倒れるリヤシート。分割方式の5:5と6:4、そして4:2:4はどう違う?
コンパクトカーや軽自動車、ミニバン、そしてSUVの多くは後席を倒すことで荷室を拡大する機能を備えています。たくさんの荷物や大きな荷物を積む時にはとても便利な機能です。
しかし、シートを倒す仕掛けは全体が倒れる構造(左右一体)のほか、左右が分割する仕掛けも存在。いまでは後者のほうが主流になっています。そして、そんな左右分割の仕掛けにも「5:5」「6:4」「4:2:4」などのいくつかの方式があるのをご存知でしょうか。
今回は、そんな後席左右分割機構の種類とそれぞれのメリットをお伝えしましょう。
数字の違いは何を表すのか?
それぞれの数字は何を表すのでしょうか?
答えは、左右の比率。分割する際の右と左の割合を表しています。「5:5」なら左右が同じ、「6:4」なら左右が均等ではなく片側が少し大きい、そして「4:2:4」は3分割になるのです。
そもそも左右分割する理由は、片方の座席を倒しても倒していない方に人が座れるための工夫。例えばスキー板やスノーボード、そして釣竿のような長尺物を積みつつ、後席にも人が座れるというわけです。左右一体と比べると実用性が飛躍的に高まりますよね。
- (写真:ダイハツ工業)
それぞれのメリットを確認してみよう。5:5の場合は?
では、それぞれの特徴とメリットを確認してみましょう。
もっともシンプルなのが5:5。軽自動車の後席やミニバンの3列目の分割などに多く用いられています。
- 軽自動車の左右分割はすべて5:5。後席が2名掛けなので不等分割する意味がないからです(写真:ダイハツ工業)
特徴は、左右が均等なこと。だからシートを左右に跳ね上げて収納するミニバンでは、畳んだシートのどちらか一方が大きくなるのを避けるために左右均等とすることが多いのです。また、軽自動車などは後席が2名掛けなので、左右どちらを倒しても後席には1人が座れるように左右5:5としています。
6:4分割はゆったりと座れるのが魅力
6:4分割にすると、「4」側を倒すことで残った「6」側にはゆったりと座ることができます。センターアームレストを備えるクルマでは、それを使えるのも魅力ですね(一部には左右5:5分割でもセンターアームレストを使えるクルマがあります)。
- 写真は6:4の「6」側を倒した状態。左右非対称なので、状況に合わせてアレンジできる(写真:ダイハツ工業)
また、「4」側を倒した場合、基本的には残りの「6」側は中央席も含めた2名分のシートベルトを使える構造となっています。多少窮屈ではありますが、コンパクトカーでも「4名乗車+長尺物積載」というアレンジが可能なのです。
アレンジ幅が広い4:2:4分割は、さらに実用性が高い
4:2:4分割のメリットは、アレンジが豊富なこと。左右2分割ではなく、分割比率が4対2対4となる3分割なのが特徴です。6:4分割と同様に「4」側、もしくは「6」側だけを倒すほか、独自のアレンジと言えるのが中央部の「2」だけを倒すこと。4人が普通に座った状態をキープしつつ、中央部にスノーボードなど大きめの長尺物を置けるのはこのアレンジならではですね。
- 4:2:4分割なら貫通させた後席中央にスノーボードを積み、4人が無理なく座って移動可能(写真:日産自動車)
4:2:4分割は基本的に大きな車体のクルマに採用されることが多いですが、最近はコンパクトSUVにも採用例があり、実用性アップに一役買っています。
セダンでも後席が倒れる時代
昨今では、セダンでも実用性を求めて倒れる後席を採用する車種が増えています。荷室の天地高に制約があるとはいえ、より多くの荷物を積めるので旅行や買い物に行く際も安心ですね。
- (写真:トヨタ自動車)
シンプルなようで、実は奥が深い後席分割の世界。クルマを選ぶ際は、単に後席が倒れるかだけでなく“どう倒れるか?”にも注目してみましょう。
(文・写真:工藤貴宏 写真:ダイハツ工業、日産自動車、トヨタ自動車 編集:奥村みよ+ノオト)
[ガズー編集部]
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