三菱自動車が「リモート工場見学」をスタート!やってわかった工場見学の新たな価値
小学5年生になると、社会科で「日本の自動車産業」を学びます。その一環として、工場見学に行く学校も多く、「自分も行ったことがある」という人もいるでしょう。
しかし、新型コロナウィルスの影響から、2020年は自動車工場見学の延期や中止が相次ぎました。そこで三菱自動車は、9月23日からリモートでの工場見学を開始。どんな風に行っているのでしょうか? 三菱自動車工業 広報部に伺いました。
リモート工場見学はどんな内容?
今回、三菱自動車が始めたリモート工場見学は、Web会議システムを通じて愛知県岡崎市にある三菱自動車岡崎製作所を見学するというもの。リアルタイムでの授業形式でのやり取りと、事前に収録した工場の様子を合わせて、小学生の時間割と同じ1コマ45分で構成されています。
事前にリモート授業の“しおり”が配られたり、授業の最後に質問タイムを設けられたりするなど、一方的になりがちな映像授業に留まらず、より興味と理解が深められるように工夫されていました。
リモート工場見学を始めたきっかけが新型コロナウィルスであることはたしかですが、一番の原動力となったのは、「子どもたちに学習の機会を残したい」という思いだそうです。
「コロナ禍となり、見学の受け入れだけでなく、生産ライン自体をストップする工場が相次ぎました。そうした中で、仮に見学が再開したとしても実施を懸念する学校が多くなり、子どもたちの学習の機会が奪われてしまうのではないかと思いました。そこで、そのような場を継続するためにもリモートでの工場見学を実施しようと考えたのです」(広報部担当)
リモート工場見学に向けて新たに用意した学習内容も
リモート工場見学を行うにあたり、実地の工場見学で得られる迫力が失われ、子どもたちに「今までと同じように興味を持ってもらえるか」が懸念されていました。
「今まで行っていた実地の工場見学では、大きな生産機械が稼働している様子など、生産工程の迫力を体験できることが醍醐味とも言えました。授業の中では、製造工程の映像も取り入れていますが、リモート工場見学ではどうしてもその迫力を味わうことはできません」(同)
そこで、今までの工場見学のプログラムをそのまま授業内容にするのではなく、興味を持ってもらえるように、新たな内容も取り入れたそうです。
「今回の取り組みでは、省エネルギーの生産ロボットを導入していることや、工場で太陽光発電を採用していることなど、生産時の環境への取り組みや、環境に優しいクルマなど、『環境』に関する内容を充実させました。また、自動車の開発の流れや将来の自動車についても紹介しています。」(同)
全国の学校から反響が寄せられる
こうして実施が決定したリモート工場見学。初めての取り組みだけに、苦労も多くあったと言います。
「開始当初は、私たち自身がまだWeb会議システムに不慣れでした。それは学校側も同じで、なかなか教室とスムーズに繋がらず、予定時間を過ぎてしまったことも……。中には、教育現場で新たにWeb会議システムを導入することに対して、教育委員会の許可が必要な学校もあり、事前準備に苦労することは多かったですね」(同)
スタートするまでにハードルも多かったというリモート工場見学は、地元、愛知県岡崎市の小学校から開始。今では、全国の小学校から問い合わせが相次いでいるそうです。
「例年、受け入れていた地元の小学校はもちろん、北は北海道、南は沖縄まで、全国18都道府県からお問い合わせをいただいています。11月10日の段階で、4000人を超える子どもたちがリモート工場見学を体験しました」(同)
全国から工場見学ができるということは、工場が近くになくて工場見学ができなかった子どもたちも参加できるということ。実際、「リモートなら今までできなかった学習ができる」と、近隣に工場のない都市部の学校からの反響も大きいと言います。
授業を受ける児童たちは積極的!
「リモート工場見学を行ってみると、子どもたちの積極的なリアクションに驚きました。新しい形式での授業にワクワクして、多くの子どもが興味を持って説明を聞いてくれています。質疑応答の時間では、本当に多くの質問が寄せられていて、関心を持ってくれていることがわかりました。内容も『今までにないボディカラーを作るにはどうしたらいい?』『空飛ぶクルマはできる?』といった、大人では考えないようなものが多くて新鮮です」(同)
コロナ禍の影響を受けて始まったリモート工場見学ですが、リアルな工場見学を再開しても継続していく予定とのこと。
「今回、多くの小学校からお問い合わせをいただいて、見学できる工場が近くになくて、工場見学を断念していた学校があることがわかりました。より多くの子どもたちに、自動車づくりを知ってもらう機会を設けるために、実地の工場見学を再開しても、リモート工場見学は継続して行く予定です」(同)
リモート工場見学という新しい学習の形から、工場見学の裾野が広がったとも言える今回の取り組み。現在様々な会社がリモート工場見学を開始しており、今後様々な産業への広がりを見せていくかもしれません。最後に、こんなうれしいエピソードを教えてくれました。
「小学生から直接、『リモートで工場見学ができると聞いたのですが…』と、お問い合わせをいただきました。これは本当にうれしかったですね。この取り組みをやって本当によかったと思った瞬間でした」(同)
三菱自動車のリモート工場見学は、ひとまず2021年3月31日(水)まで開催予定。「ぜひ、子どもに受けさせたい」と思った親御さんや教師の方は、ぜひ学校に相談してみては?
(取材・文:西川昇吾/写真:三菱自動車工業株式会社/編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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