廃車寸前の高速隊「GTO」パトカー、愛知県警広報課の顔に
2020年10月、愛知県警はこれまで県警高速隊で活躍していた「GTO」のパトカーを広報課に移管。1997年に愛知県警に導入された三菱自動車製スポーツカー・GTOですが、車体の老朽化などを理由に廃車が決まっていました。愛知県警は、どのような経緯でGTOパトカーを広報課に迎え入れたのでしょうか。愛知県警察本部総務部広報課の担当者にお話を伺いました。
愛知県警高速隊で活躍したパトカー「GTO」
1990〜2001年に生産・販売され、人気を誇っていた「GTO」。愛知県警の保有する車体は97年式で、2970ccの四輪駆動です。屋根にはV字型でスピーカー付きの赤色灯が載っており、当初はボンネットに透明の虫除け「バグガード」が取り付けられていました。警察庁の公費で購入され、97年に愛知県警高速隊に配備。県内の高速道路における交通違反の取り締まりに活躍しました。
「4シーターの車体ですが、2シーターに近いほど後部座席が狭く、違反者とのやり取りに苦労する場面があったのでは、と思います。乗降車時には多少面倒があったかもしれませんね」と担当者は話します。
当時、全国で数カ所の県警に導入されましたが、「なぜGTOの車種が選ばれたのか」という理由は分かっていないそうです。
「残念ながら明確な記録は残っていません。しかし、90年代はハイパフォーマンスなクルマが流行っていたため、そういった速いクルマに取り締まる側が対応する必要があったのではないでしょうか。シンボリックな存在に、との考えもあったかもしれませんね」(担当者)
GTOパトカーは、ほとんど取り締まりに出なくなってからも全国からファンが写真を撮りに訪れたり、近くの幼稚園児たちが見学に来ていたりしたこともありました。車体としても根強い人気を保っているGTOですが、各県警車体はほとんど廃車となり、現在保有しているのは愛知と新潟の2県警のみとなりました。
県警広報課の「顔」として、第二の人生を
GTOの走行距離は10万㎞に近く、車体は老朽化。整備工場からは、替えのきかない部品もあると言われていたそうです。そういった背景から2020年8月、車検が切れるタイミングで廃車が予定されていました。
「私が廃車リストにGTOが入っているのを発見したのがきっかけでした。人気のGTOを廃車にするのは惜しいのでは……と掛け合って、組織的に再検討してもらうことに。広報用のクルマとして使うのはいいのではないか、と認めてもらい晴れて広報課に移籍することになりました」(同)
広報課に配属されたGTOを愛知県警察公式Twitter(愛知県警察広報課@AP_KOUHOU)で紹介すると、さっそく話題の的に。「いいね」の数は、3,000件を超え(20/11/10現在)、リツイートやインプレッション数も過去最高の反響となりました。
「まさかここまで注目されるとは思っておらず、GTOの持つ“発信力”を感じた瞬間でした」(同)
今後は、県警のPRカーとしての活躍に期待が集まっています。大人だけではなく子どもたちにも人気の車体なので、見て、触れることのできるパトカーとして、交通博などの交通安全啓発イベントで展示される予定です。
「GTOを通じて警察への理解と協力を促し、警察の施策を知るきっかけになってほしいと考えています。発信力のあるGTOだからこそ、市民のみなさんの元に情報が伝わりやすくなるのではないでしょうか。そして、GTOパトカーとしては全国最後の1台になるまでがんばってほしいですね」(同)
県警広報・宣伝の顔となったGTOですが、現在はコロナ禍の影響で大きいイベントの予定は立っていないとのこと。そんな状況下ではありますが、県警広報課の公式TwitterではGTOを用いて交通安全啓発動画の配信をしています。動画内では、公道をGTOが走る姿も! ぜひGTOパトカーの新たな活躍をチェックしてみてくださいね。
<関連リンク>
愛知県警察
https://www.pref.aichi.jp/police/
愛知県警察広報課公式Twitter
https://twitter.com/AP_KOUHOU
(取材・文・写真:笹田理恵/編集:奥村みよ+ノオト)
[ガズー編集部]
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