参加者が主役!「群サイBIGMEET(ビッグミート)」とは?
2021年12月18日、群馬県の「群馬サイクルスポーツセンター」で催され、SNSを中心に話題となった「群サイBIGMEET」。同イベントは全日本ラリー選手権で活躍する新井大輝(あらいひろき)さんの「すべての参加者が主役になれるイベントを作りたい」という言葉から始まりました。
「群サイBIGMEET」とは、どのようなイベントなのか。開催までに新井さんと有志の皆さんが歩んだ道のりと、イベント当日の様子をお伝えします。
「ミーティング」と「ドライビング」を融合させた「群サイBIGMEET」
モータースポーツに参加する人、モータースポーツを観戦する人、オフラインミーティングに参加してファンとのクルマ談義に花を咲かせる人。クルマ趣味の楽しみ方は人それぞれです。
以前より「クルマが好きな人たちの誰もが主役となって、分け隔てなく楽しめる場は作れないものか?」と考えていた新井さん。友人たちとの食事の席で打ち明けたところ、「面白いね。協力するから、ぜひやろう!」と皆が声をあげて背中を押してくれたため、あとに引けなくなったそう。
程なくして自動車メーカー社員の小坂典嵩さん、IT企業社員の岩井將悟さん、自動車販売会社社員のイカ山スメルさんを中心スタッフとした「群サイBIGMEET」企画を立ち上げました。
「参加者が主役」というコンセプトのもと、見て楽しむファンと走って楽しむファンが一緒に楽しんでもらえるよう、「ミーティング」と「ドライビング」を融合させた内容を模索。2021年の秋頃より、具体的なプログラムに着手します。
新井さんら運営スタッフは開催会場に「群馬サイクルスポーツセンター」を選ぶと、イベントに協賛してくれる企業との交渉を開始。企画を聞きつけ、協力を申し出てくれた友人や知人と一緒に、手弁当で会場の整備を行う日々を送ります。
11月にはプログラムも完成。会場を「ドライビングエリア」と「ミーティングエリア」のふたつに分け、気軽に行き来できる内容としました。
「ドライビングエリア」は走行プログラムが中心で、峠Aコースではフリー走行にタイムアタック。峠Bコースでは複数台による対戦走行が可能に。多目的広場(ジムカーナコース)ではフリー走行と、2台同時スタートの対戦走行「X-GYMKHANA(クロス-ジムカーナ)」を実施します。ジムカーナコースは海外ラリーの「スーパースペシャルステージ」を参考に設定したものです。新井さんがハンドルを握るスバルBRZと、GR86/BRZレースチャンピオンを獲得した久保凜太郎さんの操るトヨタGR86のエキシビジョンマッチも予定していました。
「ミーティングエリア」は観覧やショッピングプログラムが中心。展示エリアではWRCを走行したグループAマシン(トヨタセリカGT-FOUR・ランチアデルタインテグラーレ)やF2キットカー(プジョー306マキシ)、群馬大学フォーミュラチームの手がけた学生フォーミュラマシン、参加者の愛情あふれたエントリー車両の展示が決定しました。
企業ブースでは10以上の企業が出店を予定し、ここだけの目玉商品が販売されます。飲食ブースでは地元の有名飲食店が出店し、それぞれ特色のある食事やスイーツがふるまわれます。またクルマの撮影が好きな人に向け、プロ自動車カメラマンの西尾タクトさんを講師に招いての写真教室「タバードメディア」の開催も決まりました。
盛りだくさんの「群サイBIGMEET」はSNSを中心に話題となり、最終的な参加希望台数はドライビング(走行車)とミーティング(展示車)、あわせて150台以上。メディアからの問い合わせや取材の申し込みも多数あり、その注目度の高さに新井さんはしっかりとした手応えを感じたそうです。
準備も万端に整い、あとは開催日を迎えるだけだったのですが……。突然のアクシデントが新井さんや運営スタッフ、そして参加者を襲います。
突然の大雪でプログラムは白紙に。臨機応変に対応してイベントを盛り上げろ!
