サスペンションにデファレンシャル…「RCカー」で実車のメカニズムは学べるか?
楽しく快適に、そして安全に走行するため、クルマには多くのメカニズムが備わっています。けれど、クルマの内部を目にする機会は少なく、どのような機構があってどのような働きをしているのか、知らないことも多いもの。
そこで、ひらめきました。「ラジオコントロールカー(以下、RCカー)で実車のメカニズムを知れるのでは?」と……。
タミヤのRCカーの歴史は40年以上!
さて、このひらめきが実証できるのかどうか。RCカーのみならず、プラモデルにミニ四駆、楽しい工作シリーズ……と、ホビー好きなら一度は手に取ったであろう、1976年からRCカーを販売する模型メーカーのタミヤに取材しました。
RCカーのメカニズムを知ることで、実車のメカニズムを理解することはできるのか。タミヤ広報担当の山本暁さんの答えは、「理解できるところもあれば、RCカー特有の部分もあります」というものでした。
同じ「人が操作するクルマ」でもやはり実車とRCカーは別物で、RCカーのサイズや重量だからこそ実現できることや、パフォーマンスを追求できることもあるそう。
ここからは、実車と同様のメカニズムを持った部分に注目して、解説していきます。
高性能なクルマで求められるメカニズムも採用
①足回り編
多くのRCカーに採用されているサスペンションは、上下2本のアーム(アッパーアームとロアアーム)を持つ「ダブルウィッシュボーン」方式。実車でもスポーツカーを中心とした、高性能なクルマに多く見られる方式です。
RCカーも車種によっては「ストラット」や「スイングアクスル」「トレーリングアーム」「リジットアクスル(車軸懸架方式)」といった方式のサスペンションが採用されています。いずれも実車で採用されている方式で、RCカーと同様にクルマの使用目的や用途で使いわけられています。
RCカーでは、ダンパー(ショックアブソーバー)も、「単筒式」と呼ばれる実車と同じメカニズムの凝ったもの。自分で組み立てることで、実車では見ることのできないダンパーの中身がどうなっているのかを知ることができます。
②デファレンシャルギア編
左右の駆動輪の間に設置される「デファレンシャルギア(略称、デフ)」。カーブや交差点を曲がるときに生じる、左右のタイヤの回転差を吸収するこの機構も、ほとんどのRCカーに装備されています。
通常のデフは、片方のタイヤが滑ると、もう片方のタイヤから駆動力から失われ、クルマが進まなくなってしまう特性を持っています。そこで、用いられるのが回転差を吸収する働きに制限を加えた「リミテッド・スリップ・デファレンシャルギア(略称、LSD)」。競技車を中心に採用される機構です。
RCカーでも、高性能モデルではLSDと同じ働きをするデフが採用されています。現在、主流なのは「オイル封入式」のデフです。封入されたオイルの粘度で歯車の動きを制限し、タイヤの空転を抑えます。構造は異なりますが、オイルの粘度で制限するという方法は、実車でも「ビスカスカップリングLSD」で採用されています。
モーターで生まれた力(駆動力)は、デフからドライブシャフトを介して、左右のタイヤに伝わります。RCカーのドライブシャフトはシンプルな造りながら、基本的な構造は実車と一緒。どちらもサスペンションの動きによる駆動力の損失を、最小限にとどめます。
③トランスミッション編
エンジンで生まれた力を、多くのギアで適正な力に変換するトランスミッション(変速機)。
モーター駆動のRCカーでは必要のないメカニズムですが、実車の機構を再現するために採用しているRCカーもあります。
大型トラックのRCカー「スカニア 770 S 6x4 フルオペレーションセット」などに搭載される3速トランスミッションは、走行しながら変速ができるすぐれもの。また、同モデルではサスペンションも、トレーラーなど大型車で使用されるリーフスプリングを用いた「トラニオン方式」を採用しています。
時代の変化で、実車が近寄ってきた一面も
実車では、いよいよ普及が本格化してきたBEV(電気自動車)。内燃機関のエンジンを持たず、モーターの出力調整で加速と減速(ブレーキ)を行うBEVは、やはりモーターの調整で加減速を行うRCカーの操作に近いものになっています。時代により、実車の方がRCカーに近寄ってきた一面もあるのです。
多くのメカニズムが実車に即しているRCカー。
手に取る機会があったら、サスペンションがどう動いて、手で駆動輪を空転させるとデフはどう働くのかなど、実車を思い浮かべながらメカニズムを観察してみてください。体感的に学べると同時に、そのメカニズムに感心させられます!
<関連リンク>
株式会社タミヤ
(取材・文:糸井賢一/取材協力・写真提供:株式会社タミヤ/編集:木谷宗義type-e+ノオト)
[GAZOO編集部]
最新ニュース
-
-
高性能4シーターオープン、メルセデスAMG『CLE 53カブリオレ』発売、価格は1400万円
2024.11.22
-
-
-
【ラリージャパン 2024】開幕!! 全行程1000km、SSは300kmの長く熱い戦い
2024.11.22
-
-
-
「GT-R」の技術が注ぎ込まれたV6ツインターボ搭載、日産『パトロール』新型が中東デビュー
2024.11.22
-
-
-
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
2024.11.22
-
-
-
レクサスのレザーもリサイクルでグッズに、リョーサンがトヨタと共同開発
2024.11.22
-
-
-
50台限定の『ディフェンダー110』発売、アリゾナの自然を表現した「赤」採用 価格は1300万円
2024.11.22
-
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
最新ニュース
-
-
高性能4シーターオープン、メルセデスAMG『CLE 53カブリオレ』発売、価格は1400万円
2024.11.22
-
-
-
【ラリージャパン 2024】開幕!! 全行程1000km、SSは300kmの長く熱い戦い
2024.11.22
-
-
-
「GT-R」の技術が注ぎ込まれたV6ツインターボ搭載、日産『パトロール』新型が中東デビュー
2024.11.22
-
-
-
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
2024.11.22
-
-
-
レクサスのレザーもリサイクルでグッズに、リョーサンがトヨタと共同開発
2024.11.22
-
-
-
50台限定の『ディフェンダー110』発売、アリゾナの自然を表現した「赤」採用 価格は1300万円
2024.11.22
-