名古屋の街を走る「金色のタクシー」! 3代目はエスクァイアにフルモデルチェンジ

「金のしゃちほこ」の影響からか、「金色が好き」というイメージを持たれがちな名古屋。その名古屋市内で10年以上前から「金色のタクシー」が走っているのをご存知でしょうか。これは、同市西区に本社を構える「フジタクシーグループ」が1台のみ保有している車体で、外観全体が金色に塗装されています。「街で見かけると幸せになれる」という噂もあるタクシーが今夏フルモデルチェンジ。誕生のエピソードやモデルチェンジした経緯について、同社広報担当者にお話を伺いました。

「お客さまへの恩返しとおもてなし」として誕生

  • 名古屋城の前を走る初代・金のフジタクシー

始まりは、2007年。フジタクシーグループ創業50周年を記念したプロジェクトで誕生したのが、金のフジタクシーでした。

「“名古屋だから金”とのイメージから企画された面もありますが、我が社が50年間がんばれたのはお客さまあってのことなので、お客さまに恩返しができないか?恩返しするために何を表現できるか?という視点から生まれたプロジェクトです」(担当者)

当初は、1年間だけの限定車両となる予定でしたが、メディアに取り上げられ反響が大きく、「もっと走らせて欲しい」という要望もたくさん届いたことで継続を決めたそうです。想定外のプロジェクトとなりましたが、「金のタクシーを見かけると良いことがある」といった都市伝説的な口コミが自然発生し、いまでは名古屋のシンボルのような位置づけになっています。

初代と2代目(2012年〜)は、同社の通常車体だったセダンタイプのクラウン(CROWN SUPER DELUXE)が金色に塗装されて走っていましたが、2020年7月にフルモデルチェンジし、3代目の車体はトヨタのミニバン「エスクァイア」に生まれ変わりました。

「2代目と同じ車種は生産していなかったので思い切って車種をイメージチェンジしました。時代的にもインバウンド需要が高まり、お客様のニーズが変わってきているため、大型でたくさんの人数が乗車できるエスクァィアに決めました」(同)

ドアノブ、エアコン、ハンドル……車内の細部までもが金色づくしに

  • 運転席のコントロールパネルも金色

金のタクシーは外観だけでなく、車内外のドアノブ、ハンドルのエンブレム、エアコンの吹き出し口など内装の至る所に金色が使われています。乗る機会があれば、ぜひ内装をじっくり観察してみてください。

ナンバープレートの「731」は、フジタクシーの創業日にちなんで付けられたものです。本来なら5月にモデルチェンジを発表予定でしたが、新型コロナウイルスの影響により延期となり、創業記念日に合わせて7月末に発表。

「新型コロナウイルスの影響でタクシー業界のダメージは大きく、売り上げは半減しました。こんな時代だからこそ、金のフジタクシーで明るい話題を届けたいという思いも込めています」(同)

  • 乗客は6人まで。赤色のフロアマットでよりゴージャスな印象に

業務内容と料金は、通常のタクシーと同じで、「流し」が基本。接客が良く、事故や苦情のない優良ドライバーのみが運転することになっています。予約は基本受け付けておらず、結婚式などのお祝い事のみ可能。新郎新婦の送迎や二次会会場への移動に使われているそうです。

「交通安全」「心願成就」など、御利益の期待できる乗車記念証

  • 4種を並べると、絵柄が浮かび上がってくる仕掛けも

街で見かけるだけでもラッキーですが、さらにうれしいことに乗車すると成田山萬福院(同市中区)で祈祷を受けた「乗車記念証」を乗務員から受け取ることができます。「交通安全」「健康御守」「心願成就」「金運御守」の4種類の中からランダムで1枚配布されます。

同社が保有する508台のうち、1台だけの貴重な車体。主に名古屋駅や栄エリアなどの中心部を走っていますが、期間を決めて5カ所の営業所で転々としているので名古屋市内だったら見かける可能性はあるそうです。フジタクシーに配車を頼んだら、金のフジタクシーがやって来ることもあるのだとか。

「金のフジタクシーを知っている人でも、実際に乗る機会はそうないので、乗車されたお客様は驚いて喜んでくれます。中には街で止めていただき、“このあたりをぐるっと回って、乗車した場所に戻ってきて”とリクエストされるお客様も。“見ると幸せになる”という声もありますが、そういったイメージが定着してくれるのは私たちもうれしいです」(同)

見かけただけでも幸せな気分になれる金のフジタクシー。金色に輝く車体は、これからも街ゆく人や名古屋を訪れた人に幸せを与え、街を盛り上げる存在となってくれそうです。

<関連リンク>
フジタクシーグループ
https://fujitaxi.jp/new_gold_fujitaxi/

(取材・文・写真:笹田理恵/編集:奥村みよ+ノオト)

[ガズー編集部]

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