速度制限のない場所もある!? 海外の高速道路の最高速度ってどのくらい?
今年の夏、日本の高速道路の法定最高速度に関して大きなニュースがありました。「一定の条件を満たす場合に限って現在の時速100キロから120キロに引き上げられるように交通規制基準を変更する」と警察庁が発表したのです。
現在、新東名高速道路と東北自動車道の一部区間で時速120キロでの走行が認められていますが、それはあくまで状況を見るための社会実験。今後は「道路の設計速度が時速120キロ以上」「死傷事故率が高くない」などの条件を満たす区間で、正式に最高速度が引き上げられることになりそうです。
ところで、海外の高速道路での速度制限事情はどうなのでしょうか?
世界に誇る速度無制限道路。ドイツ「アウトバーン」
高速道路の最高速度に関して、日本のみならず世界的にもっとも有名なのは、ドイツの高速道路でしょう。「アウトバーン」と呼ばれる高速道路網が整備されていて、その最高速度はなんと「無制限」。推奨速度は時速130キロであるものの、200キロでも300キロでも、(出せるものなら!)400キロでも“合法”ということになります。
ただし、環境や安全などの面から最高速度無制限区間は年々減っていて、今では全体の5割ほどの区間に速度制限がかかっています。とはいえ、速度制限があっても時速130キロなど、日本よりも高く設定されている区間が多いのは、さすがのお国柄でしょうか。
- 写真の箇所は時速100キロ区間だが、速度無制限区間もあるアウトバーン(写真:工藤貴宏)
イタリアやフランスをはじめ、西ヨーロッパの多くの国は最高速度を時速130キロに規定。いくつかの国はそれよりも低い時速120キロなどの設定ですが、最高速度無制限のドイツを除けば珍しいのがポーランドで、時速140キロと速めです。
アメリカは州によって異なり、最高は時速85マイル(136キロ)
アメリカはどうでしょう。実はアメリカ合衆国には、国全体で統一された最高速度は存在しません。本土内は「インターステート」と呼ばれる州間高速道路(幹線高速道路)でも、時速55マイル(約89キロ)から85マイル(約136キロ)まで州や地域によってばらつきがありますが、アメリカの国としての最高速度とすれば約136キロということになります。
多くの州は時速70マイル(約113キロ)もしくは75マイル(約121キロ)。低い設定となる時速55マイルは都市内を走る区間なので、日本にあてはめれば都市高速のような場所です。
- 都市近郊では車線数の多さにも驚くアメリカの高速道路(写真:工藤貴宏)
ちなみに日本人が出かけて運転することも多いハワイのフリーウェイの最高速度は、ほかよりも控えめで時速50マイル(約80キロ)から55マイル。海外で運転し慣れていない日本人ドライバーにとって、比較的走りやすいと言えるでしょう。
アジアの国々はヨーロッパよりも抑え気味
では、アジアの国々はどうでしょうか? お隣、韓国の高速道路での最高速度は時速120キロ。そして中国も時速120キロで、新しい日本の最高速度と同水準です。香港や台湾などは時速110キロ、そしてインドネシアのように時速100キロの国もあり、ヨーロッパと比べると全体的に低めの印象です。
さらに南下してオーストラリアは、高速道路における最高速度は時速110キロですが、驚くことに一般道との逆転現象が発生。砂漠の中を突っ切るような一般道では、時速130キロの区間も。高速道路よりも一般道の最高速度の方が高いのは、珍しい例ですね。オーストラリアの一般道には、かつて速度無制限の区間もありましたが、2017年以降は最高速度が定められました。オーストラリア在住のスピード好きは、さぞかしガッカリしたでしょうね。
アメリカにも制限速度のない高速道路があった
実は、かつてアメリカにも速度制限のない場所がありました。しかも、1995年12月から3年間とわずか20年ほど前の話です。場所はモンタナ州。日中で乗用車のみという条件はありますが、当時は速度標識に最高速度の数字ではなく「REASONABLE&PRUDENT(無理がなく分別のある範囲で)」と書かれていたそうです。当時は全米各地から多くのスポーツカーやスーパーカーがモンタナ州に出かけたというエピソードも、当然といえば当然の流れですね。合法的にスピードを楽しめるのですから。
ちなみに、「マン島TTレース」でも知られるイギリス王室属領のマン島は、現在でも市街地を除き制限速度がありません。そのため欧州のクルマ好きの一部がスピードを楽しむために自慢の愛車で出かけるそうです。マン島には高速道路がなく一般道における最高速度の話なので今回のテーマからは外れますが、ちょっとびっくりしますよね。
日本の高速道路でも設計速度を時速120キロとして作られた場所もあり、しかも管理が徹底されて世界トップレベルのコンデイションのよさを誇ります。それにも関わらず、これまで長きにわたり時速100キロと、世界的にも低い最高速度でした。そんな中で、正式に引き上げが決まったことは、大きな出来事と言えるでしょう。
ただし、最高速度が上がっても、走る人みんながそのスピードを出す必要はありません。大型トラックなどは変わらず時速80キロが上限ですし、高速運転に自信のないドライバーはトラックのペースに合わせてゆっくり走れば、緊張も減らせます。ただし、ゆっくり走る場合は一番左の車線を走るように心がけてくださいね。
(文・写真:工藤貴宏 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
あわせて読みたい!
最新ニュース
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
-
-
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
2024.11.21
-
-
-
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
2024.11.21
-
-
-
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
2024.11.21
-
-
-
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
2024.11.21
-
-
-
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
2024.11.21
-
-
-
楽しく学べる「防災ファミリーフェス」を茨城県の全トヨタディーラーが運営する「茨城ワクドキクラブ」が開催
2024.11.21
-
最新ニュース
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
-
-
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
2024.11.21
-
-
-
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
2024.11.21
-
-
-
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
2024.11.21
-
-
-
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
2024.11.21
-
-
-
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
2024.11.21
-