超精密な高級スケールモデル「アマルガムコレクション」の世界
一般的にミニチュアカーと言えば、数百円から数千円です。しかしスケールモデルカー(以下モデルカー)の世界は奥が深いもの。中には、100万円を超える超高級モデルカーも存在します。
イギリスの「アマルガムコレクション」も、超高級モデルカーを作っているブランドのひとつ。高額なモデルカーは、どんなところが違うのか? 日本のアマルガムコレクションの代表を務める、玉虫清孝さんにお話を伺いました。
――アマルガムコレクションとはどのようなモデルカーなのでしょうか?
アマルガムコレクションは、1985年にイギリスで誕生したブランドで、4名のモデルカー職人と建築士が、双方の技術を総動員して「今までにないモデルカーを作ろう」というコンセプトでスタートしたものです。1/8スケールがラインナップの中心となっていて、その価格は100万円を超えるものがほとんどとなっています。ただ単に高額なだけでなく、細部までこだわった作りが特長で、海外ではモデルカーの枠を超え、工芸品のような扱いを受けています。実際に評価も高く、フェラーリ社をはじめとするスーパーカーメーカーから公認を受け、自動車メーカーがオーナーやレーススポンサーに贈るギフトにも用いられています。
――その「こだわり」を具体的に教えてください
実際の自動車を作るのと同じプロセスで作られていて、実車をそのまま小さくしたかのように出来栄えは精巧です。自動車メーカーからCADデーターの提供を受け、それをもとにパーツが製作されています。パーツは1台あたり約3000点にも及び、塗装も実車と同じものが使われています。もちろん、これらの工程はすべてハンドメイドです。イギリス本国の技術者は、「実車とまったく同じだ、と言われた時が私たちの仕事が完成する瞬間だ」と言います。
――どのような車種がラインアップされていますか?
当初はフェラーリやF1マシンなどの1/8などのラージスケールモデルが中心でしたが、近年は伝説的なフェラーリ「250GTO」や日本でもなじみ深いF1マシン「McLaren Honda MP4/4」などといった、世界的に人気の高いモデルを中心に、1/18モデルも作っています。また1/8スケールモデルは、すでにモデル化されている車種ならば、ボディカラーやインテリアはもちろん、キャリパーカラーやナンバープレートまで、自分好みに注文することも可能です。実車の写真をいただくだけで、オーナー様の「愛車と同じ仕様にして欲しい」という注文に応えているのです。
――日本での販売は?
日本で販売を開始したのは、10年以上前のことです。当初はあまり知られていませんでしたが、徐々に認知され始め、今ではモデルカー専門店だけでなく、高級百貨店や自動車ディーラーなどでも取り扱っていただけるようになりました。
――今後はどのような展開を考えていますか?
もちろん、もっと多くのアマルガムコレクションをお届けしたいという気持ちはありますが、それよりも、もっと多くの人に世界にはこれほど極限まで精巧に作られたモデルカーが存在するということを知ってほしいと思っています。純粋に、私はこれ以上のモデルカーはないと思っているので、日本の多くの方々にアマルガムコレクションの魅力を知ってもらいたいです。
取材時、筆者もアマルガムコレクションを見せてもらいましたが、今まで見てきたモデルカーでは考えられないこだわりと質感の高さを感じました。リアリティがあるのはもちろん、小さくてもスーパーカーが持つ独特の迫力やオーラがありました。購入のハードルは高いかもしれませんが、より多くの人の目に触れてほしい逸品です。
(取材・文:西川昇吾 写真:アマルガムコレクション 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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