初代「シティ」に「Be-1」…青島文化教材社から旧車のカプセルトイが続々発売されるワケ
初代ホンダ「シティ」や日産「Be-1」など、1980年代には可愛らしいルックスで一世を風靡したクルマがいくつもありました。そんな旧車たちが今、カプセルトイで続々と発売されています。
発売元は、青島文化教材社(アオシマ)。なぜ今、1980年代のクルマをモデル化しているのでしょうか? その理由を青島文化教材社 開発事業部の岩澤広樹さんにお伺いしました。
ミゼットやサンバーが幅広い世代にヒットしたのがきっかけ
1/24スケールのプラモデルを中心に、さまざまな自動車模型を販売している青島文化教材社。ズバリ、旧車のカプセルトイを作った理由は何だったのでしょうか?
「ダイハツ『ミゼット』やスバル『サンバー』のスケールモデルが可愛らしいと、幅広い世代からご支持をいただきました。クルマ好きの多い40~50代はもちろんですが、若い世代からも『こんなデザインのクルマがあったんだ!』という驚きの声をいただいたんですね。そこで、ポップでキュートなデザインの車種を選び、手軽に手に入れることができるカプセルトイで展開することを決めました」(岩澤さん)
40~50代のクルマ好きには懐かしさを、若い世代には新鮮さを感じてもらおうというわけですね。最新モデルならともかく、旧型車をモデル化するとなると、メーカーからのライセンス取得などハードルが高そうですが、そのあたりはどうだったのでしょうか?
「ライセンスなどについては、どのメーカーさんもとても協力的でした。ときには、具体的な提案もいただきながら、『アオシマさんなら大丈夫でしょう』と快く監修もしていただけましたね。監修していただけるということは、メーカーさんのお墨付きというわけですから、我々も高価なモデルカーを作るような意気込みで開発しています」(岩澤さん)
こうして実現したカプセルトイは、ご覧のとおり。
1/64スケールとトミカと同等のサイズながら、ミラーやホイールの造形、バンパーやライトの塗り分けなど、リアルな仕上がりとなっています。実際に販売を開始すると、カプセルトイとは思えない細かな作り込みから「よく再現されている」との声が上がったそうです。
細部に及ぶこだわりと実車取材
では、このリアルなカプセルトイは、どのようにして作られたのでしょうか?
「カプセルトイは、非常に制約が厳しい商品です。しかし、普段プラモデルやスケールの大きいミニカーを作っている我々だからこそできる、リアリティに富んだカプセルトイを作ろうとこだわりました。開発にあたっては、必ず実車の取材を行っています。クルマは立体物なので、写真だけでなく現物を見て、測って、徹底的に調査して開発することが重要です」(岩澤さん)
「制約が厳しい」とは、具体的にどんなことでしょうか? やっぱりコスト?
「コストはもちろんですが、生産性も考えなくてはいけません。カプセルトイはライン生産が基本で、手作業ができない商品です。そのため、細かな部分にはどうしても制約がかかってしまいます。ときには生産部門から、『それは難しい』と言われてしまうこともありますね。しかし、『この部分が再現できなければこのクルマじゃない!』と生産部門を説得して、なんとか形にできた部分も少なくありません。シティのトランクに『モトコンポ』が載っているのも、生産部門と調整しながら実現しました」(岩澤さん)
今回の取材では、これから発売予定だという開発中の日産「フィガロ」のカプセルトイを見せていただきました。細いメッキのモールやライトのリングまで、素人目にも「よくできてるな!」と思わられる精密です。
「フィガロのメッキモールも、ゆずれなかったディテールのひとつですね。どの車種にも、どうしてもゆずれなかったという部分が必ずあります。でも、必ずしも『すべてをリアルに』というわけではないんです。カプセルトイならではの遊び心として、純正カラーに加えて『こんな色もあったらいいな』というオリジナルカラーもラインアップしています。これに関してはメーカーさんもおもしろいと賛同してくださって、うれしかったですね」(岩澤さん)
イチオシの楽しみ方は「スマホで撮影」
これだけリアルに再現されたカプセルトイならば、机の上のちょっとしたインテリアにしてみたり全カラーを集めてみたり、楽しみ方はたくさんありそうですが、岩澤さんはこんな楽しみ方を提案してくれました。
「カプセルトイをぜひ、スマホで撮影してみてください。それも、スマホを地面につけてカプセルトイに近づいて撮影するのがオススメです。実車を見るのと同じ目線になるので、カプセルトイを撮影したとは思えないリアリティのある写真になります。もし、この商品を手にしていただけたら、一度はスマホ撮影を試してみてほしいですね」(岩澤さん)
こだわりがギュッと濃縮されたアオシマのカプセルトイ。今後も日産のパイクカーシリーズをはじめ、ポップでキュートな車種を展開していくとのこと。見れば見るほど「よくできているなぁ」と思わされる手のひらサイズの旧型車。気になった方は、ぜひガチャガチャを回してみてください。
(取材・文・写真:西川昇吾/編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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