そもそもJAFってどんな団体? その歴史

ドライバーであれば、誰もが「JAF(ジャフ)」という名前を耳にしたことがあるでしょう。「会員になれば、クルマが故障したときに助けてくれる」と認識している方も多いはず。クルマを購入したときに、勧められて会員になった人もいるでしょう。逆に利用する機会がなく、疎遠に感じている方もいるのではないでしょうか。今回は、そんなJAFがどんな組織なのか? そして、どんな活動をしていて、どんなサービスを利用できるのかを歴史とあわせて紹介します。

ドライバーを助けるための団体

JAFとは「JAPAN AUTOMOBILE FEDERATION」の略で、正式名称は「一般社団法人 日本自動車連盟」となります。その目的とは「クルマのユーザーを助けること」。JAFの目指すことは、クルマのユーザーに安心と安全を支えるサービスを提供し、日本の自動車社会の健全な発展に貢献することとなります。

会員数は毎年着実に増えており、2021年2月末の時点で、日本全国で約1986万5000人。ひとつのユーザー団体としては、世界屈指の規模となります。その活動はロードサービスをはじめ、通信販売やモータースポーツなど多岐にわたっていることも特徴のひとつです。

誕生はモータリゼーション到来直前の1963年

JAFの誕生は、最初の東京オリンピック(1964年)の直前となる1963年でした。ちょうど、日本にもクルマを個人所有するというモータリゼーションの大波が到来しようという時期です。そうした世間の動きに対応し、1962年に「JAF創立準備委員会」が設立され、同年に「JAFニュース(現在のJAF Mateの前身)」が創刊されます。その目的は、今と同じく「クルマのユーザーを支える」というものでした。

そして、1963年2月に「社団法人 日本自動車連盟」が誕生。4月より、東京でのロードサービスが開始されました。また、5月に開催された「第1回日本グランプリ 自動車レース大会」の開催もJAFが許可しました。

  • 1963年の創立当初の写真。ロードサービスを行う当時の雰囲気が伝わります。

基本となるロードサービス

JAFのサービスとして、もっとも知られているのがロードサービスでしょう。クルマのトラブルがあれば、365日24時間、いつだってJAFの隊員が救援に駆け付けてくれます。ちなみに救援はJAF会員に限らず、誰に対しても行われます。ただし、JAFの会員なら、救援の多くが無料。それに対して会員以外はすべて有料。これが会員のメリットとなります。2019年度は年間約216万回もの救援を実施。約14.5秒に1件の割合で救援を行っているのです。

  • パンクやバッテリー上がり、キーのとじ込みなどのトラブル時に対応するJAFのロードサービス

会員への数多くの優待もJAFのサービス

万一のトラブル時に対応するJAFのロードサービスは心強いものですが、毎年、必ず利用するとは限りません。しかし、JAFでは、ロードサービス以外にもクルマのユーザーのための事業を行っています。それが優待サービス。会員に対して、クルマに関する情報を提供する「JAF Mate」誌だけでなく、クーポンとお得情報を満載する「JAF PLUS」紙を送付しています。また、会員向けの優待サービスを用意する施設は、全国で約4万6,000か所にも上ります。ファミリーレストランや遊園地、ホテルなどを利用するときに確認すると、意外と数多くの施設でJAFの優待サービスを受けることができるのです。サービスは会員証やクーポンを提示するだけという簡便さもうれしいところです。

  • 2019年よりJAFスマートフォンアプリをリリース。会員証の代わりになるだけでなく、優待サービスを探したり、ロードサービス要請にも利用できます。

クルマに関連する社会的課題への取り組み

ユーザーに対する直接のサービスだけでなく、広くクルマにまつわる社会的課題の解決に向けた取り組みもJAFの重要な活動のひとつ。クルマに関する疑問を実際に検証する「JAFユーザーテスト」や、全国実態調査やアンケートの実施、安全運転などの各種講習会の実施、地域や法人向けの講師の派遣、訪日外国人向けサービスなど、幅広い活動が行われています。

2020年度には約17万人もの意見をとりまとめた「2021年度税制改正に関する要望書」を作成し、各政党や国会議員に提出。クルマのユーザーの税負担を減らす活動を続けています。

  • クルマのユーザーの疑問や社会的なニーズに応えた「JAFユーザーテスト」を実施し、JAFのホームページなどで結果を発表しています。

日本のモータースポーツのまとめ役

日本におけるモータースポーツの取りまとめもJAFの重要な仕事のひとつとなります。日本のクルマのユーザーを代表する唯一のクラブとしてJAFはFIA(国際自動車連盟)に公認されており、モータースポーツの競技ライセンスの発給や競技会の公認、諸規則の制定などを行っています。スーパーフォーミュラやSUPER GTといった大人気モータースポーツもJAFの公認のもとに開催されているのです。

また、「オートテスト」と呼ばれる自家用車で簡単に参加できるモータースポーツ・イベントなども多数開催しており、モータースポーツの競技人口拡大やファン層の拡大の活動も実施されています。

  • モータースポーツの統轄もJAFの重要な仕事。裾野を広げる初心者向けイベントも数多く開催しています。

ロードサービスだけでなく、会員優待や社会課題への取り組み、モータースポーツの統轄など、幅広い活動を行うJAF。日本のクルマ社会を支える重要な組織のひとつといえるでしょう。

<関連リンク>
JAF
https://jaf.or.jp/
https://www.youtube.com/user/jafchannel

(取材・文:鈴木ケンイチ 写真:JAF 編集:奥村みよ+ノオト)

[ガズー編集部]

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