世界的なブーム到来。新時代のシェアモビリティ・電動キックスケーターにトライ
近年、都心の街角ではシェア自転車をみることが珍しくなくなってきました。一駅ぐらいの区間や駅から離れた場所に行くときにちょっと乗れるのが非常に便利です。
シェア自転車は一時期、世界的なブームになったのですが、実はそのブームは過ぎ去り、次のトレンドが来ています。それが電動キックスケーターです。セグウェイなどと同じく低速モビリティにカテゴライズされる電動キックスケーターは、すでにアメリカやドイツなど複数の国で商用でのシェアリングサービスがスタートしています。
今回は仕事でベルリンに行く機会があったので、実際に試してみました。利用したのはアメリカで最初にサービスをスタートした電動シェアスクーター「Lime(ライム)」です。サンフランシスコを皮切りに、現在は世界中でサービスが提供されています。
ベルリンでは、主要な駅の前やバス停近くに「Lime」をはじめとした電動シェアスクーターが並んでいました。
- ベルリンでは「Lime」以外に「TIER」というブランドもシェアリングサービスを行っていました。
使い方は非常にシンプルです。スマートフォンに「Lime」アプリをインストールして、ユーザー登録して、クレジットカードを入力するだけ。iPhoneの場合はApple Payが利用できました。
QRコードを読み取って走行。利便性は高いけど……
アプリの登録が完了したら、角に置いてある「Lime」のハンドル部分にあるQRコードを読み取り、認証します。後は右のハンドル部分についているアクセルレバーを倒すだけで走り出す仕組みです。
- 「Lime」アプリの画面。地図上で探せる仕組み(左)。予約も可能(中)。走行が終わると自動的にチャージされる(右)。
ベルリンでの「Lime」の走行スピードは最大約20km/h。歩道などは10km/h前後で走ることが多かったです。ホテルから最寄り駅までの約600mをなんどか「Lime」で走りましたが、5分以内で着くので非常に快適。電車を待ったり、バス停まで歩いたりといった手間を考えると利便性も高いです。
その反面、走行料金は割高です。
「Lime」はロックの解除に1ユーロ(120円)かかり、さらに1分ごとに0.20ユーロかかる仕組み。つまり5分乗るだけで2ユーロ(約240円)掛かるというわけです。タイミングよく「Lime」があれば、目的地の前までピンポイントで乗れる点は便利ですが、この割高感は気になりました。
その乗り心地は? 乗って気づいた長所と短所
肝心の乗り心地ですが、走り出しこそゆっくりで、トルクのなさを感じますが、アクセルレバーを数回押したり、地面を蹴って加速を手助けしたりしてあげると、その後はするするとスムーズに走り出します。
クルマのいない車道などを走るときはかなり快適。10km/h以上のスピード出すと安定性が増します。逆にスピードを抑えると、小回りもきき、障害物もすいすいと避けられました。スピードはアクセルレバーでコントロールできます。
- フロントフォークにはわずかながらサスペンションもありますがギャップや石畳のショックはダイレクトでした。
ただし、タイヤが小さいのでギャップには弱く、車道から歩道に登るときなどはしっかり減速しておかないとガツンと衝撃を受けます。また、カーブミラーなどがないため、後ろからクルマに接近された時などに気づきにくく、近接した状態でクラクションを鳴らされるといったこともありました。
ベルリン市内はそれほど交通量が多くないので、危ないシーンはあまりありませんでしたが、東京のような交通量の多いところで走るのはかなりリスクがありそう、という印象です。
ベルリン滞在1週間の間、「Lime」にはトータルで10回以上乗りました。短距離の移動には確かに快適です。ただし、長距離となるとちょっと難しいところ。クルマ通りの多い道は走るのが怖く、また、繁華街などは歩行者が多くてスピードが出せません。時間制課金なので結果として割高になってしまいます。
- ベルリンではいろんな場所に乗り捨てされていました。夜中に回収して駅前などに置き直しているようです。
電動シェアスケーターは、ピンポイントの短距離移動には向きますが、中長距離の移動はバスや電車などの従来の交通機関が向く印象です。駅から駅は電車で移動し、目的地までのラストワンマイルを電動シェアスケーターで移動するという使い方が向くようです。
日本での展開の可能性は?
電動シェアスクーターの最大手である「Lime」はアメリカの各主要都市で乗れるだけでなく、その他世界30カ国でサービスがスタートしています。
- 韓国を始め、アジア圏でも普及が始まっています。
日本ではKDDIが「Lime」に出資しており、日本国内での実証実験なども既に行われています。ただし、ハードルは決して低くはありません。
日本では現状の電動キックスケーターは、法規上、原付バイクの扱いになるため、原付免許が必要な他、ヘルメットの着用なども義務付けられます。海外のような手軽な乗り物にはなりにくいのが難しいところです(ベルリンでもヘルメットの着用が推奨されています)。また、車体自体にも様々な保安部品を取り付ける必要があるため、海外に比べると高コストな運用となりそうです。
日本ではセグウェイが登場したときに厳しく規制され、海外のように有効に活用されなかったという過去があります。現在、電動キックボードなどの新たな「低速モビリティ」を、既存の乗り物とは異なる新たな枠組みで扱うための議論が進んでいます。
電動キックスケーターが、電動自転車の延長線上で気軽に乗れる、新たな枠組みの乗り物になれば、大きく普及する可能性がありそうです。
(写真・取材・文:コヤマタカヒロ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
[ガズー編集部]
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