2017 ワークスチューニンググループ合同試乗会 ~TRD~

9月5日(火)から4日間に渡り、ワークスチューニングカー合同試乗会が群馬サイクルスポーツセンター(群馬県利根郡)にて行われた。会場には、メーカー直系のアフターパーツ開発メーカーであるTRD、STI、NISMO、無限の4社がそれぞれのチューニングカーを持ち込んだ。TRDは、TOYOTA 86とエスクァイア、STIはインプレッサとレヴォーグ、無限はフィットとベゼル、NISMOは08GT-R、X-TRAIL、NOTE e-POWERの3台をラインナップした。今回はTRDの2台について、インプレッションを紹介していこう。

▽KOUKI 86 TRD

試乗当日は前日からの雨で路面はウエット。荒れた路面と相まって、かなりスリップしやすい状態でのスタートとなった。まずは、後期型の86から試乗してみた。ノーマルの86は若干アンダーパワーで、チューニングカーのベース車両に最適と言われてきたが後期型はさらに完成度を上げている。その後期型86にエアロパーツと、スタビライザー、サスペンションマフラーを最適化することにより、接地感を上げ乗り心地の良さを追求したと言う。

まず空力パーツだが、空気を整流することが接地感の向上につながったとのこと。まずフロントからサイド、リアまでフロア周りに取り付けられたフェンダー類でフロア下の空気の流れを向上。

リア上面の整流は、リヤトランクスポイラーとリアサイドスポイラーで対応。特にリアサイドスポイラーは、テールランプ周りの空気の流れを向上させている。

そしてフロントタイヤ前部とリヤタイヤ後部に取り付けられたエアロタービュレーター。ボディサイト上部には、フロントフェンダーエアロフィンとサイドスタビライジングカバー。このパーツを装着することで、ボディサイドの整流に成功。特にエアロタービュレーターは、ボディサイドから離れようとする空気をボディに密着させる効果が高く接地感の向上に公献しているとのこと。

ボディ剛性に関しては、フロントストラットタワーバーとモーションコントロールビーム(MCB)、ドアスタビライザー、ブレースセットで剛性を上げている。カーボン製のタワーバーはボディ剛性を上げるだけでなく、たわむことによりピッチングの減少に役立っているとのこと。さらにMCBを装着することでピッチングを効率よくコントロールしている。

そしてドアスタビライザーは、ドアとボディの隙間を埋めることで、ねじれ剛性を上げることに成功。ブレースとのセットでその効果はさらにアップ。最もコストパフォーマンスに優れたチューニングパーツと言えそうだ。

そして今回チューニングのテーマである接地感や乗り心地の良さ。ことテーマを実現するためにはサスペンションとハィールは欠かせないアイテムだ。ホィールは18インチに変更され、サスペンションもアブソーバーのロッド部にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティングすることで、摩擦係数を減少させよりスムーズな乗り心地を実現させている。

実際に乗ってみると、シャーシ剛性が上がったせいか、ハンドリングのリニア感は抜群に上がっている。ステアリングの入力に対し、想像通り過不足のない曲がり方をしていく。同時にねじれ剛性も上がったせいか、コーナリング中も接地感が抜けることもなく一定のグリップ感を得られた。これはドアスタビの効果が大きく作用しているように思える。

リヤスポイラーとセットのマフラーも、ノーマルに比べ低音で心地よく高級感を感じさせる。サーキットに持ち込んでしまえば、多少の物足りなさは感じるであろうがストリートチューンとしては極上。すこぶる上質なライトウェイトスポーツに仕上がっている。

▽ESQUIRE Gi“Premium Package”TRD

エスクァイアだが、目指したのは優雅かつ洗練されたスポーティスタイル。押し出しの強いフロントグリルとLEDを配したスポイラーから、サイドスカート、リアバンパースポイラーでスポーティさを演出。

スポルティーボサスペンションと17インチホィールで足回りを固めている。そしてスライドドアの弱点であるボディ剛性の弱さは、ドアスタビライザーで補強し嫌なねじれ感の解消を目指している。

試乗した感じも、ミニバン特有のねじれ感は見事に解消していた。ロール感も弱く、サスペンションが仕事しているように感じる。後部座席に乗っても、コーナリング中のサイドGがマイルドで家族に優しいセッティングに思える。この仕様は、VOXYやNOAHシリーズにもラインナップされている。

今回発表されたTRDのチューニングカーは、サーキット走行のようなハードな走りを追求した仕様ではなく、よりストリートチューンにこだわった仕様となっていた。そのためゴツゴツとした乗り心地の印象は全く無かった。それどころか、しなやかであり乗り心地の良さが印象に残った。ハードな走りから、日常生活、ミニバンに至ってはファミリーユースまで視野に入れたファインチューニングと言えるだろう。

(写真、テキスト 折原弘之)

[ガズー編集部]