吹雪を避けて冬も安全ドライブを。「北の道ナビ『吹雪の視界情報』北海道版」とは?
積雪地での冬のドライブで怖いものの一つはなんといっても吹雪によるホワイトアウト。ホワイトアウトにより道を見失うと大きな事故にもつながりかねません。2013年より吹雪の状況を把握することができるサイト「北の道ナビ『吹雪の視界情報』北海道版」が運用されています。サイト開設のきっかけや積雪地での吹雪の際の心がけなどを、国立研究開発法人 土木研究所 寒地土木研究所(以下、寒地土木研究所) 上席研究員の萬(よろず)直樹さんに伺いました。
「北の道ナビ『吹雪の視界情報』北海道版」とは?
「北の道ナビ『吹雪の視界情報』北海道版(以下、吹雪の視界情報)」は、2013年に開設された北海道各地の吹雪の情報を提供するサイトです。メインとなっているのは現在時刻から3時間後、4時間後、5時間後……と24時間後まで細かく時間を区切って提供される吹雪により起こる視界情報です。道内を221エリアに分け、視界の状況を「良好」、「やや不良」、「不良」、「かなり不良」、「著しい視程障害」の5段階で色分けし、北海道地図上に示して情報提供しています。
それぞれの段階の状態が一目でわかるイメージ画像が示されているため、数値のみではわかりにくい視界を予想、確認することができるようになっています。
他に、サイト内にはボランティアのサポーターが道内各地から提供する現地の情報、気象警報・注意報や通行止め情報、お役立ち情報として寒地土木研究所の研究成果である吹雪についての知識・情報などが掲載されており、雪の北海道をドライブする際に必要なデータが充実しています。
「吹雪を予測できないか?」研究成果としての情報提供サイト
――こちらのサイトはどのような経緯で開設されたのですか?
寒地土木研究所は、寒地土木技術に関する研究開発を行い、それに基づいた技術指導や研究によって得られた成果を普及するという研究機関です。「吹雪の予測ができないか」というテーマを掲げてスタートし、その研究成果を一般の方向けに公表するという一連の流れのアウトプットがこの「吹雪の視界情報」サイトになります。
――吹雪の予測というのはどのように行うのですか?
特定の単位時間当たりに飛んでくる雪の粒子の量が多くて前が見えなくなる……それが吹雪なんですね。要するに雪が目の前をたくさん通過している状況なわけです。ただ、吹雪が起きる条件というのはさまざまな要因が重なっているものです。そこで研究としては、気象データからコンピューターでアルゴリズムを作って吹雪が起きる予想データを出していきます。そして、気象予報士さんにそのデータを確認してもらい、最終的なデータとしてサイトに情報をアップしているのです。
――サイトにアップされるデータを見る以外に情報を得る方法はありますか?
メール配信サービスを行っています。こちらは、ご自身の必要なエリア、配信時間、視界がどの段階になったら配信してほしいか、何時間後の状態を知りたいかなどを選択し登録するとメールを受け取ることができます。エリアは46エリアから複数選べますし、時間も何パターンか設定がありますので、必要な情報を確実に得られると思います。
――逆に各地から情報を提供してもらうシステムもあるそうですね?
北の道サポーターですね。写真やコメントでそれぞれ現地のリアルタイムの情報をアップしてもらうものです。2020年4月現在、全道で660人ほどのボランティアのサポーターに登録していただいています。これにより気象データや道路管理者が設置している道路のカメラ画像では網羅しきれない地域の状況もきめ細かく把握することが可能となってきています。
――これらの情報を合わせて吹雪に備えるわけですね
例えば、5段階のうちの5では視界は100m未満でほぼホワイトアウト状態なので、そのような予測が連続で出ている場合はそのエリアに向かうのは避けたほうがいいわけです。利用者のアンケ―トでも、経路選択に役立ったという声が一番ですね。また、通る道路を選ぶとともに、出発を早くしたり遅くしたりと行動するタイミングをずらして危険を避けられたという声も多いです。
北海道以外の地域で吹雪を避けるために気をつけたいこと
――「北海道版」ということですが、他の地域での情報提供はないのですか?
今のところは北海道のみです。ただ、現在、青森県までデータを出すことができないかという研究は行っています。データ解析の方法は基本的には同じなのですが、やはり雪質の違いなどがあるので、北海道と比較してどの程度まで同じでよいのか、別のやり方をとった方がよいのかなどを研究しているところです。
――青森県以外、例えば、新潟県や北陸地方などについてはどうですか?
現状では、青森県のみで、その先は未定です。
――では、北海道以外の地域で、吹雪を予測とまではいかなくても、天気予報を見て、吹雪にあうのを避けるコツを教えていただけますか?
まずは風が強いとき、それから、雪の降る日が続いて路肩の雪山が高くなっている状態のときは気をつけてください。吹雪は降ってくる雪と既に積もっている雪が舞い飛ぶのと両方から起きるからです。さまざまな条件により状況は変わりますので予測をするのは難しいでしょうが、やはり風の影響が一番強いので、風速が10~30m/sと予想されているときには動かない方がいいかと思います。
冬のドライブでは吹雪や道路の凍結など、夏期には思いもよらないような状況が発生することが多々あります。その地域にあった情報収集をしっかり行い、無理せず余裕をもった運転を心がけたいものです。
<取材協力>
国立研究開発法人 土木研究所 寒地土木研究所
https://www.ceri.go.jp/index.html
(取材・文:わたなべひろみ/写真:国立研究開発法人 土木研究所 寒地土木研究所/編集:奥村みよ+ノオト)
[ガズー編集部]
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