せつな…これもレースだね ~スーパーフォーミュラ第3戦富士レポート~
スーパーフォーミュラ第3戦が、7月8日(土)、9日(日)富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)にて行われました。約一か月半のインタ―バル後の戦いは、まだ梅雨明けの声も聞かない中、猛暑に見舞われいろんな感情が渦巻きましたね。
○TOYOTA GAZOO Racingレースレポートご参照
http://toyotagazooracing.com/jp/superformula/report/2017/03/03.html
- (優勝した石浦宏明選手P. MU/CERUMO・INGING)
まず、速かったねえみんな!公式予選では、Q1でぴったり1秒以内に全車がおさまるという恐ろしい結果。ん?ドライバーのスキルとか、レギュレーションとか、素晴らしいクルマとか技術に感嘆。そして、いつもの事ながらですが、わずかなミスでポールから最後尾まで簡単にポジションが入れ替わる怖さも目の当たりにしました。予選でのポジションは大事だよね。
- (ポールポジションを獲得した 国本雄資選手P. MU/CERUMO・INGING)
そして、迎えた決勝でその速さを生かせたかというと、マシントラブルに見舞われたチームがいくつかあり、ただただ残念。想定外の結末を迎えるとは当然思っていなかったので言葉になりませんでした。気づけばトラブルばかりが印象に残ってしまうレースとなってしまいました…私はね。
決勝日、優勝とリタイアが混在したチャンピオンチームで、チェッカーを迎えたのですが、その際でもリタイアした1号車のメカニック、スタッフはマシンのメンテにバタバタ。かたや、ファイナルラップを迎え、笑顔があまりない優勝マシンのスタッフ。もちろん、それはチームにとってワンツーフィニッシュを信じていたからこその無念の気持ちと気遣いでもあると感じました。久しぶりに、辛いなあこの場所と思いましたよ。どうしても、栄光を称え歓喜に沸く場所を最後は追いかける。いちいち心の中を揺さぶられながら取材する自分はメディアには向いてないなあと毎度思うわけですが、あれだけ愛情があちこちに転がっているとね…。現場の空気を肌で感じてしまう性分。こればかりは、仕方ないかと思いつつ取材を続行するのですが…。
今般、富士を得意とするチームはいくつかあれど、予選の速さはチャンピオンチームは頭一つ抜けていました。そんな中でのせめぎ合い。予選、Q1ご覧になりました? 1秒に、全車19台が収まったカタチには、いろんな意味で尊敬の念を持ちました。たった1秒です。どんなタイミングなんだろう?呼吸?指の動き?クルマのポテンシャル、ドライバーのスキル…セッティング、コンマ何千分の1秒を競っている世界。嗚呼、なぜにもっと沢山の方が見てくれないんだろうと思う訳です。
“せつな~”は、ル・マン帰り…ちょっとライムラグあるけど国本雄資選手ですよね。彼は、世界の大舞台を経験したことで、さらにまた成長していると感じますが、今回本当に速かった。予選日TOYOTA GAZOO Racingドライバートークショーに、チームメイトの石浦宏明選手と一緒に登場したのですが、短期間でたくさん経験を積んだことで話の“ネタ”も尽きないし、非常に楽しかったです。これまでと明らかに違うと感じた方は多かったでしょう。
予選に話を戻しますが、Q2が終盤、赤旗で中断した際には、国本選手は既にトップタイムを叩き出していました。残り3分で再開し、みんながアタックに向かった時、彼はピットに留まりましたね。かっこ良かった。その姿を見ていて、SUPER GTでチームメイトとなる関口雄飛選手は、うらやましかったそうです。その関口選手は、予選3位となり記者会見に一緒に臨みましたが、そのエピソードをにこやかに語ってくれました。関口選手、昨年のこの富士、ルーキーイヤーで優勝を遂げています。今回のレースは決勝は終始辛そうなレース展開でした。最後は、TEAM無限のピエール・ガスリー選手に追い上げられ、その戦いはチェッカー―寸前まで続き、並んでゴールで飛び込みましたが鼻さで勝ちました。タイヤ無交換の関口選手でしたが、タイヤ交換したクルマを押さえ切ったということです。
- (関口雄飛選手 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
ポールスタートからの決勝での国本選手ですが、みなさんご存じのように足回りにトラブルが出てリタイア。見ているこちらも“せつな~”でした。マシントラブル…、どこにその怒りをぶつけたら良いのか。それと同時に、ル・マン24時間を思い出しました。もらい事故だったなと。自身のミスではないリタイアは、その場では中々気持ちに折り合いをつけるのは難しいはず。そんな経験が続きましたが、開き直って次に臨んで欲しいですね。
- (小林可夢偉選手 KCMG)
翌日のTOYOTA GAZOO Racingドライバートークショーでは、チームを移籍し好調な小林可夢偉選手が、予選Q2でスピンし赤旗を出したことを振り返りました。ポールポジションを狙っていたアンドレ・ロッテラー選手が、その煽りを食らい万事休す、下位に沈みました。他にも影響を受けた選手はいましたが。小林選手の気持ちの切り替えはかなり早かったようで、冗談を言っても反応が悪いとロッテラー選手の事を言ってましたね。険しい表情で、予選後のWEC富士6時間レースの記者会見に現れたロッテラー選手は、確かにご機嫌斜めというか、“せつな~”でした。
レースウィークのみならず、これまで自分が現場に来た時のことを振り返ってみると、数年前までは外国人ドライバーが会見の常連で、日本人ドライバーは肩身の狭い思いをしていた…というか、日本人が会見に来ないパターンが繁茂にありました。非常にさみしく思っていましたが、いまや通訳不在の時もあるほど、日本人ドライバーが活躍していますね。“日本人”という括りで話を進めると、とてもスケールの小さいものになってしまう気がして、あまり使いたくない表現ではありますが…。
過去には、日本人ドライバーがちょっとバカにされちゃってる?と感じる会見も見受けられ、うとましく思ったことも正直ありました。最近は、ドライバー自身が会見をなごませてくれるような発言で雰囲気良く終わることが多々ありうれしい限り。そして、外国人ドライバーもレベルの高い方々が参戦していますし、誠実に会見もこなしてくれて、素晴らしいカテゴリーだと今更ながら実感。いや、そもそもトップカテゴリーで、やっていることはレベルが非常に高いのですよ、うん。
- (今季、初参戦で初表彰台を獲得の大物ルーキー フェリックス・ローゼンクヴィスト選手 SUNOCO TEAM LEMANS)
今季は、新人も暴れていますし(マナーが悪いという意味ではなく…笑)、とても楽しみなシーズン。個人的にありえないけどF1並みのペースでみたいです(笑)。こんな事言ったら怒られちゃいますけど…。次戦、スーパーフォーミュラ第4戦は、8月26日、27日ツインリンクもてぎ(栃木県)で開催されます。せつな~も、勝負の世界も一緒に体感しましょう!ぜひ、いらしてくださいね!それでは、また!
(写真 折原弘之、テキスト 大谷幸子)
レポーター(お)ねえさん・大谷幸子
随時、クルマに関する様々なイベント・テーマでレポートしていきます!
[ガズー編集部]
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