高温の車内温度をもっとも早く下げる方法とは? JAFがユーザーテストを実施!

今年は全国各地で最高気温を更新するなど、暑い日が続いていますね。そして気温が高くなると同時に熱くなるのが停めておいたクルマの中。高温になってしまった車内の温度を下げるには、どうするのがベストなのでしょうか。そんな疑問に答える実験を一般社団法人日本自動車連盟(以下:JAF)が行っています。

自動車ユーザーのために数多くの実験を行うJAF

JAFは自動車ユーザーの会員団体です。会員向けのロードサービスを行っていることは有名ですが、それ以外にも自動車ユーザーのための活動を幅広く実施しています。そのひとつに「ユーザーテスト」があります。ユーザーの疑問に答える実験・検証をJAF独自で行い、それを公開するというもの。これまで数多くの実験が実施されており、その結果がJAFの公式サイトに記事や動画として公開されています。

そんなユーザーテストには「車内の環境(車内温度/紫外線/空調)」という項目があり、そこには「夏の駐車時、車内温度を最も早く下げる方法は?」というテスト内容がありました。

「夏場に乳幼児の車内放置による死亡事故など、毎年熱中症事故が繰り返されていることから、真夏の車内温度だけでなく、季節ごとの車内温度の検証テストを行っています。JAFユーザーテストはJAFとJAFメディアワークスで検証しています。実験方法については、毎年起こる熱中症事故を受け、真夏の車内の温度や車内の温度を下げる方法などを検証し、車内放置による熱中症の危険性を啓発しています」とテストを実施したJAF交通環境部の方は説明します。

また、JAFのロードサービスの出動のうち、「子どもやペットを車内に残したままのキーの閉じこみ」の件数は非常に多く、2019年8月1日~31日の1か月間の場合、全国で144件(子供:115件、ペット:29件)もありました。ちなみに、JAFが別件で実施した検証テストによると、気温35度の炎天下に駐車した車内の暑さ指数は、窓を閉め切った状態でエンジン停止後、わずか15分で危険なレベルまで上昇したというのです。

5台のクルマを用意して、5種類の温度を下げる方法を実施

炎天下に駐車して、高温になったクルマの車内温度を下げるには何が良いのか? その実験は用意された5台のクルマに、それぞれ別の温度を下げる方法を実施し、時間ごとの温度変化を測定するというものでした。

2016年6月7日、埼玉県戸田市にてJAFが検証実験を実施。5台の同じクルマを置いて、車内温度が55度になったタイミングで対策を行い、温度変化を測定。
2016年6月7日、埼玉県戸田市にてJAFが検証実験を実施。5台の同じクルマを置いて、車内温度が55度になったタイミングで対策を行い、温度変化を測定。

高温になった車内の温度を下げる方法として行われたのは、以下の5つ。

1 ドアの開閉
助手席の窓を開け、運転席のドアを5回開閉して、車内の熱気を逃がします。

2 冷却スプレー
市販の冷却スプレーをシートに10秒ほど噴霧します。

3 エアコン「外気導入」
窓を閉めたままエアコンを外気導入、最低温度設定、オートで作動させます。

4 エアコン「内気循環」
窓を閉めたままエアコンを内気循環、最低温度設定、オートで作動させます。

5 エアコン+走行
窓を全開にしてエアコンを外気導入、最低温度設定、オートで作動して走行。2分後に窓を閉めてエアコンを内気循環に変更して走行します。

テスト結果は以下のようなグラフとなりました。

車内温度55度から実施した対策方法別の温度変化。温度センサーは運転席と助手席の中央、乗員の顔の高さに設置。
車内温度55度から実施した対策方法別の温度変化。温度センサーは運転席と助手席の中央、乗員の顔の高さに設置。

1の「ドアの開閉」は、55度の室温が47.5度に。
2の「冷却スプレー」は、3分後に50.1度に。
3の「エアコンの外気導入」は、10分後に29.5度に。
4の「エアコンの内気循環」は、10分後に27.5度に。
5の「エアコン+走行」は、5分で28度に。

結果、もっとも効果的に車内の温度を下げることができたのは「エアコン+走行」となりました。また、「エアコン+走行」という手段は、エンジン始動とともに走り出すことになるため、無駄な燃料消費と排気ガス排出がありません。つまりエコという面でも優れています。

ただし、室内の温度は下がりますが、熱くなったハンドルやダッシュボード、シートベルトの金属部などはなかなか冷えないもの。注意が必要です。

ちなみにJAFでは、他に「クルマのボディに水をかける」という方法もテストしています。この場合、8リッターが入るバケツで3杯もの水をかけても車内温度は0.9度しか下がらなかったとか。また、冷却スプレーは可燃性のガスを使うこともあるので、使用後の換気の悪い状態での喫煙の危険性も指摘されています。

熱くなった車内の温度を下げる方法はいろいろとありますが、実際に試してみるというのは難しいもの。そういう意味でJAFのユーザーテストはありがたいですね。ぜひ参考にして快適な夏のドライブをお楽しみください。

<関連リンク>
JAF
https://jaf.or.jp/individual
夏の駐車時、車内温度を最も早く下げる方法は?(JAFユーザーテスト)
https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/user-test/temperature/lowering

(取材・文:鈴木ケンイチ 取材協力・写真:一般社団法人日本自動車連盟(JAF) 編集:奥村みよ+ノオト)

[ガズー編集部]

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