「くるまにポピー」がヨーロッパで大人気!? ロングセラーの理由とCM裏話をメーカーに聞いた

「くるまにポピ～♪」といえば、1980年代にオール阪神・巨人さんが出演していたテレビCMを思い浮かべる人が多いでしょう。クルマの芳香剤「グレイスメイトポピー」は、発売から40年以上にわたってドライバーに愛されているロングセラー商品です。

そんなポピー、今ヨーロッパのトラックドライバーの間で大人気だそう。では、どんなきっかけで注目され始めたのでしょうか？

その理由とともに、ポピーの誕生秘話やテレビCMの裏話、長く愛される秘訣について、株式会社ダイヤケミカルの製品開発部・國米（こくまい）さんにお聞きしました。

――ポピーはいつ、どのような経緯で発売されたのでしょうか？

1970年代のマイカーブームの時期に開発したのが、グレイスメイトポピーです。当時はゲルやスプレータイプの芳香剤が主流だったのですが、ゲルだと香りが弱く、スプレーだと直後しか香りが残りません。そこで、香りを揮散（きさん）する芯を使用した液体芳香剤を企画し、2年かけて商品開発しました。

――発売当初から現在にかけて、改良した点があれば教えてください

ポピー本体のデザインおよび芳香剤の中身は、1978年の発売当初からほとんど変えていません。パッケージを紙箱からクリアケースに変更したくらいですね。

自社工場で生産し、中身の処方や香りにこだわってきたからこそ、40年以上愛される商品に成長したのではないかと考えています。

――いま発売されているポピーは何種類ですか？　どんな香りが人気なのでしょうか？

国内販売用は、きんもくせい、柑橘、ブーケ、フリージア、ファインスカッシュの5種類です。一番人気はブーケで、これは昔からずっと変わりませんね。

――オール阪神・巨人さんが出演されていたCM「くるまにポピ～♪」のフレーズがとても印象に残っています。あのキャッチコピーはどのように生まれたのでしょうか？

最初は阪神さんがおもちゃのクルマに乗り、運転している様子を撮影していました。ただ、「乗っているだけでは物足りないな」という話になり、阪神さんのアドリブで「くるまにポピ～♪」のキャッチコピーが生まれたんです。

実は、はじめに広告代理店さんから提案されたのは、関東のタレントさんでした。しかし、弊社は大阪に本社があり、「長く起用できるよう、地元でなじみのあるタレントがいい」と、オール阪神・巨人さんを指名したんです。それから約15年間、CMにご出演いただきました。

――どんな人がポピーを利用しているのでしょうか？

発売40周年の際にアンケートを取ったところ、こんなご意見をいただきました。

「香りがいいので、10年以上トラックで使っています」
「20代のころ、ケンメリ・スカイラインにはポピーでした」
「初めてクルマを買った時からポピーです。もう30年になります」

もっとも多かったのが、長年ご利用いただいているお客さまからのご感想です。ポピーがいかにリピーターの方々に愛されているか、改めて知ることができました。トラックやタクシーなど職業ドライバーの間では、定番の芳香剤として使っていただいている方が多いようです。

――「ヨーロッパのトラックドライバーの間で大人気」という話を聞きました。いつごろ、どのようなきっかけで注目され始めたのでしょうか？

輸出用のポピーは、40年以上前から出荷実績があります。ただ、ヨーロッパ向けの需要が急増したのは2015年ごろです。

実は、以前ヨーロッパでは「偽物のポピー」が流通していました。あるとき、オランダのトラック用品店のスタッフが、現地で弊社のポピーを見つけ、「これが本物だ」とクオリティーの違いに気づいたそうです。

その後、弊社と正規代理店契約を結びヨーロッパで発売したところ、爆発的なヒット商品となりました。一時は生産が追いつかなくなるくらい、注文が殺到しましたね。中でもオランダ、スウエーデン、ドイツでの人気が高くなっています。

――海外ではどんな香りが人気なのでしょうか？

ストロベリーやチェリーなどの甘い香りが売れています。ヨーロッパではジャスミンがダントツで人気ですね。これはジャスミンの香りというより、白いデザインがインテリアにマッチするという理由で選ばれているようです。

――ポピー以外で売れている商品があれば教えてください

最近は、ゲル状やエアコンルーバーに取り付けるタイプの芳香剤が売れています。中でも人気なのが「ビッカラ」です。シンプルなデザインで幅広くご愛用いただいており、2020年には累計1,000万個を突破しました。また「ラビッコ」シリーズは、うさぎの耳がかわいいデザインで女性に人気があります。

ポピーのエアコンルーバータイプも2018年から発売しています。たまに「エアコンに取り付けられるポピーがあればいいのに」という声を聞くのですが、すでに発売しているので、カー用品店もしくはオンラインショップでチェックしてみてください。

“くるまにポピー”と聞いて、筆者は「懐かしい！」と思ってしまったのですが、今でも現役バリバリ、しかもヨーロッパで大人気というのは意外でした。新商品を投入しつつも、ポピー本体のデザインや中身は変えていないというのが、長く愛される秘訣なのかもしれませんね。

＜関連リンク＞
株式会社ダイヤケミカル
http://www.diachemical.co.jp/

（取材・文：村中貴士　写真：ダイヤケミカル　編集：木谷宗義＋ノオト）

[ガズー編集部]