する高級車ブランド「レクサス」のフラッグシップカーとして開発されたLS400。当時の日本向けの高級車だったクラウンとは異なり、世界の名だたる高級車と戦うために作られたLS400は、当初日本での販売を予定していなかったと言われていますが、折からのバブル経済も相まって「セルシオ」という名前で国内販売されることになったのです。
搭載されるエンジンは新開発のV8 4リッターの1UZ-FE型エンジンで、豊かなパワーとトルクはもちろん、驚くべきはその静粛性でした。当時、アメリカのCMでは、ローラー上に置かれたLSのボンネットの上にグラスタワーを設置し、その状態で220km/hオーバーまで加速させてもグラスタワーが倒れない、という映像を使用していたほどなのです。
その完成度の高さから、ライバルとなる欧州の高級車メーカーもこぞってLSを買いそろえ、徹底的な研究をしたという逸話が残っているほどで、日本車は安くて壊れないけど高級感はない、というイメージを一変させたモデルと言えるでしょう。
いすゞ ミュー
ミステリアスとユーティリティの頭文字を取って「Mu(ミュー)」という名前が付けられたいすゞのSUV。デビュー当初は、ピックアップトラック的なキャラクターを持っており、荷室部分に跳ね上げ式樹脂カバーで覆った「ハードカバー」と、幌を被せて貨客兼用とした「ソフトトップ」というラインナップでした。
ハードカバーは3ナンバー登録で定員2名の乗用車、一方のソフトトップは、1ナンバー登録で2/4名乗車の商用車という差別化もなんともミステリアス。さらにデビュー当初はATが用意されず、5速MTのみというラインナップとなっていたのです。
90年には荷台部分に鉄製のメタルトップを装着し、4人乗りのSUVワゴンとしたグレードやディーゼルエンジン搭載車を追加。95年にはロングホイールベース化され、5ドアとなったミュー・ウィザードも登場するなどワイドバリエーション化をし、1998年まで販売が続けられました。
今回は登場から30年が経過したモデルをご紹介しましたが、残念ながら日本国内向けはバスやトラックなどの商用車のみとなっているいすゞ以外の3車種は現在でも現行モデルが存在する人気車種となっています。今年登場した新型車の中にも、30年後も人気の中心にいられるモデルは存在するのでしょうか?
(文:小鮒康一 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
[ガズー編集部]
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