ホンダ・シティターボも。タイのモーターショーに出かけたら日系メーカーのコンパクトセダン祭りでビックリ

サワディカーップ!

本格的に冬入りした日本を飛び立って出かけた、タイランド。ここは東南アジア最大の自動車生産国です。そんなタイの首都バンコクの近郊で11月末からおこなわれたのが「タイモーターエクスポ」というモーターショー。出かけてみて驚きました。なんと、日系メーカーによるコンパクトセダンの新車ラッシュだったのです。今日はその様子を紹介しましょう。

世界初披露されたセダンの名前が懐かしい

ホンダはショー開幕直前にフルモデルチェンジした新型セダンを、モーターショー会場で一般へ披露。実質的な世界初公開です。

名前は、なんと「シティ」。80年代に日本で大ヒットしたクルマの名前ですが、タイではコンパクトセダンに使われているのだから意外ですね。このシティはいわば「フィット」のセダン版。日本で「グレイス」として売っているモデルの新型というわけです。でも、新型フィットとはぜんぜんデザインが違いますね。エンジンは122psを発生する1.0Lのターボを搭載。

三菱ミラージュは、日本仕様に先立って新しい顔つきに

三菱のコンパクトカー「ミラージュ」がフロントのデザインを刷新。ダイナミックシールドと呼ぶ、三菱の最新スタイルに生まれ変わってこのショーで初公開です。

目つきがキラキラになって上級感が増した印象。なかなか似合ってますね!

「アトラージュ」という名前の、日本では売っていないセダンもあります。

タイのマツダ2はハッチバックだけじゃなくてセダンもある

この夏、日本でも大掛かりなマイナーチェンジを施すとともに「デミオ」から車名を変更した「マツダ2」。タイでも日本に続いてマイナーチェンジを受けてショーでお披露目されました。

日本人として驚くのは、タイにはセダンも存在すること(日本では教習車を除きハッチバックのみ)。ステージの上にはセダンだけを置くなど、セダンのほうがメインの扱いのようですね。

日産も新型のコンパクトセダンをお披露目

フルモデルチェンジだけあって、なかなかスタイリッシュなデザインの「アルメーラ」。実は旧型は「ラティオ」として日本でも販売していた“マーチのセダン”だったのですが、ずいぶんと立派になりました。圧倒的な高級感でライバルに勝っていますね。

そんなスタイリングだけでなく中身も自慢。なんと、ひとクラス上の車格用に開発したプラットフォームを採用しているのです。ライバルよりもゆとりのある構造で、操縦性やハンドリング差をつけるという狙いということでしょう。

せっかくなので、後ろ姿もお見せしましょうか。

このクラスとしては伸びやかでカッコいいなあ。エンジンは1.0Lの3気筒ターボです。

どうして、タイでコンパクトセダンに力を入れるの?

タイモーターエクスポの会場は、こうして日系のコンパクトセダン祭り状態。フルモデルチェンジとマイナーチェンジという違いがあるとはいえ、新型が4台も出そろったのは偶然? もちろんそうではありません、各社ともモーターショーのタイミングに新型の発表をあわせたのです。

ところで、どうしてコンパクトセダンに力を注ぐのか? 世界各地で「セダン離れ」と言われる昨今ですが、実はタイは例外のようですね。その理由は「都市部で新たにクルマを買う若者の増加」。

これまでタイでは税金の安さもあってピックアップトラックが主流でしたが、都市部の若者はそれを好みません。しかも、物価は日本よりも安いのに新車価格は日本よりも高いので、無理をしてクルマを買うことになります。だから安いコンパクトカーを選ぶのですが、そこは見栄っ張りなタイの国民性。ハッチバックよりも車体が大きくて見栄えがいいという理由でセダンを好むのだそうです。

それから、クルマを使い倒すので荷室の広さを求め、またドリアンなど匂いのきつい食べ物も気兼ねなく運べるようにとセダンを選ぶ実用面からの選択もあるのだとか。

そんなクルマ選びの背景にも、国民性が出ていて面白いですね。

「ヤリス」だけど日本と違う!

ここからは、会場で見かけた“日本では見かけないトヨタ車”を紹介しましょう。

まずは来年の春に日本で販売が始まる新型車「ヤリス」。ところがタイに来てみると、同じ名前でもクルマが違うじゃないですか!

実はこのヤリスはアジア向けのヤリスで、日本や欧州のヤリスよりもひとまわり大きいのです。まさに、ところ変われば……。

カローラには「GRスポーツ」が用意されていた

「カローラアルティス」と呼ぶタイの新型カローラには、なんとスポーツグレードの「GRスポーツ」が用意されています。日本にはないのに!!

このクルマはなんと現地の「GAZOO Racing Thailand」が開発した初の市販車なのだとか。日本の「GRスポーツ」がこだわっているボディ補強やサスペンションチューニングに関しては特に説明がありませんが、エンジンは現地の標準仕様カローラ(排気量1600cc)に対して1800ccを搭載。高出力になっているのでした。スタイリングもスポーティですが、日本のように無骨な雰囲気ではなく、プレミアムな仕立てですね。このデザインのカローラを日本でも売ったら、人気が出そうな気がします。

なんと“ニュル仕様”。C-HRも凄いことに!

このC-HRは、まさかのニュル仕様。GAZOO Racing Thailandは、世界一の草レースともいわれるドイツの「ニュルブルクリンク24時間耐久レース」にタイのチームとして独自に参戦。そこでクラス優勝したことを記念したパッケージオプションが装着されているのです。

肝心の特別装備内容は、エアロパーツと専用ステッカー……! あれれっ? ニュル仕様だというのに走りに関する部分は変わっていません! でもいいんです。タイではまず見た目が大事ですから。

ちなみにパワートレイン、日本未導入のハイブリッドではない1.8L自然吸気です。

(文:工藤貴宏 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]

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