消防車っていつ頃からあるの?日本における消防車の歴史
3月7日が「消防記念日」に制定されていたり、3月と11月に「火災予防運動」の期間があったりと、乾燥による火事も多い日本には、火災や消防にまつわる日や期間があります。
また、火事や火災のときには消防車の存在が欠かせません。では、この消防車、いつ頃生まれ、どのように進化してきたのでしょうか? 消防車の歴史を簡単に振り返ってみましょう。
世界で最初の消防車は19世紀末
消防車の歴史は定義によっても変わりますが、手動ではなく、動力機関を使ってポンプを動かす消防車の登場は、時期がはっきりしています。それは1829年、場所はイギリスです。
蒸気機関を使って、ジョージ・ブラィスウェイトとジョン・エリクソンが、初めての蒸気ポンプ「ノービリティ号」の製作に成功します。このポンプ車は10馬力で、毎分900~1,200リットルの水を約30メートルの高さまで放水できたそうです。
とはいえ、このポンプ車はまだ自走はできず、馬で牽引していました。自走できるポンプ車は、アメリカで1870年代に登場。ガソリンエンジンが発明される前で、蒸気機関で走行しました。
日本では、1884年(明治17年)の7月1日に、消防本署(現・東京消防庁本庁)が、それまで使っていた手押しポンプである「龍吐水(りゅうどすい)」に代わって、蒸気ポンプと人員輸送車を1台ずつ配置したという記録があります。
日本では、この配置以前から消防車は注目されていたようで、1876年(明治9年)の新聞には、フィラデルフィア万国博覧会の本館近くで発生した火災で活躍した消防車の記事があります。紙面では、蒸気機関車のポンプが水を射出すると、晴れているのに辺りは雨が降ったようになり、消火活動に威力を発揮した旨が書かれています。
ガソリンエンジン消防車の日本上陸は1911年
「消防ポンプ車」と呼ばれる、ガソリンエンジンを搭載した今の消防車の原型となる車両は、1905年(明治38年)にアメリカで生まれたものが最初だとされています。
日本で初めて導入したのは大阪で、1911年(明治44年)に、ドイツのベンツ製の車両が輸入されました。東京に消防ポンプ車が導入されたのは、1917年(大正5年)。アメリカ、ラフランス社製の車両でした。
その年の5月の新聞記事では、大阪や名古屋で使用されているのに東京だけその設備がないのは遺憾であると、当時の消防本部長が発注したとあり、遅くとも7月には届くはずだと書かれています。
なお、この時期、すでに「消防車=赤」という今と同じ色が日本で定着していました。理由は諸説ありますが、外国から輸入した蒸気ポンプや消防車が赤であったからそのまま赤にした、というのがよく知られた説となっています。
本格的な国産消防車は戦後になってから
国産の消防車が登場したのは、1939年(昭和14年)のこと。トヨタの「KB型トラック」をベースに、戦中に製造されていますが、本格的な国産消防車の登場は、戦後を待たねばなりません。
トヨタでは戦前~戦中に開発した「GB型トラック」や「KB型トラック」に使用していた「トヨタ・B型エンジン」を流用する形で、1950年代まで消防車を開発しました。ちなみに、初期型の「ランドクルーザー」も同様のエンジンを使用しており、同車をベースにした消防車もあったようです。
いすゞ自動車では、「TX」をベースに1950年代から消防車を製造。昭和30年代には、消火栓や防火貯水槽を用いて、放水しなくても自己の水タンクを利用して初期消火を行える、水槽付消防ポンプ自動車へと進化していきます。
また、この時代ならではのオート3輪の消防車もありました。しかも、自動車メーカーではなく、ポンプの製造会社が消防車まで作っていたケースも多く、戦後復興・発展による車両不足を感じさせます。
消防車として、ポンプ車のほかに忘れてはならないのが、人命救助や高所の火災に対応する、油圧式の移動はしご車です。この種類の消防車は、1954年に西ドイツから輸入したのが、日本で初めての車両で、国産車は1957年(昭和32年)に登場しています。
近年の消防車は、みなさんがご存知のとおり。化学消防車や排煙車、大型放水砲車など、さまざまな種類の車両が、私たちの安全を守っています。
(参考文献)
読売新聞1876.12.05 朝刊
読売新聞1917.05.16 朝刊
読売新聞1954.12.27 朝刊
『ニッポンの歴代レスキュー車BEST100』芸文社
東京消防庁HP
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/libr/qa/qa_61.htm
(文:斎藤雅道/編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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