関口雄飛、今季2勝目!かつてこんなレースあったっけ?~スーパーフォーミュラ第6戦 スポーツランド菅生~

9月24日(土)、25日(日)の両日に渡り、スポーツランド菅生にて、全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦が開催され、関口雄飛選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がポールトゥウィン!今季2勝目を挙げた。

TOYOTA GAZOO Racing 決勝レポート

TOYOTA GAZOO Racing 予選レポート

金曜日の走り出しからトップタイムと、良い感触でレースウィークに入った関口。好調なまま、非常に僅差の予選もトップ、堂々のポールポジションを獲得した。ここに正直、驚きはなかった。この流れから来る本人の雰囲気が、そう思わせたのかもしれない。チームメイトのJ.P.デ・オリベイラ選手と走行データを共有し、お互いの良いところを取り入れ、まさに切磋琢磨しチームを押し上げている二人。星野監督は、決勝に先駆けて行われた監督トークショーで、チームメイトという最強のライバルに負けると、お互いが悔しがる様子などを披露。ライバルとの距離感を話題にしていた。チームによってその距離感はそれぞれだが、星野監督は、二人のバチバチのライバル感が、非常に心地良いという印象だった。仲良しという環境もあるが、刺激し合う環境がこのチームのカラーに合っているのだろう。

迎えた決勝レースだが、序盤、残念ながらチームメイトのデ・オリベイラ選手がスピン。そこでセーフティーカーが介入し、関口の稼いだ13秒のマージンは水の泡となった。すぐさまピットに入りたいところだが、セーフティーカーに頭をおさえられた不運の関口。今日の関口は、“持ってない”と思われたが、この状況を自らの走りで打開していく。セーフティーカー明けから、猛プッシュ。ファステストラップを連発し、1周で1秒以上のギャップを積み上げて行ったのだ。

スポーツランド菅生のピットロードを通過するのに必要な時間が約25秒、プラス給油時間と、状況から安全に見積もっても約35秒の貯金が必要と思われた。チーム無線では、細かなタイム差、マージンなどは知らされなかったとのこと。関口は、常々、しゃべらないでレースに集中しなさいと、星野監督から言われているとの事で、本当は聞きたかったが聞けなかったそうだ。無心で走っていた関口だったが、ピットインの予定5周前くらいに、これはイケるかもと無線で打診され、ピットインギリギリまで、オーバーテイクシステムも使いながら全開で攻めた。ピットインの際のギャップは、35,2秒。ピットインを済ませると、2番手がホームストレートに入って来る姿は見えたが、余裕のトップでコース復帰をして見せた。そこからチェッカーまでも他を寄せ付けない速さで、後続に14,278秒もの差をつけ優勝を飾った。

非常に申し訳ないが、単独でトップを走行するクルマを、これだけ注視したレースがあっただろうか? あまりの偉業に、月並みな誉め言葉しか出て来ない自分が情けない。シーズン前に、このカテゴリーをおもしろくする存在になると語っていた関口。まさに、言葉以上お値段以上の有言実行。10代の頃、肩で風切って歩いていた彼が、かなり遠回りをして苦労をしつつも、今も速さは健在で、トップカテゴリーで戦っていることがとてもうれしい。

今季、タイヤサプライヤーが変わったことで、同じスタート地点に立った全チーム。どのチームが先に攻略するのだろうと手探りのシーズンを楽しみにしていた。結果、大混戦となっているシーズン、チャンピオン候補は関口の他にも沢山いる。来月の最終戦、誰がチャンピオンに輝くのか、しっかりこの目で見届けたい。レースって本当におもしろい、再確認する記憶に残るレースだった。

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road