世界の「交通ルール」は驚きがいっぱい!欧米とアジアにはこんなルールが

―When in Rome, do as the Romans do.―

これは、英語のことわざで、「ローマに行ったらローマ人がやるようにふるまえ」という意味。日本語だと「郷に入れば郷にしたがえ」。出かけた先では、その場所のルールや風習に従いましょう、ということですね。

それは交通ルールだって同じこと。海外に出かけてクルマを走らせていると、世界各地にはいろいろなルールがあって、日本人としては驚くことも。日本の常識が世界共通ではないことを実感します。そこで今回は、日本では非常識だけど世界のある場所ではごく当たり前の“驚きのルール”を紹介しましょう。

アメリカは赤信号でも「右折」ができる

日本の交差点では、前方の信号が赤ならば(矢印信号が出ているときや特例的に左折可の交差点を除いて)クルマを前へ進めることができません。

  • 「赤信号で右折できる」が基本なので、この標識がない限りは右折して構いません。(写真:工藤貴宏)

しかし、アメリカでは赤信号でも右折(右側通行なので日本の左折に相当)が可能。まずは一時停止をして、しっかりと安全を確認してから曲がらなければいけませんが、合法的に右折ができます。

赤信号で右折してはいけない交差点だけ、信号の脇に「NO TURN ON RED(赤信号で曲がるな)」という標識がついていて、標識のない交差点は赤信号でも右折OKです。日本の感覚で右折の信号待ちをしていると、後ろから「プッ!」とクラクションを鳴らされることも。

踏切での「一時停止」はしない

踏切を超えるときは、直前で一時停止をして安全を確認しますよね。教習所では窓を開けて音も確認しないと減点対象です。

しかし、海外ではその必要はありません。というか、やってはいけません。一般的な乗用車に一時停止の義務はないし、逆に止まるべきではない場所で停車することで後続車から追突される可能性があるので、かえって危険なのです。

  • 日本人は、ついつい踏切の前で一時停止しそうになる…(写真:工藤貴宏)

踏切で一時停止する義務がある国は、日本のほか、韓国などきわめて少数派。踏切では止まらないのが世界のスタンダードなのです。日本人は踏切前での一時停止が染みついているので、海外でクルマを運転するときは気を付けましょう。

乗降中のスクールバスがいたら必ず停車

前方にバスが止まっていたら安全を確認して追い越す、というのが日本の常識。でも、アメリカへ出かけたときには、停車中のスクールバスに要注意です。

なぜなら、子どもが乗り降りするために「STOP」のマークを出して停車しているスクールバスがいたら、後続車は最低25フィート(約7m)離れて待っていなければいけないから。車線が複数ある場合や、対向車線(中央分離帯がある道路を除く)を走るクルマも同じです。

  • アメリカのスクールバス。乗降のための停車時は、「STOP」のマークがパカッと起きて、上下の赤いランプが点滅する

理由はもちろん、子どもたちの安全を守るためです。もし、うっかりバスの横を通過してしまったら……警察に通報される可能性が高いので、くれぐれもご注意を。

高速道路はまさかの速度無制限

ここからはヨーロッパに飛んで、ドイツのルールをお伝えしましょう。ドイツには「アウトバーン」と呼ばれる高速道路がありますが、その特徴は“速度無制限区間”があること。つまり、時速200キロだろうが300キロだろうが、出しても合法なのです(推奨速度は時速130キロ)。

  • クルマ好きなら、一度は走ってみたいアウトバーン(写真:工藤貴宏)

ただし、アウトバーン全線が速度無制限ではなく、状況にあわせて速度規制区間もあります。とはいえ、かなりのハイペースで走っている高性能車を頻繁に見かけるのはさすが。

渋滞時は道を開けて止める

アウトバーンの話題をもうひとつ。アウトバーンも渋滞することがありますが、その際はちょっと面白い状況に出会います。渋滞で停止する際は、2車線区間なら左右車線の真ん中、3車線区間なら一番左の車線と中央車線の間をしっかりと開けてクルマを止めるのです。左右にクルマがどいてサッと通路ができるかのような様子は、まるでモーゼの「十戒」のよう。

  • 渋滞のアウトバーンで停止するときは、緊急車両の通路を作る(写真:工藤貴宏)

その理由は、緊急車両を通すため。たとえ後ろに緊急車両がいなくても、止まるときは緊急車両の通路を確保することがルールなのです。

路駐は当たり前。もちろん合法的に

ドイツをはじめヨーロッパへ出かけると、市街地の道端に路上駐車をたくさん見かけることに驚きます。もちろん、それも合法。日本とは違い、欧米では道端にクルマを置くことを前提に街づくりが成り立っているからです。

  • ビッシリと並ぶパリ市街地の路上駐車車両。もちろん合法。(写真:工藤貴宏)

もちろん駐車禁止の場所もありますが、それはしっかりと守られるのが欧米流です(取り締まりが厳しい)。幹線道路は駐車禁止、裏道は路駐OKというメリハリがついている印象ですね。

タイは渋滞対策で反対車線を走らせる

東南アジアの中でも、発展が著しいタイ。その首都バンコクでも、渋滞は大きな問題になっていますが、ときどき驚きの光景を目にします。

なんと、複数車線の道路の車線をひとつ、逆方向のために使うのです。工事しているわけでもないのに。それも、中央分離帯のない道路ならわかります(日本でも時間帯で車線を使い分ける一般道がある)が、中央分離帯のある高速道路でもやっているのだからビックリします。

  • 通勤ラッシュ時のバンコク郊外の高速道路。反対方向が都心へ向かう上り車線。(写真:工藤貴宏)

その理由は、渋滞対策。たとえば朝の通勤ラッシュ時は、都心方向へ向かう車線を増やして交通量を稼ごうというわけですね。

こうしていろいろな国の交通ルールを見ていくと、日本の常識が世界の常識とは限らないことがわかります。海外でクルマを運転するときは、十分に気を付けましょう。

(文・写真:工藤貴宏 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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