大きな意味ある7.1km!3月に開通した「横浜北西線」を走ってみた

2020年3月22日(日)に新たな自動車専用道路となる「横浜北西線」が開通しました。正式名は「高速神奈川7号横浜北西線」。距離は約7.1kmと短いですが、この開通は非常に大きな意味を持ちます。

東名高速、第三京浜、首都高速を東西に結ぶルートの完成

横浜北西線は、横浜青葉JCT(ジャンクション)と横浜港北JCTを結び、その先の横浜北線と続きます。その横浜北線は、その先の生麦JCTへと接続しています。

新たに開通した横浜北西線によって首都圏の道路ネットワークがさらに便利なモノに進化した(画像:首都高速道路)
新たに開通した横浜北西線によって首都圏の道路ネットワークがさらに便利なモノに進化した(画像:首都高速道路)

横浜青葉JCTは東名高速、横浜港北JCTは第三京浜、生麦JCTは首都高速横羽線との交差ポイントです。つまり、今回の横浜北西線の完成によって、南北に平行に走っていた、東名高速と第三京浜、そして首都高速が東西につながったことになります。ちなみに、生麦JCTのさらに先には、湾岸線と交差する大黒JCTがあります。南北の縦の線と、東西の横の線がつながり、神奈川エリアの道路ネットワークが大きく向上したことを意味するのです。

これまで東名高速から第三京浜を結んでいたのは、保土ヶ谷バイパスと呼ばれる国道16号だけでした。もちろん、名古屋や大阪から東名高速を使って横浜港を目指すトラック群をさばくために、保土ヶ谷バイパスは自動車専用道として整備されており、片側3車線もの大動脈となっています。とはいえ、たったの1本では、事故や災害による渋滞や通行止めリスクをぬぐうことはできません。そうしたリスクに備え、物流の効率化を実現するのが、今回の横浜北西線の開通と言えるでしょう。

高架のJCTから、地下のトンネルに向かって下ってゆく

横浜北西線を実際に走ってみました。まずやってきたのは、東名高速との接続ポイントとなる横浜青葉JCT。従来は、東名高速への出入り口となる横浜青葉ICだけでしたが、今回の横浜北西線との接続で、JCTの役割も果たすことになりました。

とはいえ、以前からここは、厚木街道(国道246号線)から東名高速へと続く道は高架になっており、それなりの威容を誇っていたものです。ところが、久しぶりに現地を見てみれば、ICからJCTへの変化によって、道路の数はさらに増えて、まさにグルグルと、とぐろを巻くような姿に。巨大建築の迫力に圧倒されるばかりです。

一般道から見た横浜青葉JCT。複雑に道路が走る巨大建築だ
一般道から見た横浜青葉JCT。複雑に道路が走る巨大建築だ

実際に、東名高速を名古屋方面から東京方面へ上り、横浜青葉JCTに入ると、道はグルグル回りながら、高度を上げてゆきます。そしてターンが終わると、今度は新設された料金所に向かって下り坂に。JCTは、ちょうど谷のような場所にあるため、左右の丘にびっしりと並ぶ住宅街を目にすることができます。そして料金所を抜けるとさらにジワジワと下がり、先にはトンネルが待ち受けています。

横浜青葉JCTから、新しくできた横浜北西線の料金所に向かって、徐々に下り坂になっている
横浜青葉JCTから、新しくできた横浜北西線の料金所に向かって、徐々に下り坂になっている
横浜北西線に入ると、すぐに豊浜北西トンネルに。路面に「急勾配」とあるように下りの坂道が続く
横浜北西線に入ると、すぐに豊浜北西トンネルに。路面に「急勾配」とあるように下りの坂道が続く

トンネルの入り口には「横浜北西トンネル 長さ4100m」の表示。さすがにできたばかりのトンネルですから路面はスムーズで、壁もきれいなもの。最初にすこし左にゆっくりと曲がっていましたが、すぐに道はまっすぐに。直線がけっこう長いのに驚きました。2kmぐらいあったのではないでしょうか。ちなみに、自動車専用道ですが、高速道路ではないので、制限速度は時速60キロです。

横浜北西トンネルはできたばかりということもあり、路面はスムーズで壁もきれいなものであった
横浜北西トンネルはできたばかりということもあり、路面はスムーズで壁もきれいなものであった
横浜北西トンネルの中の直線部分。まっすぐなところが2kmほども続いていた
横浜北西トンネルの中の直線部分。まっすぐなところが2kmほども続いていた

