代官山 蔦屋書店に聞く、「クルマの本」ベストセラー10とおすすめ3選<2021年春版>

クルマをもっと知りたいというときに、大きな力となってくれるのが書籍です。そのため、いわゆる「クルマの本」は年間を通して、数多く出版されています。そんな中から、最新のベストセラーを紹介したいと思います。選書は、クルマ関連の書籍を販売するだけでなく、書店においてクルマ関連のイベントも数多く実施している「代官山 蔦屋書店」(東京渋谷区)のクルマコンシェルジュの清野龍太さん。直近1年ほどのベストセラー10冊と、それ以外のおすすめの3冊を紹介します。

クルマの歴史を約700点の写真で振り返る『世界クルマ文化史』

  • 『世界クルマ文化史』 和智英樹(訳)/スタジオタッククリエイティブ 2019年12月発売 価格:5,280円(4,800円+税)

自動車の発明から現在まで、クルマの歩んできた歴史と文化の変遷を、全360ページ、約700点の貴重な写真とともに紹介する、ビジュアル図鑑です。クルマ本体だけでなく、その背景となる社会環境まで含めて解説されています。

F1の天才デザイナーが明かすクルマの作り方!『エイドリアン・ニューウェイ HOW TO BUILD A CAR』

  • 『エイドリアン・ニューウェイ HOW TO BUILD A CAR』 エイドリアン・ニューウェイ(著)・水書健司(訳)/株式会社三栄 2020年4月発売 価格:5,280円(4,800円+税)

エイドリアン・ニューウェイは、これまで何台ものF1のチャンピオンマシンを生み出してきた、稀代の天才デザイナーです。その彼が「どうやってクルマを作るのか?」というテーマで書き下ろした初の著書。F1ファン必見の1冊です。

日本自動車業界のキーマンを知る本『豊田章男』

  • 『豊田章男』  片山 修(著)/東洋経済新報社 2020年4月発売 価格:1,650円(1,500円+税)

トヨタの現社長であり、日本の自動車工業会の現会長、そしてトヨタ創業家出身となる豊田章男氏。日本自動車業界のキーマンです。その人となり、歩み、考えなどを豊富なエピソードとともに紹介。豊田氏だけでなく、トヨタという会社を知る教科書にもなるでしょう。

1960年代から現在まで続く、アルファ・ロメオの人気モデルを紹介『アルファ・ロメオ ジゥリア』

  • 『アルファ・ロメオ ジゥリア』 いのうえ・こーいち/こー企画 2020年5月発売 価格:3,960円(3,600円+税)

旧車好きと知られる写真家、いのうえ氏がアルファロメオ・ジゥリア(GIULIA:ジュリアとも表記されています)についてまとめたもの。その新旧の歴史や変遷などが詳しく紹介されており、ジゥリア・ファンにとってはバイブルとなる1冊です。

ITの一大功労者はクラシックカーのコレクターでもあった!『ならずもの 井上雅博伝 ――ヤフーを作った男』

  • 『ならずもの 井上雅博伝 ――ヤフーを作った男』 森 功(著)/講談社 2020年5月発売 価格:1,870円(1,700円+税)

“ならずもの”とは“ヤフー”のこと。巨大IT企業「ヤフー・ジャパン」を育て上げた井上氏の足跡をたどります。実のところ、井上氏は趣味人であり、クラシックカー・コレクターでもありました。企業の成長物語だけでなく、クラシックカー趣味の描写も見どころです。

2年にわたるレストアなど、日本の名車をメカニズムから見る『CLASSIC CAR COMPLETE FILE Vol.02 TOYOTA 2000GT』

  • 『CLASSIC CAR COMPLETE FILE Vol.02 TOYOTA 2000GT』 ネコ・パブリッシング 2020年9月発売 価格:4,400円(4,000円+税)

日本の誇る名車、トヨタ2000GT。その名車をメカニズム視点からも詳細に紹介します。見どころとなるのは、2年間にわたるレストアの詳細な記録の記事。もちろん2000GT誕生に至るまでの歴史もしっかりとフォローされています。

人気評論家が話題の新型車をチェックする人気シリーズ『福野礼一郎のクルマ評論5』

  • 『福野礼一郎のクルマ評論5』 福野礼一郎(著)/三栄 2020年10月発売 価格:1,980円(1,800円+税)

毎年発表される人気評論家のシリーズ本。最新作は、マツダ3をはじめ、テスラ・モデル3、トヨタ・ヤリスなど、話題の新型車を取り上げています。また、福野氏が選定したベスト/ワースト2020も要チェックです。

