前後2カメラは当たり前に!「ドライブレコーダー」の最新機能と進化

  • ドライブレコーダー録画中のステッカー

年々、利用者が拡大している「ドライブレコーダー」、通称「ドラレコ」。クルマに搭載するカー用品としては、今や「カーナビ」「ETC」に次ぐ存在となりつつあります。そして、ドライブレコーダーそのものの進化も止まりません。

そこで、ドライブレコーダーの最新事情を紹介します。

人気の高まり、販売数の増加にあわせて性能も急上昇

ドライブレコーダーは、もともとタクシーをはじめとした業務車両用として普及が始まりました。当初は、一般の乗用車での利用は伸び悩みました。

しかし2017年に、いわゆる「あおり運転」が原因となった死亡事故が発生してから、状況が一変。「あおり運転」から身を守る、交通事故などの際に身の潔白を証明するという目的から、ドライブレコーダーを装着する人が急速に増えたのです。

一般車両への普及とともに、ドライブレコーダーの性能も向上していきます。
カメラの画素数も増え、今では「HD(約92万画素)」ではなく、その上となる「フルHD(約200万画素)」が標準的になっており、製品によっては「クアッドHD(約370万画素)」が採用されていることも。
もちろん、画素数が高いほど、録画映像は鮮明になります。

  • ドライブレコーダー

    画素数が多ければナンバープレートまで鮮明に映る

また、車体に一定以上の振動が加わったとき、その前後の映像を上書きされないように保存する「衝撃検知(Gセンサー)機能」は、ほぼ全商品で標準装備に。

さらに、刻々と変化する明るさに対応するための
「HDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)」や
「WDR(ワイド・ダイナミック・レンジ」
といった機能や、暗い夜間でも鮮明に撮影する
「ナイトビジョン」
「STARVIS(ソニーの登録商標)」
などの機能、GPSによって自車位置をより正確に記録する機能などが、多くの製品で採用となっています。

さらに高機能な一部の製品には通信機能が与えられ、録画した画像をクラウドに保存。スマートフォン・アプリとの連携も可能となっています。

走行中の録画以外の機能も追加

ドライブレコーダーは、走行中の周囲の録画を基本としますが、最新モデルでは録画以外の機能も搭載されています。安全をサポートする機能も、そのひとつ。

たとえば、次のような機能を搭載したものがあります。

  • 走行中に前走車両との距離が近づきすぎたときや、走行車線からハミ出そうになったときに警報で知らせてくれる機能
  • 信号待ちの停車中、前方車両が発進しても自車が動かないときに、前方の車両が発進したことを知らせる機能
  • 後方からの車両が急接近したことを知らせる機能

どれも、安全運転支援機能として最新のクルマに搭載されている機能ですが、こうした機能が搭載される以前のクルマに、同様の機能を付加できることが魅力です。

また、駐車中の監視機能も、多くの機種に搭載されるようになりました。

  • 防犯機能付きのドライブレコーダーも

    エンジンを停止しての駐車中も作動させ続けることで、ドライブレコーダーに防犯機能を持たせることができる

これは、クルマのバッテリーから直接に電源をとることで、エンジンを停止していても常時、ドライブレコーダーを働かせるというもの。

数日にわたって録画し続けるものや衝撃を感知したときに録画を開始するものがあり、駐車場での当て逃げやクルマへのいたずらなどを監視することができます。

シンプルな1カメラから複数台へと

1台のドラレコに、複数のカメラがセットになった機種も増えています。最初に登場したドライブレコーダーは、1つの本体に1つのカメラが備えられ、クルマの前方のみを撮影していました。いわゆる「前方録画モデル」「フロントカメラ」などと呼ばれる商品です。

本体が1つしかないため設置も簡単で価格もお手頃なため、エントリーモデルとして現在も数多くのメーカーから製品が発売されていますが、今は2つ以上のカメラを持つ機種が主流になっています。
後方や側方、斜め後ろなど、1カメラでは記録できない死角を補い、「あおり運転」などに対応しようというものです。

  • 前後録画モデルのドライブレコーダー

    前方に装着する本体カメラに後方カメラが追加された前後録画モデル

2つのカメラを持つ機種には、「前後録画モデル」と「360度カメラモデル」があります。前後録画モデルは、単純に前方用と後方用の2つのカメラを、それぞれクルマの前後に装着します。
360度カメラは、1つの筐体に前方用と後方用の2つ180度カメラを内蔵。全方位を撮影します。

どちらにもメリットとデメリットがあり、前後録画モデルはクルマの真後ろがよく見える一方で、クルマの横は死角になります。
360度カメラはクルマの後ろだけでなく横も撮影できますが、車内や乗員も一緒に映るため、真後ろの様子が見えづらくなります。

  • 360度カメラのドライブレコーダーで撮影した画像

    360度カメラを使って後方を撮影したもの。車内の様子や車両左右の様子をうかがうことができる(写真:鈴木ケンイチ)

360度カメラの設置は、筐体が1つだけなので、前方録画モデルと同じで簡単。一方、2つのカメラを使う前後録画モデルは設置が2倍手間がかかるという違いもあります。

クルマの真後ろを鮮明に撮影しつつ死角をなくすために登場したのが、「360度カメラ+後方カメラ」の3カメラ方式です。車両の真後ろ、車内、クルマの横までを撮影可能となります。
ただし、価格は高くなり、設置も手間がかかります。

デジタルバックミラーとの併用も

ドライブレコーダーの人気の高まりと同じように、新たに登場した新製品があります。それが「デジタルインナーミラー」です。
「電子インナーミラー」「デジタルバックミラー」などと呼ばれることもあるこのミラーは、室内にあるルームミラーをデジタルのモニターに置き換えたもの。

  • ドライブレコーダー機能のついたデジタルインナーミラー

    前方カメラはルームミラーに内蔵。ミラー面がディスプレイになっていて、前後の映像を確認できる(写真:木谷宗義)

これまで、バックカメラの映像を表示するバックモニターとして用いられていましたが、これにフロントカメラを加えて録画機能を追加することで、2カメラの前後録画モデルのドライブレコーダーに進化したのです。

製品によっては、デジタルインナーミラーに前方カメラが内蔵されているタイプと、別に設置するタイプが存在します。
一体型は設置が簡便なのに対し、カメラが別のタイプは好きな場所にカメラを設置できるのがメリットとなります。後方用カメラは、バックモニター用カメラと兼務するものも。

カーナビが普及とともにどんどんと進化していったように、ドライブレコーダーも急速に進化しています。この先も、次々と新たな機能が追加されるでしょう。

ドライブレコーダーは、まだまだ発展途上の製品なのです。

(取材・文:鈴木ケンイチ 編集:木谷 宗義type-e+ノオト)

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