東名下り線「右ルート」「左ルート」何が違う?気をつけるポイントは?

日本の高速道路には、他ではみれない不思議な構造をした場所というのがいくつか存在します。その1つとしてあげられるのが、「右ルート」「左ルート」というものです。

「右ルート」「左ルート」は、NEXCO3社が管轄される高速道路では、こちらの5つの区間で運用がされています。

  • 東名高速道路下り線 大井松田IC~御殿場IC
  • 東名高速道路上り線 焼津IC~静岡IC
  • 名神高速道路下り線 京都南IC~茨木IC
  • 名神高速道路上り線 茨木IC~京都南IC
  • 中央自動車道下り線 上野原IC~大月IC

 

いずれの路線も長いトンネルがあり、カーブや勾配の激しい山間部であり、なおかつ交通量が多い区間であります。

そんな「右ルート」「左ルート」のなかで、一番最初に運用が開始されたのが、1991年より運用している東名下り線大井松田IC~御殿場ICです。

こちらの「右ルート」「左ルート」は、R=300をはじめとする急カーブが連続していて、かつ合流後の御殿場IC付近で東名最高標高地点である454mを迎えるなど、東名でも屈指の山岳地帯となっています。

そんな東名下り線の「右ルート」「左ルート」ですが、最終的に同じところにたどりつくため、どちらをえらんでも一見大差はないようにみえます。

しかし、実は実際に走行する前に知っておきたい注意点というのがいくつかあるのです。それを知っているだけでも、運転の快適さはガラリと変わります。

東名下り線の「右ルート」「左ルート」走行時に気をつけたいこととはいったい何なのでしょうか。

大井松田ICから東名下り線に乗ると、強制的に左ルート

東名下り線の「右ルート」「左ルート」は、ちょうど大井松田ICのところが分岐点となっています。東名下り線を走行していると、大井松田ICを過ぎるとすぐに、「右ルート」「左ルート」の分岐点が訪れます。

そして、分岐点上にある大井松田ICから東名下り線方面に高速道路を乗った場合、インターの構造上「右ルート」「左ルート」の選択ができずに、強制的に「左ルート」に進入することになります。

そんなに違いはないから別にいいかなと思われるかもしれませんが、実はゴールデンウィークやお盆・年末年始などの交通ラッシュ時になると、その影響が大きく響くことになるのです。

というのも、大井松田ICから高速道路を乗る方が「左ルート」に流れる分、「左ルート」の方が交通量が多くなり、「右ルート」は順調に流れているのに「左ルート」は渋滞しているという現象が生まれることがあります。

普段はそれほど気にすることはありませんが、交通量が多い日や時間帯を走行する際は、大井松田ICからの流入量を考慮した上でルートを選択するのがいいでしょう。

また、分岐点と終着点が同じとはいえ、道中の交通状況には違いがある場合がありますので、分岐点手前にある電光掲示板の表示などをよくみながらルートを選択するとより確実です。

「左ルート」を選択しないと鮎沢PAを利用できない

「右ルート」「左ルート」では、どちらのルートを選択しないと利用できないサービスエリアやジャンクションというのも存在します。

東名下り線の「右ルート」「左ルート」の場合、「左ルート」を選択しないと途中にある鮎沢PA を利用することができない構造になっています。

なぜこのようになっているかというと、かつて「右ルート」の道路は東名の上り線として運用されていました。その頃には、上り線の鮎沢PAとして道路上にパーキングエリアが設置されていました。

それから、1991年に上り線に片側3車線の新しい道路が運用開始されると、かつての上り線の道路が下り線の「右ルート」、下り線の道路が下り線の「左ルート」として運用されることになりました。

上り線には新しいパーキングエリアが設置されましたが、「右ルート」にある鮎沢PAはかつて上り線として利用されていた影響で、道路の右側に設置されているうえに、出入口も逆になっているため、とても利用できる構造ではありませんでした。

結果、「右ルート」には鮎沢PAが設置されないことになり、かつて上り線の鮎沢PAとして運用されていた場所は、現在事業用設備として利用されています。

東名下り線の鮎沢PAは、こぢんまりとしたパーキングエリアですが、ご飯とおみそ汁がおかわり自由の「山小屋食堂」やアメリカンドッ君やみしまコロッケなど、魅力満載のグルメがいっぱいで、トラックドライバーの方々などから人気のあるパーキングエリアです。

リニューアル工事期間は、「右ルート」「左ルート」のどちらかが工事のため、通行止めになる可能性がある

東名では、定期的に区間ごとに分けてリニューアル工事を行っています。リニューアル工事実施の際は、CMなどでも放送され他の高速道路上にも幕が貼られて宣伝されます。

東名は、1969年に全線開通していてすでに半世紀以上の歴史のある高速道路となりました。そのため、各所で老朽化が進んでおり、今後も私たちが安全に高速道路を利用できるように、傷んだ場所の補修や補強などをまとまった期間で行っているのです。

リニューアル工事は、「右ルート」「左ルート」の区間も対象エリアになることがあり、その際は片方のルートを通行止めにして、徹底的に工事作業を行うケースが多くなります。

東名の大井松田IC~御殿場ICは、曜日や時間帯による前後はあるものの、基本的に交通量の多い区間になるため、どちらかのルートが閉鎖されていると、すぐに大渋滞が起きる区間です。

渋滞の規模が大きいときは、大井松田IC~御殿場IC間だけでも、2時間以上の所要時間がかかるときもあるため、情報のチェックはかかせません。

リニューアル工事期間中は、交通量の少ない曜日や時間帯を選んで走行するか、NEXCOも推奨している、中央道や箱根新道などへのうかいルートを検討するようにして、なるべく渋滞によるストレスをためないように心がけていきましょう。

「右ルート」「左ルート」の区間を上手に走行していきましょう

他にも、「右ルート」の方はもともと上り線の道路として使用されていた経緯から、実際は下り線走行用の道路形状になっていないという理由から、若干ですがカーブなどで走行の違和感を感じるところがあります。

また、片方2車線の道路では通常右車線が追越車線、左車線が走行車線であることから、「右ルート」は速度が速めの車、「左ルート」は速度がゆったりの車が走行する傾向が強いです。

ただ、東名は通常制限速度が時速100キロなのですが、大井松田IC~御殿場ICは急カーブや激しく勾配が多いことから、制限速度が時速80キロになります。

東名下り線の「右ルート」「左ルート」は、単純なルートの分岐だけではない、さまざまな事情が絡み合った奥深さが存在するのです。

そしてなんといっても、分岐点から合流点までが、全国にある「右ルート」「左ルート」のなかで最長の約19キロもの距離を誇るため、他の「右ルート」「左ルート」の区間を走行した経験のある方だと、距離の長さに興味を示す方もいらっしゃるかと思います(自分もそのなかの1人でした)

運転される方の目的に合わせて、「右ルート」がいいのか「左ルート」がいいのかが分かれますので、分岐点につくまでにしっかり下調べと準備をして、選択をするようにしましょう。

のっぴードライブログ

(テキスト:のっぴー、写真:PIXTA、編集:GAZOO編集部)

コラムトップ