ストレートが終わると、今度は右カーブ。そして、だんだんと道は上ってゆきます。上り始めたら、すぐにトンネルは終わり。明るい日差しの中を、さらに上ってゆくと、横浜港北JCTの看板が出てきました。ここまでわずか5分ちょっと、あっという間の距離です。

第三京浜とのJCTとなる横浜港北JCTは高い位置にあり、気持ちの良い景色を楽しめる
第三京浜とのJCTとなる横浜港北JCTは高い位置にあり、気持ちの良い景色を楽しめる

さらに進むと、この先は横浜北線となります。また、道はどんどんと下ってゆき、さらにトンネルへ。入り口には「横浜北トンネル 長さ5900m」の表示があります。こちらの方が横浜北西線よりも長いんですね。

トンネル内は、最初のうちはゆるい右カーブで、その後に直線、そして最後は左カーブに。微妙に勾配が変わって、上ったり下ったりしています。5分ほど走ると、地上に出ました。地上に出たら、すぐに生麦JCTです。横浜青葉JCTから生麦JCTまで、12分ほどで通過することができました。料金は、横浜青葉ICから大黒ふ頭ICであれば普通車で810円でした。

横浜北線のトンネルは緩いカーブと、わずかなアップダウンが続くような道となっていた
横浜北線のトンネルは緩いカーブと、わずかなアップダウンが続くような道となっていた
横浜北線のトンネルを抜けると、すぐに生麦JCT。右に行けば、みなとみらい、左が羽田、直進が大黒ふ頭となる
横浜北線のトンネルを抜けると、すぐに生麦JCT。右に行けば、みなとみらい、左が羽田、直進が大黒ふ頭となる

出入口となるJCTは高い場所にあるのに、行程のほとんどが地下のトンネルということもあり、“上ったり下ったりする道”というのが「横浜北西線~横浜北線」を走った第一印象です。また、走ったのは平日の昼前だったこともあり、道はガラガラ。さらに、路面がきれいで走りやすく、JTC部分は高い場所を走るため景色が良く、気分よく走れました。

横浜町田から、横浜のみなとみらい地区までは20分強

新しく開通した横浜北西線に求められる役割は、東名高速と第三京浜、そして首都高速の横羽線とのネットワーク強化です。西から首都圏に流れる物流のうち、横浜港への主力ルートになるのが、「横浜町田IC~保土ヶ谷バイパス~大黒ふ頭」です。新しい横浜北西線の完成は、こうした横浜港への物流ルートに万一のことがあった時の代替ルートの役割も期待されています。

保土ヶ谷バイパスは交通が集中するため慢性的な渋滞も多かった。※画像はイメージです(画像:PIXTA)
保土ヶ谷バイパスは交通が集中するため慢性的な渋滞も多かった。※画像はイメージです(画像:PIXTA)

そこで、横浜町田ICから大黒ふ頭まで、どれくらいの時間がかかるのかを実際に測ってみました。すると、横浜町田ICから、東名高速の横浜青葉JCTを経て、「横浜北西線~横浜北線」を通って大黒ふ頭まで、約30分かかりました。平日の昼ごろの空いている時間帯です。

そこで従来からある保土ヶ谷バイパスを使って、横浜町田~大黒ふ頭まで走ってみると、なんと約30分。横浜北西線を使うルートは、平均速度は高いものの遠回りになるため、結局、どちらも同じくらいの所要時間となっていたのです。

残念ながら新しい横浜北西線は、横浜町田ICから横浜港への近道にはなりませんでしたが、それでもバックアップ・ルートがあるというのは重要なところ。これまでは保土ヶ谷バイパスで事故が渋滞起きた時は、それを避けるクルマで東名高速から第三京浜に向かう一般道にクルマがあふれる状況に陥りました。

新ルートの誕生で、そうした下道の渋滞は緩和されることでしょう。また、逆に羽田空港から東名高速に向かう時の新しいルートという見方もできます。新たなルートができることで、首都圏の道路ネットワークは、さらに使いやすくなったことは間違いありません。

(取材・文・写真:鈴木ケンイチ 編集:木谷宗義+ノオト)

<関連リンク>
首都高ドライバーズサイト
https://www.shutoko.jp/
ほくせいせん
https://www.shutoko.jp/ss/hokusei-sen/

[ガズー編集部]

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