子どもたちに楽しく交通安全指導を! 10年以上続く「JAF交通安全ドレミぐるーぷ」活動の取り組み

小さい子どもたちの命を守るため、JAFは「JAF交通安全ドレミぐるーぷ」を各地で結成し、全国の幼稚園や保育園を訪問して、交通安全指導を行っています。この取り組みについて、札幌支部のドレミぐるーぷを取りまとめる、JAF事業課事業係兼交通環境係の北川和春さんにお話を聞きました。

岡山県から始まった「JAF交通安全ドレミぐるーぷ」

――JAF交通安全ドレミぐるーぷの活動はいつから始まったのですか?

JAF職員や警察署の方などと一緒に交通ルールをわかりやすく子どもたちに伝える方法はないかと考え、JAF岡山支部にて「JAF交通安全ドレミぐるーぷ」(以下、ドレミぐるーぷ)の前身である「ミュージックキャラバン」の活動を始めました。その活動を視察した当時のJAFの会長が、これを全国に広げようと声をかけた結果、2007年4月から各地でドレミぐるーぷが誕生しました。

ドレミぐるーぷの公演は、すべて各地にあるボランティアグループが行っています。子どもたちに楽しく交通安全について学んでもらうため、音楽の演奏や演劇、紙芝居などを取り入れて公演しているのです。

公演の企画、機材の搬入搬出まで、全てボランティアグループの手で
公演の企画、機材の搬入搬出まで、全てボランティアグループの手で

ここ札幌では、2007年9月に6人のボランティアによって「第Ⅰぐるーぷ」が結成されました。メンバーは、エレクトーンやお琴の先生といった音楽のプロフェッショナルの方々と、着ぐるみの「犬のじゃふ君」を演じる会社員の方などで構成されています。現在は、声楽やピアノの先生たちによる「第Ⅱぐるーぷ」も活動中。今年2019年は、4月から12月初旬(通常は11月下旬)までの期間に2つのグループ合わせて全21回の公演を行っています。

音楽や演劇で子どもたちを集中させて大切なことを伝える

――音楽や演劇などを取り入れているのはどうしてですか?

ステージ上で行う公演は、通常30分間です。その後、公演で覚えたルールを体験するために、模擬横断歩道を子どもたち全員に渡ってもらう、という構成になっています。

このときの課題が「いかに子どもたちに集中して公演をみてもらうか」です。その対策として、音楽や着ぐるみ、クルマのパネルなどで工夫し、覚えてもらいたい交通ルールを楽しみながら学んでもらえるような仕掛けにしています。

最後に締めくくりとして子どもたちに渡ってもらう横断歩道。信号機や押しボタンは本物
最後に締めくくりとして子どもたちに渡ってもらう横断歩道。信号機や押しボタンは本物

――内容は全国的に決まっているのですか?

伝えるべき交通ルールなどはある程度決まっていますが、公演の内容や構成は全てそれぞれのドレミぐるーぷにおまかせしています。

設営を行いつつ、園の先生も交えて入念な打ち合わせを
設営を行いつつ、園の先生も交えて入念な打ち合わせを

札幌の「第Ⅰぐるーぷ」ではオリジナルの「JAFのうた」で始まり、「アイアイ」など子どもたちにおなじみの手遊びを何曲か一緒にやります。子どもたちがのってきたところで、「どんな色が好き」で信号色を知ることへ誘導し、「さんぽのうた」を演奏しながら、どんなことをしたら危険かを伝えていきます。

「どんな色が好き」で信号の色を確認
「どんな色が好き」で信号の色を確認
「さんぽのうた」に合わせて危険なシーンを再現しながら、交通ルールを伝える。「右見てー、左見て―」
「さんぽのうた」に合わせて危険なシーンを再現しながら、交通ルールを伝える。「右見てー、左見て―」
この日欠席の犬のじゃふ君に替わって、ひかりのこ いしかりの木皿玄造先生が熱演
この日欠席の犬のじゃふ君に替わって、ひかりのこ いしかりの木皿玄造先生が熱演

楽しいノリと一緒に交通安全意識が根付くように

――普段見たことのない楽器もたくさん出てきて、子どもたち、とっても楽しそうですね。

音楽はプロの方が演奏しますので、一流です。お琴やパーカッションなども普段の生活ではなかなかお目にかかれない楽器なので、子どもたちや保育士の方々にも喜ばれています。

普段はエレクトーンやお琴の先生をしているメンバーの皆さん。MCの方はドラムサークルのファシリテーターもしているそう
普段はエレクトーンやお琴の先生をしているメンバーの皆さん。MCの方はドラムサークルのファシリテーターもしているそう
普段見たことのない楽器の数々に子どもたちは夢中
普段見たことのない楽器の数々に子どもたちは夢中

交通安全の意識を持つのは大切なことではありますが、ただ一方的に教えるだけではなかなか子どもたちに定着はしてくれません。そこで、私たちドレミぐるーぷでは、子どもたちが「楽しい!」 と感じながら、「交通事故にあわないためにはどうしたらよいか?」を覚えてもらうということを柱に活動をしているのです。

「パプリカ」にノリノリの子どもたち
「パプリカ」にノリノリの子どもたち
最後にもう一度パネルで復習
最後にもう一度パネルで復習

先生方へのアンケートで「子どもたちが教室に戻ってから、公演の中でやっていた交通ルールの話をしていた」という声も数多くありますので、子どもたちに交通安全意識を残せているのではないかと感じております。

また、先生方からも、「最後に横断歩道を渡る練習をすることができて、今後、散歩に行く時の参考になった」などという言葉をいただけると公演のやりがいが増大します。

――幼稚園や保育園に公演に来てほしい場合はどうしたらよいですか?

札幌支部では冬期間は雪による交通事情もあるため、公演は受けつけていません。4月までのお休みの間に次年度の受付をしています。

全てボランティアの方による活動なので公演回数をあまり増やせないため、これまで公演してきた園やそういった園からご紹介のあったところを中心にご案内を出す形になっております。でも、お問合せくださり、予定が合いましたら訪問させていただきますのでお声がけいただければと思います。

音楽や演技など公演の楽しさには自信がありますが、やはり、あくまでも交通安全について伝えるための公演です。その辺りをご理解の上、ご依頼いただけますと非常にうれしいですね。

子どもたちが音楽に目を輝かせ、体全体で夢中になり、スムーズに交通ルールを学ぶ場面へ入る様子は見事でした。このような活動を通して、しっかり子どもたちの中に交通安全の意識が根付き、悲しい事故が減ってくれることを願ってやみません。

JAF交通安全ドレミぐるーぷの活動は全国各地で行われています。詳しくはJAFのウェブサイトでご確認ください。

<取材協力>
JAF札幌支部 ドレミぐるーぷ事務局
011-857-7155(受付・平日9:00~17:30)
https://jaf.or.jp/about-us/csr/traffic-safety-doremi

(取材・文・写真:わたなべひろみ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]

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