フェラーリの名車とエンツォの歴史を知る1冊『FERRARI 70Years ~フェラーリの70年~』

  • 『FERRARI 70Years ~フェラーリの70年~』 デニス・アドラー(著)・夏目紘平(訳)/シースケープ・パブリッシング 2020年12月発売 価格:10,780円(9,800円+税)

フェラーリを知りたいという人に注目してほしい1冊。フェラーリの70年の歴史をまとめた洋書『Ferrari 70 Years』の日本語版です。フェラーリの歴史を彩る名車のストーリーだけでなく、クルマの背後にあるエンツォ氏の物語まで楽しめます。

2016年から2018年発表の人気評論家の原稿41編を収録『福野礼一郎 あれ以後全集9 完結編』

  • 『福野礼一郎 あれ以後全集9 完結編』 福野礼一郎(著)/カーグラフィック 2020年12月発売 価格:1,980円(1,800円+税)

人気の自動車評論家である福野氏が、さまざまな雑誌に発表した原稿をまとめたのが本シリーズ。9冊目となる最新刊は2016年から2018年までの著作を集めた“完結編”としています。全41編、390ページ超の大作です。

人気メールマガジンを書籍化した痛快自動車評論『午前零時の自動車評論18』

  • 『午前零時の自動車評論18』 沢村慎太朗(著)/文踊社 2020年12月発売 価格:1,650円(1,500円+税)

有料メールマガジンやトークライブで発信する自動車評論家の沢村氏。本書はそうして発信された自動車評論を書籍にまとめたシリーズです。最新作では、ポルシェや軽トラ、さらにはゴルゴ13にまで言及。痛快な沢村節を楽しめます。

長年クルマの本に携わってきたコンシェルジュさんのおすすめ3冊!

ベストセラー本に続いて紹介するのは、「代官山 蔦屋書店」(東京渋谷区)のクルマコンシェルジュの清野龍太さんがおすすめする良質なクルマ本3タイトルです。

平成のクルマをテーマにした、クルマ好き視点の本『平成カーラバーズ2020』

  • 『平成カーラバーズ2020』 加藤祐馬(著)/平成カーラバーズ 2020年12月発売 価格:900円(819円+税)

「平成生まれのクルマ好きをテーマにした本『平成カーラバーズ』の第2弾です。平成生まれのオーナーへのインタビュー、時代の波にのまれた平成の迷車紹介(イラストが可愛らしいです)など、平成のクルマをクルマ好きの視点から掘り下げた興味深い1冊です」(清野氏)

今では数少なくなった全国109のドライブインを紹介『懐かしの昭和ドライブイン』

  • 『懐かしの昭和ドライブイン』 越野弘之(著)/グラフィック 2019年7月発売 価格:1,760円(1,600円+税)

「今ではなくなりつつあるドライブイン。この本は全国のドライブイン109店を紹介しています。ふらっと立ち寄るドライブインですが、著者の長年に及ぶ取材と昭和という時代考察からドライブインをより深く知ることのできる1冊です」(清野氏)

CG(カーグラフィック)のバックナンバーをデジタル印刷で復活!『CG REVIVAL シリーズ ポルシェ』

  • 『CG REVIVAL シリーズ ポルシェ』  カーグラフィック編集部/カーグラフィック 2020年5月発売 価格:1,980円(1,800円+税) ※販売は、代官山 蔦屋書店、書泉、ルガラージュ、カーグラフィック社の直販ダイヤルのみとなります。

「カーグラフィックのバックナンバーを復刊しているのが「CGリバイバル」シリーズですが、その中でCG1963年9月号の巻頭特集のポルシェを復刊したものが本書です。小林彰太郎氏のロードテストなど当時のポルシェについてそのままを感じ取ることができる1冊です」(清野氏)

  • 取材協力:代官山 蔦屋書店

読むほどに、知るほどに、クルマへの興味が深まるのが、クルマ関連書籍の魅力。「代官山  蔦屋書店」クルマコンシェルジュの清野龍太さんによる選書タイトルは、歴史から人物、評論、復刻ものなど、クルマ関連とはいえ幅広いジャンルをカバーしていました。これをきかっけにカーライフを豊かにする書籍との出会いになればうれしいです。

<関連リンク>
代官山 蔦屋書店
https://store.tsite.jp/daikanyama/access/

(取材・文:鈴木ケンイチ 写真:代官山 蔦屋書店 編集:奥村みよ+ノオト)

[ガズー編集部]

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