群馬サイクルスポーツセンターは群馬県みなかみ町の南に位置しており、例年ならば12月は積雪には早い時期。たとえ降ってもイベントの進行には支障が出ないと思われていました。しかし日付が12月18日に変わった頃からちらつきはじめた雪は、程なくして本降りに。翌朝にはクルマでの走行が困難になるほどの積雪量となりました。
イベントの前日に会場入りしていた新井さんたち。参加者が会場に続く道で立ち往生しているとの連絡を受け、除雪に急行します。イベントは群馬サイクルスポーツセンターの敷地、すべてを活用するものでしたが、スタッフによる除雪には限界があります。プログラムに沿った進行は不可能と判断し、わずかな時間でのプログラム修正を余儀なくされました。
2本予定していた峠コースを1本に縮小し、企業ブースや飲食エリア、展示エリアは場所と規模を変更しました。修正したプログラムへの完璧な対応は望めるものではありません。新井さんや運営スタッフは刻々と変わる天候や参加者の反応を見て、臨機応変にプログラムを再修正。アクシデント続きだったイベントを見事に乗り切り、無事にフィナーレを迎えました。
■多目的広場(ジムカーナコース)
スノーステージとなったジムカーナコースでの目玉「X-GYMKHANA」は予定通りに開催されました。2台の出走車両が同時にスタートしてゴールを目指しますが、なかなかコース通りに走行できず、雪上走行の難しさを物語っていました。
■峠コース
峠コースでの対戦走行は中止となりました。イベントの主催がスバル車で活躍した新井さん、そして会場はスバル発祥の地である群馬県ということもあり、参加車両のメーカー比率はスバル車が圧倒的。途中のコースサイドには観戦エリアが設けられているのですが、赴くには雪中を移動しなければならないため、とてもハードな道のりになりました。
■展示エリア
予定していた群馬サイクルスポーツセンター所有のグループAマシン、F2キットカーの展示は見送られましたが、参加者の持ち込んだ自慢の愛車が雪上を鮮やかに彩りました。
■企業ブース&飲食ブース
出店を予定していた企業やショップに対し、運営スタッフは会場の降雪状況とあわせて「無理はしないでほしい」と連絡を入れたそう。これによりほとんどの企業、ショップは、参加を見送りました。
■タバードメディア
「プロの自動車カメラマンを体験できる」という側面を持ったタバードメディア。実は一番、雪の影響を受けた催しだったかもしれません。
参加者の手応えは充分。今度は暖かい季節に開催予定
降雪により、本来のプログラムと大きく異なる内容となった群サイBIGMEET。しかし参加者、そして運営スタッフからも、「特別な状況が楽しかった」という声が多数、寄せられたそうです。その内容と次回に向かっての抱負を、新井さんにうかがいました。
「たくさんの反響やコメントをいただきました。想定外の大雪だったので、正直かなり心配していましたが、たくさんの応援や労いの声をいただけました。雪が想像以上に非日常感を演出したお陰もあり、楽しんでくれたお客さんも多く、次もぜひ参加したいとも言っていただきうれしい限りです。
運営を手伝ってくれた長岡技術科学大学と東京理科大学の総勢50名を超えるメンバーも準備段階から雪を楽しんでくれたようで良かったです。主要メンバーもこれからさらに盛り上げていけるように次の開催へ向けて準備中です。
同時に暖かい時期に開催して欲しいとのコメントも一定数ありました。次は暖かい時期に開催しますので、是非遊びに来てください。雪のイベントは隔年で開催しようと思います。コンセプトは「参加者が主役」の総合エンターテイメントイベントです! みんなで盛り上げましょう!」(新井さん)
暖かい時期に開催される群サイBIGMEETと、降雪を踏まえてプログラムの組まれる同イベント。どちらも気になります。開催時期などはTwitterの公式アカウントで報告されるそうなので、参加を希望する人はフォローか定期的な確認をおすすめします。
<関連リンク>
群サイBIGMEET公式アカウント
(文:糸井賢一/写真:富士スバル/編集:奥村みよ+ノオト)
[GAZOO編集部]
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