アスファルトとコンクリートだけじゃない? 道路舗装の種類と構造
「道路の舗装といえば?」と聞かれると、たいていの人は「アスファルト」、もしくは「コンクリート」と答えるでしょう。
では、アスファルトやコンクリートを使う理由は?
きっと、即答できる人は少ないはず。そこで、なぜアスファルトやコンクリートが広く使われているのか、また、それ以外の舗装にはどんな種類があるのか。
舗装素材を販売している有限会社ECSテクノの奥野瞬さんに、道路舗装の種類や特徴について教えていただきました。
樹脂やブロック、土、木など 道路舗装あれこれ
――道路舗装には、一般的にアスファルトやコンクリートが使われています。なぜ、この2つが主流になっているのでしょうか?
端的に言えば、アスファルトとコンクリートは「安価かつきれいに仕上がるから」です。
昔の道路は砂利や敷石が多く、雨でぬかるんだり経年劣化で凹凸が生じてしまったりと、歩行や走行に対する障害が発生していました。そこで登場したのが、アスファルト舗装です。
アスファルトは、原油を精製したときに出る残留物の一種ですが、これを使うことで地面が平滑になり、歩行やクルマの走行がしやすくなるうえ、経年劣化にも強く、長期間きれいに保てる舗装が実現しました。砂利などをセメントで固めたコンクリートも、おおむね同様の理由です。
またアスファルト・コンクリートともに、原材料が安定的に供給できるようになったことも普及の要因のひとつでしょう。
――アスファルトとコンクリート以外には、どんな舗装があるのでしょうか?
樹脂系混合舗装、ブロック系舗装(インターロッキングブロック 舗装を含む)、2層構造系舗装、土系舗装、木質系舗装があります。インターロッキングブロック舗装とは、荷重が掛かったとき、ブロック間の目地に充填した砂によりブロック相互のかみ合わせ効果(荷重分散効果)が得られる舗装方式です。
このうち車道に使われるのは、ブロック系舗装と2層構造系舗装です。クルマが走行する場合は十分な強度が必要となるため、樹脂系混合舗装や土系舗装、木質系舗装は車道ではあまり使用されず、おもに歩道での舗装となります。
――ブロック系舗装と2層構造系舗装とは、どういうものでしょうか?
「ブロック系舗装」とは、ブロックや天然石などを敷設した舗装です。材質および組み合わせによってさまざまな模様、デザインが作れるうえ、部分的に補修できるメリットもあります。
ただし、人の手でブロックを並べていくため、施工の手間がかかる点はデメリットです。また、長期間の使用により凹凸が生じることもあります。
「2層構造系舗装」とは、基層にコンクリートやアスファルト混合物層を設け、その上にタイルや天然石などをモルタルで貼り付けて施工する舗装方法です。基層に強度があるため、そのぶん表面の舗装を比較的自由に施工できます。
タイルやブロックを使用することで、デザイン性を高めることも可能です。ただし、アスファルトやコンクリートの基層を作った上に表層を施工するため、手間がかかります。
一般ドライバーも注意すべき「舗装の異常」
――私道や駐車場など私有地の場合、DIYで舗装することはできるのでしょうか?
ご自身で施工するのは、現実的には難しいと思います。そもそも舗装には「表層」と「路盤層」の2つが含まれます。舗装と聞くと、表面のアスファルトやコンクリートだけを考えがちですが、実はその下に土台(路盤層)が必要となるのです。路盤層がしっかりとしていないと、表層に悪影響が出てくるかもしれません。
一般的には、路盤層で10センチ、表層で4~10センチ程度の厚みがあります。既存の高さと同じにしたいなら、「路盤層+表層」で合計14~20センチ程度を掘り下げる必要があるのです。また、表面の仕上げにも一定の技術が必要になるため、個人で綺麗に舗装するのは難しいでしょう。専門業者に依頼するのが無難です。
――クルマに乗っていると、まれにひび割れしている舗装を見かけます。そのまま走って大丈夫なのでしょうか?
もし運転中に、「舗装の表面が荒れている」、「ひび割れしている」といった舗装の劣化を見つけた場合は、なるべくスピードを落として走行してください。
中でも、割れによって段差が大きくなっていたり、陥没したりしている場合は、はやめに道路管理者へ連絡していただけるといいでしょう。
「自動運転」と「環境保護」 舗装の未来とは?
――長らく道路舗装は、アスファルトかコンクリートです。今後、道路舗装が進化していくことはありますか?
「自動運転技術の開発」と「環境保護」という2つの側面で進化していくのではないか、と考えています。
まず自動運転については、舗装面にチップなどを埋め込み、運転を補助する技術がひとつの方法として考えられています。チップが前後を走っているクルマの速度や距離を測定し、その情報を参考にして安定性を高めるような仕組みになれば、事故を大幅に削減できるかもしれません。
環境保護の面では、都市の気温が周囲よりも高くなる「ヒートアイランド現象」を抑える技術が開発されています。例えば「遮熱性アスファルト舗装」は、遮熱素材や塗料によって路面温度の上昇を抑えることができます。そういった技術は今後も進化していくでしょう。
弊社でも、強度の問題で車道には使えませんが、保水性が高く、「水たまりができにくい」「水分蒸発による冷却効果がある」といった特性を持つ、環境にやさしい土系舗装材「エコクリーンソイル」を販売しています。
土系舗装は他にも多くの企業が製品化しており、中には車道で使えるものもあります。今後は環境にやさしく、かつクルマも走行できる土系舗装が広まっていくかもしれません。
日常生活の中で、舗装について気にすることは少ないかもしれません。
しかし道路舗装は、見た目の綺麗さや安全性だけでなく、環境保護や自動運転などを見据えたさまざまな取り組みがなされているのです。今後のさらなる技術開発に期待しましょう。
<取材協力>
有限会社 ECSテクノ
(取材・文:村中貴士/写真提供:有限会社 ECSテクノ/編集:木谷宗義 type-e+ノオト)
[GAZOO編集部]
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