片岡龍也 ドライバーズコラム 第14回 レーシングカートのススメ
今回は、僕の原点でもあるレーシングカートの話をしたいと思います。
最近では、スポーツカートやレンタルカートが人気で普段から楽しんで居られる方も多いのではないでしょうか、身近に楽しめるモータースポーツですから、多くの人に楽しんでもらいたいと思います。
ただ、手軽に楽しめるレンタルカートが普及する一方で、手間もお金も掛かるレーシングカートを楽しむ人が減ってきているのは悲しいですね。手間とお金が掛かる分以上に、リアルなレーシングの世界がそこにはあるのですが!
90年代には、F1ブームもありカートを楽しむ大人が大勢いました。自分がカートを始めた92年の頃には、アイルトン・セナ、ナイジェル・マンセル、アラン・プロストなどのレプリカヘルメットやレーシングスーツを着た人が本当に大勢いたことを覚えています。
F1ブームも去り、バブルも崩壊。ミニバンブームが急激に押し寄せてきたことで、スポーツカーの人気も衰退とモータースポーツを取り巻く環境が悪くなったこの頃から、カート人口も減ってきました。
ブームとしてのカート人口は減少しているのに、本気でレーサーを目指すキッズカーターは徐々に増え始めたのもこの頃だったと思います。僕がローカルレースに出場したころは、大人の中に数名の子供が参加している状態でしたが、いつの間にか、キッズレーサーが増えて大人達と肩を並べるようになりました。
キッズカーターが増えてきたことで、レースのカテゴリーも増えました。幼少期からも参加できるようなレースも始まり親子でレースに取り組む環境はどんどん整ってきます。90年代の後半には、マクラーレンが育成チームを作りルイス・ハミルトン、ニコ・ロズベルグの二人が、マクラーレンカラーのカッコいいカートで日本のワールドカップに参戦して来た時には、少しジェラシーを感じてました(笑)
ここまでの話のように、子供たちを育てていく環境が整ったことで、それまでよりも多くの資質の高いレーサーが誕生してきました!
全日本カートで使用しているレーシングカート、本当にハイレベルで体感スピードは300キロを超えるとも言われています。ハイグリップタイヤにハイパワー水冷エンジン、Fブレーキも装着され、体力的にもスーパーフォーミュラに匹敵するフィジカルが求められます。
その中で、テールトゥノーズやサイドバイサイドを繰り広げ、バックミラーも無いカートでは背後の気配を感じながら、速いテンポで抜きつ抜かれつを繰り返し残り周回数を考えながらタイヤをマネージメントして、バトルのタイミングを駆け引きします。
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- 水冷125ccエンジン
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- ハイグリップタイヤを強烈に制動するFブレーキ
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このように子供の頃からレースの駆け引きを体で覚えるので、今の若い選手はレース中のバトルで接触することが減ってきていると思います。これは、当たり前のように自分と相手の位置をイメージし、ギリギリ相手のスペースを残すことが出来ている証拠だと思います。
レーシングカートの世界が、若手育成の主戦場であることが何となく伝わってきたかなと思いますが、僕も3年前からヤマハレーシングカートチームの代表を務め、今後4輪レースで活躍できる選手の育成も力を入れています。自分の育った環境に、少しでも恩返しが出来ればと思っています。
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- 集合写真
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- キッズスクールなども教えています
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さて、ここまではレーサーを育てるレーシングカートの話をしましたが、もちろん楽しむのは子供だけではありません!一時は、かなり減ってしまったカートを趣味で楽しむ大人たちも最近徐々に増えてきています。特にバイク業界でも耳にする、リーターンライダーならぬリターンカーターも増えており、昔よりお金も気持ちにも余裕で楽しむスタイルが流行るのではないでしょうか!?(期待)。
是非、このコラムを読んで少しでもレーシングカートが気になったあなたはWEBでレーシングカートと検索してみましょう!新しい扉が開くかもしれません!
片岡龍也ドライバーズコラム
第1回 プロのレーシングドライバーまでの道程
第2回 レーシングドライバーという職業とは?
第3回 ドライビング
第4回 BMW Familie!2015 レポート
第5回 ドリフトへ挑戦
第6回 D1ストリートリーガルデビュー苦労話
第7回 愛車でドライブ
第8回 シーズン始動!
第9回 タイヤテストのお話
第10回 サーキットを無理なく走ってみませんか?
第11回 新車到着!
第12回 初音ミクGTプロジェクトファン感謝祭
第13回 AMG 一気乗り
第14回 レーシングカートのススメ
第15回 メンタルトレーニング
第16回 ニュルブルクリンク24時間レースへ参戦します!
[ガズー編集部]