100年蓄積した資料と技術でレストアする「ヤナセ クラシックカー センター」
ヤナセと言えば、メルセデス・ベンツやキャデラックを始め、世界各国のクルマを古くから輸入・販売していた輸入車のオーソリティ。そのヤナセに、クラシックカーを蘇らせるレストア工場があります。横浜市都筑区にある「ヤナセ クラシックカー センター」です。
若い世代へ技術を受け継ぐ拠点に
ヤナセ クラシックカー センターは、2018年4月にスタートしました。ヤナセ クラシックカー センター部長の片岡浩一さんにお話を伺うと、設立の背景には「古き良きクルマのメンテナンスを伝承していきたい」という想いがあったと言います。
「私たちヤナセは、輸入車を長く取り扱っており、古いクルマの癖をよく知るベテランメカニックも多くいます。しかし、彼らもそろそろ引退を考える時期。このままでは、私たちが販売してきたクルマのメンテナンスが出来なくなってしまいます。そこで、各地のヤナセディーラーから、古いクルマを得意とするベテランメカニックと、その技術を受け継ぐ若いメカニックを横浜に集め、「ヤナセ クラシックカー センターを設立しました」(片岡さん)
長年、乗り続けているお客様からの声に、ディーラーでは対応し切れない場合が増えてきたことも、ヤナセ クラシックカー センター開設のきっかけとなったそうです。
「古いクルマに詳しいメカニックが少なくなり、お客様が大切にしているクルマの整備ができないことが増えてきました。そのような時は『◯◯のディーラーならこのクルマを診られるスタッフがいます』とご案内することもあったのですが、近年では『このクルマが得意なメカニックはどこにいますか?』という問い合わせが増えてきたため、横浜に集約する形となりました」(片岡さん)
当時の資料や特殊工具を持っている強み
ヤナセは、輸入車の取り扱いを開始して100年以上になります。歴史あるヤナセだからこその強みが、ヤナセ クラシックカー センターでは生かされているそうです。
「メルセデス・ベンツ日本株式会社のように、海外メーカー各社が日本法人を設立したのは1980~1990年代ですが、私たちは1915年のヤナセ創業以来、輸入車を取り扱っているため、当時のサービスマニュアルなどの資料も充実しています。また、当時から使用しているテスターや特殊工具なども所有しています。当時に近い環境で整備ができる工場は、ほかにないでしょう」(片岡さん)
長く携わっていた強みは、部品調達の面でも発揮されます。
「以前からつながりがあったルートはもちろん、海外のクラシックカー専門の部品販売会社やオーバーホールを得意とするリビルト業者などとのネットワークも開拓し、修理時に『部品がない』ということは、少なくなってきました」(片岡さん)
マイナー車や旧車の修理・メンテナンスでは、たびたび「部品がない」という事態に遭遇するもの。部品が調達できることは、高い安心感につながります。
オールドタイマーもヤングタイマーも
古い輸入車のオーナーにとって心強い存在のヤナセ クラシックカー センターには、どのようなクルマがやってくるのでしょうか?
「基本的には、30年以上前に製造されたオールドタイマーから、約20年前に作られたヤングタイマーまで、ヤナセで販売していた車種ならば受け入れる体制が整っています。中でも多いのは、やはりメルセデス・ベンツですね」(片岡さん)
長い年月が経過しているクルマは、その扱われ方によって大きな個体差があるものですが、当然そうした点にも注意しながら整備してくれます。
「お預かりする時は、必ず注意点をお客様に伺っています。例えば、パワーウィンドウを全開にしてはならない、といったことが個体によってあります。オーナーの方しか知らないそのクルマのウィークポイントはしっかりヒアリングして、必ず守るようにしています」(片岡さん)
どんな輸入車でも相談できる
取り扱いは、過去にヤナセが輸入・販売してきた車種が基本ですが、併設の板金塗装工場は多くの輸入車のメーカー認定板金塗装工場を有していますので、輸入車のインポーターとの接点もあります。どんな輸入車でもまずは相談してくださいとのこと。古い輸入車をお持ちで、整備で困ったことがある方は、相談してみてはいかがでしょうか?
ヤナセ クラシックカー センターに入庫されているクルマを見ると、ちょっとした博物館のようなラインナップでした。こうしたクルマが集まってくるのは、ヤナセ クラシックカーセンターの技術と信頼の証でしょう。長くクルマを愛するオーナーのために、その技術を伝承していってほしいものですね。
(取材・文・写真:西川昇吾 編集:木谷宗義+ノオト)
ヤナセクラシックカーセンター
https://yanase-classic.com/
[ガズー編集部]
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