電気自動車にその名を残す“歴史に消された”発明家とは?
世界的に電気自動車の開発競争が激しくなっています。国内外では、さまざまなメーカーがしのぎをけずっていますが、イーロン・マスクが率いるアメリカの電気自動車メーカー「テスラ」の名前は、おそらく誰もが一度は耳にしたことがあるでしょう。
そして最近では、電気自動車や燃料電池車のトラックを開発する同国の新興メーカー「ニコラ」も注目が集まっています。両社に「電気自動車メーカー」という共通点があるのは言うまでもありませんが、実はどちらの社名にも、歴史上のある一人の偉人が浮かび上がるのです。
その名は、ニコラ・テスラ。交流電源(AC)を始め、現代に残るさまざまな技術を世に残した偉大な発明家です。しかし、彼は称賛されるばかりではなく、時には時代を先取りし過ぎたかのような奇抜な発想により、“歴史に消された発明家”と評価されることも……。
彼はいったい、どのような功績を残してきたのでしょうか? その生涯を追った書籍『知られざる天才 ニコラ・テスラ エジソンが恐れた発明家』(新戸雅章/平凡社)をたよりに、紹介します。
初めての発明は5歳。幼少期から片鱗をみせる
ニコラ・テスラは、1856年7月6日に現クロアチア共和国リエカ地方の小村で生まれました。そして、セルビア司教会で司祭をしていた父・ミルティンと、その仕事を手伝いながら、日常に役立てようと家事を便利にする器具を自ら考案していた母・デューカ。そして、4人兄弟に囲まれて育ちます。
彼が遺した自伝によれば、初めて発明をしたのは5歳の頃だったそう。幼少期から、発明家としての片鱗をみせていたのですね。
少年時代のテスラが作ったのは、水車です。輪切りにした木の幹に穴を開けて木を通して、小川の両岸に立てたY字型の枝に乗せただけの簡素なものでしたが、これがのちに水力発電のアイデアにつながったとされています。
発明王・エジソンへの尊敬と決別
彼の生涯を語る上でもう一人、欠かせない偉人がいます。蓄音機や白熱電球を生み出した発明王、トーマス・エジソンです。
青年になったテスラは、ニューヨークにあったエジソンの会社で働き始めます。当時、36歳だったエジソンは、自身の開発した白熱電球の電源を供給する電力会社を立ち上げていました。以前に一度、エジソンとヨーロッパで会食をしたことのあったテスラは、学歴がなくとも数々の偉業を成し遂げていたエジソンに対して、尊敬の念を抱いていたのです。
しかし、結果として彼らは仲たがいすることになってしまいます。テスラが入社してから数週間後、彼はエジソンに直流発電機の改良計画を提案。その価値を認めて、達成した暁にエジソンは5万ドルのボーナスを支払うと彼に約束しました。そして、数ヶ月かけてテスラは成果を上げます。
しかし、約束のボーナスが支払われることはありませんでした。テスラがエジソンにボーナスの支払いを要求すると、エジソンは「テスラ、君はアメリカ流のユーモアがわからないようだな」と突き放してしまったのです。この事件により、今なおその名を残す2人の偉大な発明家は、たもとを分かち合うことになってしまいました。
“ワイヤレス給電”の背景にあるテスラの発想
テスラを象徴するのは、「マッド・サイエンティスト」というキーワードです。しかし近年、19世紀から20世紀前半にかけて、彼が生み出したアイデアが見直され始めています。例えば、IT機器や電気自動車の充電方法として徐々に実用化が進んでいる、ケーブルやプラグを伴わない「ワイヤレス給電」も、そのひとつ。
彼がこのテーマに取り組み始めたのは、40代前半の頃。実現に向けては生涯で何度かの軌道修正を図っていたものの、最終的に目指したのは“送電線がなくとも誰もが電気を享受できる世界”で、無線送電は彼のライフワークにもなっていたと言います。
テスラがこの世を去ってから、今年で77年。彼が時代の先をあまりに早く読んでいたのか。それとも、時代がようやく彼に追いついたのか。いずれにせよ、その足跡が現代に通じる技術の礎を築いたのは間違いありません。
<関連リンク>
『知られざる天才 ニコラ・テスラエジソンが恐れた発明家』(新戸雅章/平凡社)
https://www.heibonsha.co.jp/book/b193094.html
(文:カネコシュウヘイ 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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