止められない勢い、そして6年かかった男泣き!ドラマだらけのタイラウンド ~LEXUSチャンピオン奪還までの道 vol.14~
10月8日(土)、9日(日)、タイ、ブリラム県チャン・インターナショナル・サーキットにて、シリーズ唯一の海外ラウンド、SUPER GT第7戦が開催され、19号車 WedsSport ADVAN RC F 19号車 関口雄飛/国本雄資組がポールトゥウィン!今一番、乗っているドライバー二人が、勢いのまま勝利を手にしました。
このコンビが、スーパーフォーミュラのカテゴリーで、1か月の間に3勝を挙げたのは、印象にも実力的にも強さと勢いを感じる勝ち方で、記憶に新し過ぎるくらいの先日のお話。そして、タイに乗り込む前から19号車は優勝候補として取り上げられるようになりました。候補にあがっても、そのまま勝利を勝ち取るのは、なかなか難しいのがこのカテゴリー。しかし、この二人に関しては、“やってしまうだろう”という勢いを感じていました。迎えた予選、ポールポジションをいとも簡単に獲得してしまうのです。
自信に満ちた二人には、GT500クラスに参戦してまだ6年目という新しいチームであるというイメージなどはもう不要でした。満を持して横浜タイヤを武器に、ポールポジションを獲得し優勝も成し遂げてしまうのです。決勝レース途中、関口選手のスティントで見舞われたスローパンクチャーは、最終コーナー付近で起きそのままピットイン。負の要素も、全くマイナスにならなかったという状況で、風は19号車に完全に吹いていました。
ここまで開発して来た横浜タイヤも、第4戦で24号車GT-Rが勝利するなど、機は熟していたと思います。優勝までのすべての条件が整った中での一勝でした。
チェッカー後、無邪気に喜ぶ二人のドライバーは満面の笑み。一方、坂東正敬監督は、実父であるGTアソシエーション坂東正明会長が駆け付けると、二人で男泣き。このシーンには、現地もテレビの前の日本のファンも涙したに違いありません。男泣きとは「美しいもの」と学習しました。これまでの苦労を知った仲間たちからの祝福の多さも格別、ここまで頑張って来た道程を知る方々の心を打ち、この勝利には、何か自分たちが優勝したかのような気分にさせる特別なムードがありました。
レース直前、坂東監督に、昨晩は寝られましたか?と伺ってみました。すると、「俺は、今までフリーキックを何度も蹴って来たぞ!」と、サッカーに打ち込んで来た経歴のある監督ならでは答えが返って来ました。笑いながら、「失敗もあったけどね」と付け加えましたが、ドライバーも頑張って!とかけた声に強く「はい」と返事が来て、短い言葉ながら、この勢いなら勝っちゃうね!と圧倒されました。
村野マネージャーは、朝「あの二人、今日は勝っちゃう気がするから、その時の準備をしっかりしておかないと」と、やっぱり誰もが信じて疑わない勝利だったと、今振り返って改めて思います。勝っても泣かないからとレース前に語った坂東監督。こんな素敵な嘘は何度つかれても良いかなと思います。素晴らしいレースでした。
ドライバーランキングは、首位は変わらず1号車GT-R。そこから4台RC Fが続きます。次の最終もてぎラウンドは、熊本地震で延期になった第3戦(ウェイトあり)と、最終戦(ウェイトなし)の2戦が開催され、土日、それぞれ予選決勝というオーダー。レクサス勢の逆転タイトルがあるのか、最終ラウンドの2レースが楽しみでなりません。ぜひ、現地に足を運んでシリーズ最後のレース、そしてRC F最後の雄姿を観ていただければと思います。
(写真:森山俊一、大谷幸子 テキスト:大谷幸子)
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[ガズー編集部]
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