日本ではどんなクルマが売れているの? 2020年の新車販売ランキングを見てみよう
459万8615台。この数字は、2020年の1年間に日本で販売された乗用車の総数です。これは国別でみると、中国、アメリカ合衆国に次ぐ世界第3位の市場規模。その内訳は登録車(小型車/普通車)が288万527台で、軽自動車が171万8088台となっています。
ところで、日本ではどんな車種が人気なのでしょうか。今回は2020年に多く販売された登録車の上位ランキング10台を見てみましょう。
※販売台数はすべて自販連(一般社団法人日本自動車販売協会連合会)発表(2021年1月速報時点)
もっとも売れたクルマは、トヨタ「ヤリス」シリーズ
車名別ランキングで2020年のナンバーワンとなったのは、トヨタ「ヤリス」。15万1766台を販売しました。ヤリスは2020年にデビューしたコンパクトカーです。
実は、ヤリスとしてカウントしているクルマはハッチバックのヤリスのほか、SUVの「ヤリスクロス」、そして高性能モデルの「GRヤリス」も含まれます。気になるその内訳は、ヤリス(2020年2月発売)が11万5300台、ヤリスクロス(2020年8月発売)が3万2810台、そしてGRヤリス(2020年9月発売)が3670台(内訳の販売台数はトヨタ自動車調べで下1桁を四捨五入)。
ヤリスクロスの販売期間は実質5カ月しかなかったので、2021年は販売台数がさらに伸びるかもしれませんね。
コンパクトSUVのトヨタ「ライズ」が大人気!
ランキング2位は、12万6038台を販売したトヨタ「ライズ」。コンパクトボディのSUVです。このクルマの2位は、歴史的な出来事と言っていいでしょう。その理由はSUVだから。
これまで、SUVの年間販売ランキング最高位は、2017年のトヨタ「C-HR」で“4位”でした。それがトップに迫るまでの人気を博したことで、2020年はいかに多くの人にSUVが受け入れられたのかを物語っているといえます。実は、“単一ボディ”としてカウントすると、このライズが2020年に(軽自動車を除き)最も売れた乗用車となるのです。
トヨタ「カローラ」シリーズも人気に
2019年のモデルチェンジからジワジワと人気が盛り上がってきたカローラシリーズが、3位にランクイン。同車は2017年には12位でしたが、2018年は8位、2019年は4位、そして2020年には3位と、ここ数年ランキングが上昇しています。
カローラシリーズにはセダンの「カローラ」のほか、ワゴンの「カローラツーリング」、ハッチバックの「カローラスポーツ」、そして従来モデルの「カローラ アクシオ」とワゴンの「カローラ フィールダー」、さらにはカローラアクシオをベースとした「トヨタ教習車」も含まれます。販売台数は合計で11万8276台でした。
フルモデルチェンジしたホンダ「フィット」が4位
4位にランクインしたのは、2020年2月にフルモデルチェンジしたホンダ「フィット」。Aピラーを細くして斜め前方の視界を広げるなど、運転のしやすさに配慮しているのが印象的なコンパクトカーです。販売台数は9万8210台。ガソリン車とハイブリッド車が設定されていますが、ハイブリッドが人気となっています。
定番のラージミニバンも上位にランクイン
ミニバンでもっとも上位にランクインしたのが、定番のラージモデル。トヨタ「アルファード」です。同車のこれまでの最高位は、2002年から2005年にかけて3年連続の9位でした。それが2020年には9万748台を販売して、大幅な記録更新となったのです。
6位は堅実に売れている、コンパクトトールワゴン
今、ファミリー層に人気となっているのが、小さなボディだけど室内が広いコンパクトトールワゴン。6位となったトヨタ「ルーミー」もその1台です。販売台数は8万7242台。兄弟車の「タンク」も3万5591台販売され、合計すると12万2833台。人気ぶりがうかがえます。
コンパクトミニバンも人気が高い
7位と8位は、コンパクトボディのミニバンが続きました。7位は7万6283台を販売したホンダ「フリード」。全長4265mmと小さな車体に3列シートを備えたモデルで、運転しやすく使い勝手もいいと好評です。
続いて8位もコンパクトミニバン
8位のトヨタ「シエンタ」も、フリードと同様のコンパクトミニバン。コンパクトカーが人気となっている昨今の新車販売ですが、ミニバンにもその傾向があるようです。シエンタの販売は7万2689台でした。
9位は日産のコンパクトカー「ノート」
7万2205台を販売した日産「ノート」が9位にランクイン。エンジンを発電専用として使い駆動力はモーターで生み出すハイブリッドモデル「e-POWER」が大人気ですね。ノートは2020年末にフルモデルチェンジして新型が登場したので、2021年はさらに人気が盛り上がりそう。
10位はミニバンの「ヴォクシー」
10位となったのはトヨタのミニバン、ヴォクシーです。6万9517台を販売しました。ちなみに兄弟車の「ノア」は4万5434台を販売し、ランキングは16位。合計すると、11万4951台にものぼります。
2020年の新車販売ランキングから見えてくるもの
こうして2020年の新車販売ランキングからは、いくつかの傾向が見えてきます。まずは、コンパクトカーの人気。1位のヤリスシリーズをはじめ、2位のライズ、4位のフィット、そして6位から続くルーミー、フリード、シエンタ、ノートとトップ10台のうち7台がコンパクトカーなのです。改めてコンパクトカー人気の高さに驚きますね。
ふたつめは、SUV人気が高まっていること。SUVが年間ランキングで2位になるなんて、以前は想像もできなかったことです。このところ新車業界では「SUVブーム」と言われていますが、SUVが2位になったことで時代の変化を改めて実感します。参考までに11位以下を見ると、13位がトヨタ「ハリアー」、15位がトヨタ「RAV4」、21位にトヨタ「C-HR」がランクインしていました。
また、SUVが台頭するいっぽうで、ミニバン人気の根強さも感じます。5位のアルファード、7位のフリード、8位のシエンタ、そして10位のヴォクシーとトップ10台中の4台がミニバンなのはさすがです。ちなみに11位も日産「セレナ」でミニバンでした。果たして、2021年の販売ランキングはどんな車種が上位にランクインするでしょうか?
(文・写真:工藤貴宏/写真:トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車/編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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