子どものためのカーレース!「ソープボックスダービー」って知ってる?

動力を持たない車両で坂道をくだり、その速度を競う「ソープボックスダービー(SOAP BOX DERBY)」。運転する子どもだけでなく、応援する親も楽しいイベントとして、最近ではトヨタディーラーの多くが協力しています。今回は、ソープボックスダービーのおもしろさに迫ってみましょう。

アメリカ発祥!子どものためのカーレース

ソープボックスダービーは、アメリカ発祥の子どものためのカーレース。ただし、車両にエンジンなどの動力機構はついておらず、坂道を下る勢いのみで走ります。また、コースは直線だけ。つまり、「地球の力(重力)」だけを使う重力カーレースで、速く走るコツは、いかに抵抗なく運転するか。スムーズで微妙なハンドルさばきが勝負をわけます。

その誕生は1933年。アメリカの写真家マイロン・スコット氏が発案し、最初のレースがオハイオ州デイトン市で行われました。参加は19名。その後、ソープボックスダービーは、自動車メーカーやタイヤメーカーがスポンサーになるなど全米規模のイベントに成長し、1936年にはオハイオ州アクロン市に常設コース「ダービーダウンズ」が完成。今も全米各地で年間数百ものレースが開催されるほどの人気を集めます。

  • 坂を下って、数百メートル先のゴールまでのタイムを競うのが「ソープボックスダービー」

    坂を下って、数百メートル先のゴールまでのタイムを競うのが「ソープボックスダービー」

  • 日本のレースで使われるスタート台。この坂を下る勢いで加速し、ゴールを目指す

    日本のレースで使われるスタート台。この坂を下る勢いで加速し、ゴールを目指す

アメリカの最高峰レースは、毎年夏に「ダービーダウンズ」にて開催される「オールアメリカン・ソープボックスダービー(AASBD)国際大会」。アメリカだけでなく、カナダ、ドイツ、ニュージーランド、フィリピン、日本からもたくさんの選手が参加しています。

ちなみに、同じように動力源なしのカートで坂を下る「ボックスカート」というレースも存在しますが、「ソープボックスダービー」が子どもたちのレースに対し、「ボックスカート」は大人も参加できるイベントが多いようです。

日本での本格的な開催は2000年代に入ってから

ソープボックスダービーは、アメリカで80年以上の歴史のあるレースですから、日本でもこれまで度々、開催されてきました。ただし、定期的な開催は2001年の「NPO法人日本ソープボックスダービー協会」の設立から。日本の協会が誕生してから毎年1回、大きなイベントが開催されるようになりました。

優勝した選手は、日本代表としてアメリカの「オールアメリカン・ソープボックスダービー(AASBD)国際大会」に参戦しています。驚くのは、スポンサーがつくようになる前は、日本代表をアメリカに送る費用を協会スタッフが自腹で用意していたこと。まさに協会スタッフの熱意が、日本におけるソープボックスダービー普及の原動力になっていたのです。

現在、日本ソープボックスダービー協会に対するスポンサーは約40社。協会が主催する日本の代表選考イベントは年に1回ですが、スポンサー各社が独自に開催するイベントも数多く、今では年間30~40回も全国各地で「ソープボックスダービー」が開催されています。

  • 2019年のSBDナショナルチーム選考会(国内大会・旧日本グランプリ)の表彰式

    2019年のSBDナショナルチーム選考会(国内大会・旧日本グランプリ)の表彰式

実車を走らせるだけでなく、模型の「モックカー」を使ったイベントも用意されています。こちらは「走らせる」だけでなく、「作る」という楽しみもプラス。子どもだけでなく、家族みんなで楽しめるため、年間30回以上も開催され、約1万組もの家族が参加しているとか。2019年12月に富士スピードウェイで開催された「TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL」でも実施されました。

  • 実車ではなく模型で戦う「モックカー」。走らせるだけでなく、作る楽しみもある

    実車ではなく模型で戦う「モックカー」。走らせるだけでなく、作る楽しみもある

  • 実車と同じように「モックカー」も重力の力、つまり坂道を下る勢いで走らせる

    実車と同じように「モックカー」も重力の力、つまり坂道を下る勢いで走らせる

車両はレンタルが基本。子どもなら誰でも参加OK

ソープボックスダービーに参加したいと思ったら、どのようにすればよいのでしょうか。基本的にソープボックスダービーは、イコールコンディション(条件を同じにすること)を守るためもあり、車両やドライバーの装備はすべてレンタルが基本。身体ひとつでOKとなります。イベント情報は、日本の協会ホームページをチェックするといいでしょう。

  • まるで車両が透けるかのように、周囲が一目瞭然

    まるで車両が透けるかのように、周囲が一目瞭然

  • 車両とドライバーの重量がスピードのカギとなるため、レース前に厳密に重量を測定し、イコールコンディションとなるように調整する

    車両とドライバーの重量がスピードのカギとなるため、レース前に厳密に重量を測定し、イコールコンディションとなるように調整する

日本の代表としてアメリカの大会に参加したいのであれば、年に1回開催される協会主催の選考会に挑戦してみましょう。参加資格は8~13歳。2020年の開催は12月上旬を予定しているので、まだエントリーは間に合います。ただし、今年はコロナ禍で規模が縮小されており、神奈川大会のみになるとか。つまり、神奈川県在住者のみの大会となり、優勝者には神奈川代表として、2021年の国際大会参加権と航空券が授与されるとか。残念ながら他の県にお住まいの方は、来年以降の開催に期待となります。

「私たちの活動が、社会課題解決の一助になるのではないかと考えています。小さな子どもがクルマと親しめるイベントですから、若者のクルマ離れの対策にもなるのではないでしょうか。また、クルマのイベントでも、親子で盛り上がれることも、ソープボックスダービーの魅力だと思います。ぜひとも、みなさん気楽に参加してほしいと思います」と協会事務局の山本さん。

  • クルマと親しむ「ソープボックスダービー」は、子どもだけでなく親子で一緒に楽しめるのも特徴

    クルマと親しむ「ソープボックスダービー」は、子どもだけでなく親子で一緒に楽しめるのも特徴

カーレースに興味のあるお子さんがいたら、子どもが体験する最初のモータースポーツとして、ソープボックスダービーに参加してみてはいかがでしょうか?

(取材・文:鈴木ケンイチ 写真:NPO法人日本ソープボックスダービー協会 編集:木谷宗義+ノオト)

<関連リンク>
NPO法人日本ソープボックスダービー協会
https://nsbd.org/

[ガズー編集部]

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