妙に耳に残る「トン・トン・トン・トン・ヒノノニトン」CMはどうして生まれた?

♪トン・トン・トン・トン・ヒノノニトン

これは、いわずと知れた日野自動車のCMソング。

日野自動車はトラックやバスといった商用車のメーカーなので、一般の自動車ユーザーにはあまり馴染みのない会社かもしれませんが、この“妙に耳に残る”CMソングのフレーズは、きっと耳にしたことがあるでしょう。2トントラックの「日野デュトロ」のCMソングで、2014年から使われているものです。では、このCMソング、一体どのようにして生まれたのでしょうか?

日野にも2トンがあることを知ってもらうため

「ヒノノニトン」のCMの中でも特に印象的なのは、俳優の堤真一さんとリリー・フランキーさんが、さまざまな日常の行動から「トン・トン・トン・トン・ヒノノニトン」というフレーズにつなげるシリーズでしょう。日野自動車の担当者に聞くと、「ヒノノニトン」の音が耳馴染みよく伝わるように考えた結果だそう。

というのも、日野自動車は中~大型トラックとバスの分野で70年以上もの歴史を持つメーカーで知名度もあったのですが、2トントラックの日野デュトロを発売したのは1999年のこと。実は小型トラックの分野では、後発メーカーだったのです。

  • 1999年に発売した日野デュトロ

そこで、日野にも2トントラックがあることを広く知ってもらうため、「印象に残るPRを」とあのCMソングが生まれたというわけ。

「乗用車と違ってユーザー数の少ないトラックがCMでアピールできるの?」と思うかもしれませんが、規模の大きな物流会社や運送会社だけではなく、自営の小売店や中小規模の企業の人たちに知ってもらうことが目的だったといいます。

ちなみに「ヒノノニトン」以前のデュトロのCMは、俳優の佐々木蔵之介さん、柳沢慎吾さん、新山千春さん、それぞれのご実家が営んでいる酒造や八百屋さん又は果物農園を訪れ、日野デュトロが環境にやさしいハイブリッド車であることや取り回しのよさなどを説明するものでした。

考案したのは博報堂・日野チーム(クリエイティブ ディレクター 横澤宏一郎さん)

では、「ヒノノニトン」はどのようにして生まれたのでしょうか? 日野自動車は、大手広告代理店に依頼し、「ユーモアがある」「リズムで記憶に残す」という2つの方向性でCMを検討。その結果として作られたのが、2014年5月より放送を開始したCM「ヒノノニトン」シリーズでした。

  • 2021年現在、販売中のデュトロ

CMを作ったのは、CMプランナーの横澤宏一郎さん。このCMシリーズは、リリー・フランキーさんが堤さんに「トン・トン・トン・トン」と囁く、あるいは「栗きん“とん”」や「三元“豚”」など、「トン」がつく言葉で堤さんに暗示をかけるような形態になっています。

こうしたおもしろいストーリーと記憶に残るリズムとなったのは、日野デュトロの購入検討者だけではなく、子どもから大人まで幅広い人たちに日野自動車や日野デュトロの存在をしってもらうためだそうです。そうして、「ヒノノニトン」のCMが多くの人に浸透したのは、ご存知のとおり。

プラ“トン”やニュー“トン”も登場!

「プラ“トン」「ニュー“トン”」の石膏像を登場させた「偉人篇」やUFOを登場させた「UFO篇」、謎のおじさんが「トン・トン・トン・トン」と口ずさみながらダンスする「ダンスおじさん篇」など、さまざまなバリエーションも作られ、「日野=ヒノノニトン」「ヒノノニトン=日野」と誰もがすぐに連想できるほど、定着しました。ヒノノニトンのCMを見たら、そのリズム感や今回、紹介した背景を意識してみると、また違ったおもしろさが見えてくるかもしれません。

日野自動車
https://www.hino.co.jp/
日野自動車You Tubeチャンネル「HINO Japan [official]」
https://www.youtube.com/channel/UCxvjq7JyRdyvQUcNeXKEz7g

(文:斎藤雅道/写真:日野自動車/編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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