令和の今「スーパーカー消しゴム落とし大会」がビッグサイトで開催されたワケ

1970年代後半に訪れたスーパーカーブームのさなか、子どもたちのあいだで流行したスーパーカー消しゴムと、ノック式のボールペンを用いた卓上からの落とし合い。50代前後の人にとっては、懐かしい遊びでしょう。

そんなかつての遊びが、GGF-T株式会社(以下、GGF-T)により、公式にルール化。2020年10月29~30日に東京ビッグサイトで催された『ゲームマーケット2022秋』で、「第1回スーパーカー消しゴム落とし大会」が開催されました。(ゲームマーケットHP https://gamemarket.jp/

しかし、なぜ令和の今になってルール化や大会開催を行うのでしょうか? その答えは後半でお届けするとして、まずは熱気に溢れた第1回公式大会の様子をご覧ください!

V12エンジン型のペンで発射!優勝者には特大スーパーカー消しゴム3D模型が

  • ゲームマーケットは電源を使用しないアナログゲームのイベント。スーパーカーやクルマに興味のない参加者も足をとめ、スーパーカー消しゴム落とし大会を見物していた

「そもそも今、スーパーカー消しゴムって手に入るの?」

きっと、多くの人がそう思うでしょう。もちろん、入手できるからこその大会です。詳しくはのちほど記しますが、大会を主催したGGF-T株式会社が2020年より「超精密スーパーカー消しゴム」の販売を行っており、2022年12月までに13モデルをラインナップしているのです。それがこちら。

  • 第1弾に登場した「ランボルギーニイオタ」のスーパーカー消しゴム。価格は税込み550円

  • ゲームマーケットの会場ではスーパーカー消しゴムをガチャで販売していた。大会参加者はここでガチャを回し、出てきたマシンで出場

スーパーカー消しゴムの「落としゲーム」といえば、スーパーカー消しゴムを飛ばすペンが重要ですが、それもGGF-Tでラインナップ。しかも、V12エンジン型で、反発の強さを変えられる変速ギアつきです。

今回の公式大会では、公正を期するため、皆がこの「V12エンジン型(変速ギア) 消しゴムブースターペン(以下、ブースターペン)」を使用しました。

  • V12型エンジンとミッションケースを模したブースターペンは、ギアチェンジで弾く強さを調整できる

「スーパーカー消しゴム落とし大会」のルールは、かつて小学生の間で流行した落とし合いと基本的には同じ。小学校で使用される机をフィールドとし、2選手が交互に自身のマシン(スーパーカー消しゴム)をブースターペンで弾きます。

相手のマシンをフィールドから落とす、あるいは横転させると勝利。逆に落とされたり、横転させられたりすると敗けです。誤って自身のショットで自マシンを落としたり、横転させたりした場合も敗北となります。

  • 初めて触れるブースターペン。参加者は弾く強さを探りながらマシンをショット!

先行、後行はチキンゲーム形式で決定。フィールドの縁に向かってマシンを弾き、より縁に近い位置で止めた方が先行となります。

ゲームマーケットが開催された2日間には、それぞれ個別の大会を開催。予選の形式は勝ち抜き戦で、予選時間内に連続で規定の勝利数を獲得した参加者が本戦出場となる形で進められました。

  • この日の予選は3度の勝ち抜きで決勝に進出。大人から子どもまで、多くの参加者がチャンピオンを目指した

予選ではブースターペンの扱いに慣れず、空振りといったミスショットが多発。どれだけ早く、扱いに慣れるかが勝敗のカギを握ります。本戦では皆がブースターペンとマシンの動きを理解し、フィールド縁の攻防や力強いウィニングショットで会場を沸かせます。

予選から本戦まで、幾度も大人VSお子さんのバトルが繰り返され、実際にお子さんが勝ち進むなど、年齢は関係ないところをみせてくれました。

大勢の参加者、観戦者がGGF-Tのブースに集い、大会は盛況のうちに終了。チャンピオンにはゴールドで仕上げられた特大サイズのスーパーカー消しゴム3D模型が贈られました。

  • デ・トマソ・パンテーラGTSのゴールドモデル消しゴム3D模型。29日と30日の優勝者、それぞれに贈呈された

  • ブースの裏手にはGGF-Tが所有するデ・トマソ・パンテーラGTSの実車も!

消しゴムからスーパーカー文化を!

