ニーズが広がる“乗らない”タクシーのサービスとは
タクシーは身近な交通手段として馴染みのあるものでしょう。タクシーはもちろん乗客が“乗る”もの。しかし、近頃、“乗らない”タクシーが全国的に注目され始めています。“乗らない”タクシーとはどのようなサービスを行うのでしょうか。株式会社三和交通 統轄本部 和田茉璃奈さんに伺いました。
買物や薬の受け取りを代行
―― タクシーなのに“乗らない”とはどういうことですか?
現在、“乗らない”タクシーとしてサービスを提供しているのは主に「おつかいタクシー」と「三和交通prime デリバリー」になります。
「おつかいタクシー」は、お客さまに代わってスーパーなどで買物をしてお届けしたり、薬局に出向いて薬を受け取ってお届けしたりという代行サービスです。
「三和交通prime デリバリー」とは、契約をしたレストランや飲食店にお客さまからデリバリーの注文が入ると弊社に配車依頼が来て、ドライバーがそれぞれのお店から注文の品物をお客さまの元にお届けするというサービスになります。
――お客さまを乗せるのではなくドライバーの方が代行サービスを行うから“乗らない”タクシーなのですね。
そうですね。お客さまは乗りませんが、タクシードライバーがお客さまのお役に立つサービスを提供するということです。
何か地域の方々に貢献できるようなサービスを行いたい
――もともとこのようなサービスはあったのですか?
10年ほど前から「救援タクシー」というサービスは始めていました。こちらは、買物や薬の受け取りなどをはじめとして、病院への付き添いや受付、お客さまに代わってお墓参りをしたり、留守番をしているお子さんや1人暮らしのご家族の安否の確認をしたりといった、生活に関わるあらゆることのお手伝いをするというサービスです。これまで、こちらの「救援タクシー」の利用度はそんなに高くはなかったのですが、時節柄、タクシーの通常運行とは別に、地域の皆さまに貢献できるようなサービスをやっていきたいと考え、買物と薬の受け取りに限定、料金もご利用しやすいように見直した上で、「おつかいタクシー」としてサービスを開始しました。
利用者は配車センターに電話するだけ。ドライバーが親身に対応
――「おつかいタクシー」を利用するにはどのようにすればよいですか?
まずは配車センターにお電話をください。その際にお客さまの受けたいサービスやご希望などを伺います。買物の場合は一度お客さまのところにドライバーが行き、メモを受け取って買い物に行き、荷物をお届けするという流れがほとんどですね。どこのスーパーやお店に行ってほしいなどの指定も可能です。お客さまに満足いただけるようドライバーが丁寧に対応しますので、心置きなくおまかせいただけるとうれしいです。
――利用者はどのような方が多いですか?
やはり、ご高齢の方が中心です。ただ、30代、40代の方のご利用も意外に多いのです。ご家族にご高齢の方がいらっしゃるということもあるようです。サービスの内訳は、買物代行でのご利用が9割ほどで薬の受け取り代行が1割というのが現在の状況ですね。
気軽に、そして安心して利用してもらうために
――買物や薬の受け取り代行以外のサービスは今も受けられるのでしょうか?
先ほど申し上げました「救援タクシー」としてサービス提供しています。配車センターにお電話で「こんなことをやってほしい」と具体的にご相談いただければ、お客さまのご要望に臨機応変にお応えできるかと思います。
「おつかいタクシー」も「三和交通prime デリバリー」も国交省の認可と各エリアのタクシー協会に申請、許可を受けて責任を持って運行しています。また、運行時には毎回車内の消毒等もしっかり行っていますので安心してご利用いただければと思います。
全国に広がる“乗らない”タクシーのサービスですが、新たなタクシーの利用方法としてさまざまな可能性があると感じました。自分が乗らなくても、用事が済んでしまうサービス、気軽に利用してみてはいかがでしょうか。
(取材・文:わたなべひろみ 写真:株式会社三和交通 編集:奥村みよ+ノオト)
<取材協力>
株式会社三和交通
https://www.sanwakoutsu.co.jp/
[ガズー編集部]
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