クルマ好きなら憧れる「スポーツシート」をオフィスチェアにするキャスターが人気

人間工学に基づいて作られた自動車用のシートは、長時間座っても疲れにくく、快適です。「クルマのシートをオフィスチェアにできたら……」と思ったことがある人も少なくないでしょう。実際に、自動車用シートをオフィスチェアとして活用する例もあります。

自動車用スポーツシートで知られる「BRIDE（以下：ブリッド）」が発売したキャスター、「MULTI CASTER PRO（以下：マルチキャスタープロ）」も、自動車用シートをオフィスチェアに変身させるアイテムのひとつ。しかし、キャスターは、もともとはオフィスチェアのために作ったものではないのだそうです。

マルチキャスタープロは、ブリッドとその上位ブランドであるedirb (エディルブ)のシートに装着するキャスター。価格は税込24,200円からで、ブリッドでは、「あらゆる生活空間で活用することを目的に世界有数のチェアパーツメーカーと共同開発した至極の足回りパーツ」としています。

「このマルチキャスタープロを発売する前から、弊社のシートに装着するキャスターを販売していましたが、機能的にシンプルなものだったため、新たにマルチキャスタープロを開発しました。その狙いは、近年成長が目覚ましいeスポーツ市場です。この市場ではまだMade in Japanが少なく、自動車以外の分野にブリッドの名前を広めるチャンスになると、参入を決めました」（広報室長 岩橋さん）

こうして新たに開発されたマルチキャスタープロのポイントは、各部調整機構とアームレストにあるそうです。

「自動車用のシートは座面の先端が上を向いていて、寝た姿勢になりがちなものが多いので、座面の角度を20度まで自由に動かせるロッキング機構を採用しました。もちろん、好みの角度で固定することもできます。アームレストは、高さだけでなく、前後左右方向に動かしての調整が可能です」（岩橋さん）

マルチキャスタープロの発売は、2020年4月。この時期はおりしも、外出自粛やテレワークの重要性が高まった時です。

「eスポーツユーザーに向けた製品だったのですが、オフィスワーカーや在宅ワーカーからのお問い合わせが予想以上にあって驚きました。テレワークが広がったこともあり、自宅で仕事するために疲れない椅子を求める声が多かったのです」（岩橋さん）

同時に、キャスターとシートをセットで購入するユーザーが増えたことにも驚いたとのこと。

「マルチキャスタープロの発売以前は、それまで自分のクルマで使っていたスポーツシートに取り付けるため、キャスターのみを購入するお客様が多かったのですが、この時から最近はシートとキャスターをセットで購入するお客様が増えています。バケット形状のスポーツシートよりもオフィスチェアに適した、サポート部が小ぶりなコンフォートシートやトラック用シートのZAOUが人気ですね」（岩橋さん）

自動車用シートが思わぬところで注目されるようになり、ブリッド社内も変わっていったそう。これからは「スポーツシートのブリッド」ではなく、「椅子といえばブリッド」という時代がくるかもしれません。

「マルチキャスタープロでいただいた反響を踏まえて、これからは室内用に特化したシートも開発していきたいですね。そうすれば当然、車検基準に合致させなくてもいいので、価格もより求めやすくなりますし、カラーなどの自由度も高まります。また、このマルチキャスタープロを通じて、長時間座って仕事をするオフィスワーカーやお医者様といった、今までとは違うお客様とお話しをする機会が増えました。こうした新たなユーザー様の声も取り入れて、すべての“座る人”に満足いただけるイスを作っていきたいです」(岩橋さん)

その座り心地で多くのドライバーを魅了してきたブリッドのシート。今度はどんな人々を魅了していくのでしょうか？

＜関連リンク＞
ブリッド株式会社
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BRIDEダイレクトストア
https://bride-store.jp/

（取材・文：西川昇吾　写真：ブリッド株式会社　編集：木谷宗義＋ノオト）

[ガズー編集部]