今大会を主催したGGF-Tは、スーパーカーを使ったイベント企画などを行う会社。代表の赤間保さんに、スーパーカー消しゴムを復活させ、落とし合いを公式にルール化、大会を開催するに至った経緯をお聞きしました。

  • 大会の開催に先立ち、挨拶と開会宣言を行う赤間さん

「昭和の時代に流行った、『学校の机でスーパーカー消しゴムをボールペンで落とす』というシンプルな遊びに私たちは注目しました。現代のアナログスポーツのひとつとして普及させることで、年齢、国籍、障害の有無に関係なく楽しむことができると考えたからです。

また、世界中の人々にデジタルではないものにも、おもしろいゲームがあることを伝えたいと思いました。『直線番長レース』という弊社が開発したボードゲームをベースに、誰でも楽しめるようにシンプルなルールを設定し、ゲームマーケットでテスト的に開催したのが今大会となります」(赤間さん)

大会中の参加者やお客さまの反応から、赤間さんは「スーパーカー消しゴムの落とし合いは誰もが楽しく熱中できる、世界で通用するホビーである」と確信したと言います。今後は、このようなアナログスポーツ大会を企画運営する任意団体として「日本文具スポーツ協会(JSSA)」を立ち上げる予定です。

  • 『直線番長レース』は大会会場でも遊べるようになっていた

スーパーカーと昭和文化、アナログゲームを融合させたスーパーカー消しゴム落とし大会

GGF-Tはスーパーカー消しゴムとブースターペンのほかにも、アナログゲーム『あそぼうぐ』シリーズ、『あそぼうぐライト』シリーズなどの企画や販売を手がけています。

  • あそぼうぐシリーズ

「GGF-Tの中心事業は、自社で製作した超精密スーパーカー消しゴム(公式ライセンス品)を使った『日本の昭和文化であるスーパーカーブームにおける、アナログ遊びを世界に普及すること』です。

その普及のためのひとつの手段として、スーパーカー移動ミュージアムを展開しています。これらの活動は今のところ利益を目標にしたものではなく、次世代にクルマの楽しさを伝えるという想いからのものです」(赤間さん)

「スーパーカー移動ミュージアム」は、スーパーカー消しゴムではなく本物のスーパーカーをイベントなどに持ち込んで展示するというもの。多くの子どもたちにスーパーカーを間近に見てもらい、クルマの楽しさを伝えるため、2018年に始めたのだと言います。

展示可能な車種は多岐にわたり、ゲームマーケットで展示されたデ・トマソ・パンテーラGTSのほか、

パンテーラGT5
ランボルギーニ カウンタックLP400S/ウラッコP205S/カウンタック25thアニバーサリー
フェラーリ 365BB/512BBi/308GTB/ディーノ208GT4
ポルシェ 930ターボ
マセラティ ボーラ/メラクSS/ギブリ
ランチア・ストラトス
ロータスヨーロッパSP

など、かつてスーパーカーを追いかけた人にはたまらない車種ぞろい。どれも、いつでも走れるコンディションで、その出番を待っているそうです。

  • GGF-Tのガレージに収まるランボルギーニ・カウンタックLP400S

  • こちらはフェラーリ512BBi。カウンタックと人気を二分した、憧れのスーパーカーだ

スーパーカー消しゴムの方は、2019年に企画をはじめ、2020年に発売を実現しています。最初から「スーパーカー消しゴムを用いたアナログゲームを制作すること」を前提とし、世界への普及を念頭に置いたものでした。

2023年はイタリアでも大会を開催!

  • スーパーカーの持つ造形美を伝えるため、精度にはこだわり、各メーカーから公式のライセンスを受けている

2023年の春にはマセラティ・グレカーレ、ランボルギーニLP400/LP500/ウルフカウンタック/LPI800/ウルスと、多くの新作スーパーカー消しゴムの発売を予定。
「スーパーカー消しゴム落とし大会」のほうも、海外での開催が内定しているとのこと。

「来年の前半に、イタリア・モデナの自動車メーカーが総出で開催する自動車イベント、または、トリノ国立自動車博物館での開催を予定しています。もちろん日本国内でも開催を行っていきたいと思います!」(赤間さん)

GGF-Tは、スーパーカーの魅力を伝える、スーパーカー消しゴムという昭和の日本文化を継承する、そしてアナログゲームの持つ「多人数で楽しく遊ぶ」を兼ね備えたスーパーカー消しゴム落とし大会で、世界規模の展開に挑みます

子ども時代にスーパーカー消しゴムで遊んだ人はもちろん、スーパーカー消しゴムに触れたことがない若い人たちにも、ぜひチャレンジしてほしいと思える「スーパーカー消しゴム落とし大会」でした。

皆さんも大会に出場して、まずは日本チャンピオン、そして世界王者を目指してみてはいかがでしょうか?

<関連リンク>
GGF-T株式会社

(文・撮影:糸井賢一/取材協力・GGF-T株式会社/編集:木谷宗義type-e+ノオト)

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