冬休みこそ絵本の中で自由にドライブ!親子で読みたいクルマが登場する絵本
絵本の中では、冬もクルマたちが元気に活躍中! 帰省中の楽しみに、冬の贈り物に、子どもも大人も一緒に楽しめる、クルマの絵本をご紹介します。
1、白い雪に映える赤いトラクターが大活躍!『はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー』
雪が降ったら、雪だるまを作って、かまくらを作って、雪合戦をして……と、つい浮かれてしまいます。でも、誰も身動きが取れないほど、どっさり積もってしまったら?
- 『はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー』 バージニア・リー・バートン 作・絵 石井桃子 訳 福音館書店刊
『はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー』 は、じぇおぽりすという町が舞台。道路管理部で働く赤いトラクターの「けいてぃー」は、いろいろな仕事をしています。部品を付け替えて、夏はブルドーザー、冬は除雪車に。力の強いけいてぃーは難しい仕事ほど頑張ります。
でも、ほんの少しの雪では「けいてぃー」の出番はありません。ある日、朝から降り始めた雪は積もりに積もり、じぇおぽりすの町をすっぽりと覆い、誰も動けなくなってしまいます。こうなったら「けいてぃー」の出番! 真白い雪の中をどんどん進んでもくもくと除雪していく「けいてぃー」を応援せずにはいられません。
額縁のようにメインの絵を囲んで描かれたページデザインも見どころ。「けいてぃー」や仲間のクルマたちの生き生きとした表情にも注目です。
2、ちょっとなつかしい冬の光景を行き来するクルマたち『ゆきのひ』
山間の村で雪が降り始めました。ひらひらと舞う雪は、やがてしっかりと積もります。
- 『ゆきのひ』 加古里子(かこさとし) 作・絵 福音館書店刊
降り始めた雪のひやりとしたはかなさや校庭に積もった雪で思い切り雪玉を投げ合う雪合戦。町の道路には、融雪のために温水が流れ、水音を立てながらクルマが行き来します。
絵本『ゆきのひ』は、ページをめくるたび、雪国出身の人にはなつかしく、雪の記憶がない人には憧れを抱かせるような光景が広がります。加古里子の目を通して切り取られた雪の日のクルマの様子も丁寧に描かれていますので、ゆっくりと時間をかけて味わってみて下さい。
3、1年中クリスマスだったらいいのに!『はたらくくるまたちのクリスマス』
次にご紹介する2冊はクリスマス時期にぴったりの絵本ですが、冬の日に読むと心がほっこりと温まりますので、ぜひ。
- 『はたらくくるまたちのクリスマス』 シェリー・ダスキー・リンカー 作 AG・フォード 絵 福本友美子訳 ひさかたチャイルド刊
『はたらくくるまたちのクリスマス』 というタイトルにあるように、この本の主役は工事現場で朝から晩まで大活躍の働くクルマたち。今年最後の工事を無事、間に合わせることができたクリスマス・イブの帰り道、クルマたちはとてもうれしいプレゼントに気づきます。
一生懸命働いたら。頑張ってお片付けや勉強をしたら。そんな頑張りをちゃんと誰かが見ていてくれる――お互いがお互いを労わりあい、優しくする気持ちにホッとする1冊です。
4、家族みんなでたまにはバスに乗ってみる?『バスでおでかけ』
- 『バスでおでかけ』 間瀬なおかた 作・絵 ひさかたチャイルド刊
物語では、家族4人でバスに乗っておでかけします。どこに向かっているのかお父さんは教えてくれません。バスに乗っているとだんだん雪が降ってきて、次第に景色は真っ白になっていきます。
ブロロン ブルン
スケートリンクに動物園にデパート。子どもたちが行ってみたいところにバスは停車しますが、ここは目的地ではありません。
プシュー パタン
ブルブルブー
と、バスはまだまだ進みます。雪はさらに積もってきました。さて、バスはどこまで行くのでしょう。
しかけ絵本の楽しさと画面のすみずみまで描かれた人々の動きがとても細やかで何度も開いてみたくなる絵本です。
5、こんなクルマに乗ってみたい!『すごいくるま』
パパのクルマは一見、どこにでもありそうな黄色い小さなクルマですが……。
- 『すごいくるま』 市原淳 作・絵 教育画劇刊
ブランコになったり、ながーい足で悠々と歩いたり、海の中に潜ったり。北極ではツルツル滑る氷の上でもへっちゃらなのです。
寒くてつい外出するのがおっくうになってしまうこんな時期、自由自在に形を変える楽しいクルマで想像ドライブもいいかもしれません。
6、時代と歴史を感じさせるクルマ『やまとゆきはら 白瀬南極探検隊』
最後にご紹介するのは、日本人で初めて南極に足跡をしるした白瀬矗(しらせのぶ)の記録です。
- 『やまとゆきはら 白瀬南極探検隊』 関屋 敏隆 作・絵 福音館書店刊(版元品切れ)
白瀬が南極に向かったのは、今から100年以上前の1910年11月29日のことです。漁船に鉄板を貼り、小さなエンジンを取り付けただけという帆船で、カラフト犬たちを連れ、南へと向かいます。しかし、日本からの出発が遅れたため時期が悪く、一度日本へ引き返さざるを得ませんでした。
一時帰国をした時の画面を良く見てみて下さい。クラシックな形のクルマが何台か描かれています。
クルマさえもまだ珍しい時代に南極探検を志し、過酷な環境の中で再びの挑戦。そして、犬たちの世話をし、サポートに尽力したカラフトアイヌの隊員山辺安之助(やまべやすのすけ)、花森信吉(はなもりしんきち)たちの冒険が力強い筆致で描かれています。
現在、4代目の南極観測船として活躍している船の名前は「しらせ」といいます。今も日本と南極を、南極地域観測隊を運ぶために往復しているのです。
寒い冬も、心は絵本の中のクルマたちと一緒に自由に走り回われるといいですね。このほかにも心踊るクルマ絵本はまだまだあります。お気に入りを見つけてください。
(選書・文:わたなべひろみ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
[ガズー編集部]
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