なんと速度無制限も。世界の一般道の最高速度はどのくらい?

日本の一般道(高速道路や自動車専用道路ではない道路)における最高速度の上限は時速60キロ。つまり一般道では時速60キロを超えた速度で走るとスピード違反となります(市街地や山岳路などでは時速60キロ以下に制限されている道路も多く存在します)。
では、海外の一般道路の最高速度はどのくらいでしょうか? 調べてみました。

アメリカには高速道路のように速く走れる一般道もある

まずは、日本人が運転することも多いアメリカ合衆国。市街地では時速約40キロ(25マイル)に制限されている場所もありますが、郊外に行くと、信号や交差点はあるけれど中央分離帯がなく、高速道路に近い環境も存在。そういった場所では高速道路に準じて時速約120キロ(75マイル)まで許されている場合もあります。一般道として考えれば、世界的にみても高い速度で走れる環境です。

  • ひたすらまっすぐ走り続けるアメリカの一般道。クルーズコントロールが大活躍します。

欧州では、峠道での最高速度が高くて驚くことも

欧州はどうでしょうか。フランスは時速80キロ、イタリアは時速90キロ、そしてドイツやオーストリアは片側1車線の道でも時速100キロまで認められるなど全体的に高めの速度。それらの国は峠道でも時速70キロや時速80キロまで許されているなど、実際に走ってみても日本に比べると、みんなかなりのスピードを出しています。

日本の峠道の最高速度は「このくらいゆっくり走りなさい」という感覚ですが、欧州では「これ以上出すと本当に危ない」という印象。一方で、市街地や集落に入るといきなり最高速度が低くなると同時に、誰もがそれを守っておとなしく走ることに文化の違いを感じます(取り締まりが厳しいという理由もあるようですね)。

  • フランスの田舎道。この場所は最高速度時速70キロで、日本の感覚だと“かなりハイペース”。

欧州で制限速度が特に高いのは、モルドバの時速110キロ。スウェーデンも一般的には時速100キロですが、時速120キロの区間もあります。

イギリス王室領のマン島には制限速度が存在しない!?

そんな欧州で例外といえるのが、イギリス王室領のマン島。「マン島TTレース」という世界最古といわれる公道バイクレースが行われる舞台としても有名ですね。そんなマン島には、なんと一般道の制限速度がないのです。ただ、いくら制限速度がないといっても基本的に田舎道しかないので、常識を超える速さで駆け抜けるのは難しいかもしれません。

速度無制限といえば、かつてはオーストラリアの一部地域では一般道の最高速度がありませんでした。それは砂漠の真ん中を突っ切るような場所です。
現在は特定の地域で時速130キロまで許されていますが、基本的には時速110キロが上限。筆者がオーストラリアでクルマ移動していたときに、山の中を走る曲がりくねった道ながら最高速度が時速100キロとなっていて、大型のスクールバスまでもかなりの速さで走っているのを目撃し、日本との違いにビックリしました。

  • オーストラリアの山道。見ての通り曲がりくねっているのに、時速100キロまでは合法です。

アジア圏は時速80キロを上限とする国が多い

アジアはどうでしょう。日本のお隣にある韓国は時速80キロ。中国や台湾も韓国と同水準。例外は北朝鮮で時速100キロまで許されているそうです。アジアと欧州をつなぐロシアは、時速90キロを基本にしつつ地方政府の権限で時速110キロまで引き上げできるとのこと。

中東にいくと、カタール、クウェート、サウジアラビアなどで時速120キロを上限とする道路もあります。それらは砂漠の真ん中を走るような、見通しのいい場所がメインです。

実は、日本の一般道の最高速度も見直されている

ところで、日本の一般道路の最高速度は時速60キロが基本ですが、実はそれを超える場所があるのをご存知でしょうか。
栃木県のバイパスの一部区間は、一般道にもかかわらずなんと時速80キロ。また北海道、宮城県、新潟県、石川県、兵庫県、岡山県、宮崎県、そして鹿児島県などにも、高速道路や自動車専用道路以外で最高速度時速70キロの区間が存在。特に新潟は、時速70キロ区間の総延長が30㎞以上を誇ります。

それらの最高速度が時速60キロを超える場所は、平成21年に交通規制基準が改正され、制限速度の基準が見直されたことで生まれました。
「設計速度が時速60キロ以上であること」「立体交差化されていること」「上下線が中央分離帯などで分離されていること」「歩行者、軽車両、原付の通行止めがされていること」などの条件をすべて満たすほか、「見通しがいい」「勾配が少なく平坦である」といった特徴も備わることで実勢速度に合わせて最高速度が引き上げられたのです。

また、近年、幹線道路などで従来の時速50キロ制限から時速60キロへと引き上げられた場所も多く見かけます。外国に比べると制限速度が低く、長らく「規制と実情があっていない」といわれていた日本の速度規制。しかし、ここへきて少しずつ変化しているといっていいでしょう。

※いくつかの国においては初心者ドライバー専用の制限速度が設けられていることがあります。

※道路によっては、個別の制限速度が設定されている場合があります。現地を走行する際には、標識等をご確認ください。

<参考サイト>
JAF(日本自動車連盟) ヨーロッパ各国の最高速度
https://jaf.or.jp/common/global-support/global-traffic-rules/maxspeed

(文・写真:工藤貴宏 編集:奥村みよ+ノオト)

[ガズー編集部]

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