間もなく新型登場!? スポーツカーを身近にした「フェアレディZ」進化の歴史を振り返る

9月16日に発表された日産「フェアレディZプロトタイプ」。歴代のフェアレディZがどれも日本を代表するスポーツカーだけに、新型のプロトタイプは多くのクルマ好きの間で話題となりました。フェアレディZは、実に50年以上の歴史を持つクルマ。これほど長い歴史を誇るモデルは、日本車ではそう多くありません。では、どんな歴史を歩んできたのでしょうか? 振り返っていきましょう。

スポーツカーの民主化に貢献した「S30型」

  • 1971年「フェアレディZ 2シーター」

    1971年「フェアレディZ 2シーター」

1969年に登場した初代モデル「S30型」は、北米を中心に世界のスポーツカーファンに衝撃を与えました。ロングノーズ&ショートデッキのシルエットで誰もがスポーツカーと分かるエクステリアデザインと優れた動力性能、高い信頼性、リーズナブルな価格を兼ね備えていたのです。日本国内での価格は、84万円から。

当時、スポーツカーと言えばスタイリッシュで高性能であることと引き換えに、高価で信頼性に劣ることも多かったのですが、フェアレディZは既存のエンジンやトランスミッションをうまく活用することで、信頼性と低価格を両立したのです。発売当初のエンジンは6気筒2.0リッターに4速MT、5速MTの組みわせ。のちに2.4リッターエンジンや3速ATも追加されました。また、リヤシートを備えた「2 by 2」も、この頃に登場しています。

  • 1975「フェアレディZ-L 2by2」

    1975「フェアレディZ-L 2by2」

安価で高性能なだけでなく、整備性もよかったため、カスタムベースとしても人気を博します。漫画『湾岸ミッドナイト』に登場する「悪魔のZ」は、S30型をベースにした最高時速300km以上を誇るチューニングカーとして描かれていました。昭和48年排出ガス規制や昭和50年排出ガス規制を乗り越えながら、1978年まで20年近くも生産されます。

日本車初の「Tバールーフ」を採用「S130型」

  • 「フェアレディZ-T 2by2」

    「フェアレディZ-T 2by2」

2代目となる「S130型」は、1978年にデビュー。デザインはキープコンセプトとしつつも、初代では2.4リッターまでだった日本市場でも2.8リッターエンジンが搭載されたり、リアサスペンションがストラット式からセミトレーリングアーム式になったりと、中身は大幅に進化しました。

このモデルの大きな特徴が、ルーフ中央部を残して左右部が脱着可能なオープン機構「Tバールーフ」です。国産車では初の採用で、1980年に追加されました。以降、Tバールーフは4代目の「Z32型」まで採用され、フェアレディZのアイデンティティーのひとつとなります。

  • 「フェアレディZ 280Z-T Tバールーフ 2シーター」

    「フェアレディZ 280Z-T Tバールーフ 2シーター」

S130型フェアレディZと言えば、テレビドラマ『西部警察』での活躍が有名です。大門刑事部長が乗る特別機動車両「スーパーZ」は、ルーフに大きく切り込みがあるTバールーフを生かし、ドアをガルウィング式に。これにより、「走行中でも発砲可能」という大きな武器を手に入れたのです。

世界に通用するスポーツカーを目指した「Z31型」

  • 1983「フェアレディZ 300ZX 2シーター」

    1983「フェアレディZ 300ZX 2シーター」

2代目となるS130 型は5年でモデルチェンジを迎え、3代目となる「Z31型」に。1983年に登場したZ31型は、それまでの「安価で手の届くスポーツカー」から方向性を変え、ヨーロッパのスポーツカーにも通用するハイパフォーマンススポーツカーを目指して開発されました。

それだけに、さまざまな部分が新設計となっているのが特徴。エンジンは、直列6気筒に代わって新設計のV型6気筒を搭載。トップグレードは3.0リッターのターボつきで、当時としては高出力な230馬力を誇りました。

  • 1985年「フェアレディZ 2シーター 200 ZR-II」

    1985年「フェアレディZ 2シーター 200 ZR-II」

エクステリアは、それまで特徴としていた丸目ヘッドランプを「パラレルライズアップヘッドランプ」と呼ばれる、独自のタイプに変更。通常のリトラクタブルヘッドライトのように回転するのではなく、ランプが上下に平行移動する構造により、消灯時にもヘッドランプの一部が見えるという、ほかのモデルにはない独特の顔つきとなっています。また、空力性能も大幅に向上。cd値0.31と空気抵抗を減らし、時速250kmという最高速度を実現しました。

驚異の280馬力を誇った「Z32型」

  • 1989「フェアレディZ 300ZX 2シーター Tバールーフ」

    1989「フェアレディZ 300ZX 2シーター Tバールーフ」

バブル真っ盛りの1989年に登場した4代目「Z32型」。当時、日産が掲げていた「1990年代までに技術世界一を目指す」という「901運動」の中で生まれたモデルで、さまざまな箇所に最新技術が使われていました。電子制御式4WSの「スーパーHICAS(ハイキャス)」や、前後マルチリンク式のサスペンションも、その一例です。

しかし、Z32型を語る上で欠かせないのが、最高出力です。先代から改良されたエンジンは、日本車で初めて280馬力を発揮。名実ともに、世界に通用するスポーツカーへと進化しました。なお、長らく日本メーカーが取り入れていた「280馬力自主規制」は、このZ32型フェアレディZがきっかけだったとされています。

  • 1992年「フェアレディZコンバーチブル」

    1992年「フェアレディZコンバーチブル」

スーパーカーを彷彿とさせる、ロー&ワイドが強調されたスタイリングに惚れこむ人も多く、現日産の社長兼CEOの内田誠氏も過去に愛車として乗っていて、洗車するたびに斜め45度から眺めていたとか。1992年にはオープンモデル「コンバーチブル」が登場。ノーマルルーフ、Tバールーフと合わせ3種類というバラエティーに富んだボディラインナップを誇りました。2000年に生産終了となり、一時的にフェアレディZが日産のラインナップから途絶えてしまいます。

モータースポーツで活躍した「Z33型」

5代目モデルとなる「Z33型」は、2002年に登場。新世代のスポーツカーへと生まれ変わったZ33型は、プラットフォームが一新され、エンジンはターボから3.5リッター自然吸気エンジンへとチェンジ。ボディラインナップも、2シーターと2by2の2種類から2シーターのみに。なお、オープンモデルの「ロードスター」が、2003年に登場しています。

2002年の「スカイラインGT-R(BNR34型)」の生産終了により、日産のラインナップからGT-Rが途絶えていたこの時代、Z33時代はモータースポーツシーンでも活躍しました。全日本GT選手権(現スーパーGT)でのシリーズチャンピオンや、スーパー耐久での通算3シーズンチャンピオン獲得など、国内のモータースポーツシーンで、大きな成果を残したのです。

  • 全日本GT選手権に参戦した「フェアレディZ」

    全日本GT選手権に参戦した「フェアレディZ」

そうした背景もあり、全日本GT選手権用のホモロゲーションモデル「Type E」や、スーパー耐久仕様のエンジンを公道仕様に仕立てた「Type 380RS」など、S30型で登場した「Z432」以来となる、モータースポーツ由来のスペシャルモデルが登場した世代でもありました。

走りの進化を極めた「Z34型」

  • 2008年「フェアレディZ Version ST」

    2008年「フェアレディZ Version ST」

2008年に6代目となる現行モデル、「Z34型」がデビュー。排気量が3.7リッターに拡大された一方で、ホイールベースは100mm短縮。より走りを極めたモデルへと進化しました。

Z34型の登場当時、世界初のメカニズムとして注目されたのが、「シンクロレブコントロール」です。シフトチェンジの際、シフト操作に応じてエンジンの回転数を最適な回転数に制御するこのメカニズムにより、誰でもプロドライバーのような回転数のピタッとあったシフトチェンジができるようになりました。2009年には先代と同じくロードスターもラインナップに加わりますが、こちらは2014年に日本での販売を終了しています。

  • 2008年「フェアレディZ ロードスター」

    2008年「フェアレディZ ロードスター」

スーパーGTでの活躍は、2007年に登場した「GT-R」に引き渡しますが、スーパー耐久ではST-3クラスを中心に引き続き活躍中。「大排気量エンジン+FR+MT」という、昔ながらのスポーツカーの姿を今に伝える、貴重な存在となっています。

「Z35型」はどんなモデルになる?

先日発表となったプロトタイプが、7代目「Z35型」となるもの。歴代フェアレディZの特徴である、「ロングノーズ+ショートデッキ」のスタイリングは、各所に歴代モデルをオマージュしたデザインテイストが盛り込まれながらも現代的に。歴代のモデルを知る人には懐かしさが、若い世代には新しさが感じられるデザインではないでしょうか? まだ詳しいスペックは発表されていませんが、きっとスポーツカーファンの期待に答えてくれる1台になるに違いありません。

<関連リンク>
日産自動車
http://www.nissan.co.jp/

(文:西川昇吾 写真:日産自動車 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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