2017 ワークスチューニンググループ合同試乗会 ~STI 無限~

9月に開催された、ワークスチューニングカー合同試乗会。試乗記2回目の今回は、STIと無限。STIからは、IMPREZA SPORT 2.0i-SEye SightとLEVORG 1.6STI Sport Eye Sightの2台が用意された。今回STIがこだわったのは、ズバリ、クルマの「体幹」強化。車の体幹とはまさに、シャーシ剛性のこと。車体の剛性を上げることで、楽しく安全なドライビングを提供したい。このテーマのもとに製作された。

まずは、STIフレキシブルタワーバーとSTIフレキシブルロースティフナー。タワーバーは言うまでも無く、フロントサスペンション取り付け上部に取り付けることでフレームの剛性を上げハンドリングの向上にさせるパーツだ。だが、今回STIが採用したのは、タワーバーセンター部分にピロボールを配した仕様。これにより、ピッチングなどの上下の振動コントロール、シャーシ剛性を上げながら嫌な振動を消してくれる。フレキシブルロースティフナーとは、サスペンションの付け根と、クロスメンバー(エンジンをマウントしフレームと結合しているパーツ)にマウント。ブレーキングやコーナリングGで、微妙にずれたサスペンションアームを素早く正常な位置に戻すパーツで、これにより、リニアなハンドリングを実現させている。これは、IMPREZA SPORT 2.0i-SEye Sight 、LEVORG 1.6STI Sport EyeSight共に同じ考え方で、今回のテーマである体幹の強化を象徴したパーツと言えるだろう。

まずは、IMPREZA SPORT 2.0i-S EyeSightだが、LEVORG 1.6STI Sport EyeSightより軽いはずなのに心地よい重量感を感じる。キビキビとしたライトウェイトスポーツを想像していたが、逆に落ち着きがあり安定した感じだ。ボディも硬くなった印象はなく、しなやかで安定感があるように思える。ホィールもSTI17インチアルミホィールを装着することで、ハンドリングの良さに一役買っているようだ。外観もフロントとサイドにSTIフロントアンダースポイラーとSTIサイドアンダースポイラーを装着することで、精悍でスタイリッシュな印象を演出している。ニュートラルなステアリングフィールに落ち着いた乗り心地、毎日乗って楽しめるクルマという印象だ。

次にLEVORG 1.6STI Sport EyeSightだが、こちらはSTIフレキシブルタワーバー、STIフレキシブルロースティフナーにSTIフレキシブルサポートサブフレームリアが追加されインプレッサに比べシャーシ剛性をさらに上げている。こちらもハンドリングはニュートラルで、回頭性も良く切った分だけ曲がっていく感じだ。FFベースの車両のはずだが、コーナリング中にアクセルを開けても外に逃げることなく狙ったラインに乗せていける。

外装もSTIスタイルパッケージ(フロントアンダースポイラー、サイドアンダースポイラー、リヤアンダースポイラー)で締まりを効かせている。ブレーキパーツもドリルディスクローターとSTIブレーキパッドを採用し、ブレーキのフィーリングとタッチの良さを実現している。止まる、曲がる、走る、の基本性能が高く、スポーツドライビングに最適な一台と言えそうだ。

次に、無限が持ち込んだMUGEN FIT RS・HondaとMUGEN VEZELを紹介しよう。まずはFITだが、テーマはズバリ「やんちゃなボーイズレーサー」。

そのコンセプトを象徴するかのように、コックピットセンターに3連の(水温計、油圧計、油温計)Assist Metersを配置。内装も黒を基調にし、赤のステッチなどで統一しレーシーな気分を盛り上げてくれる。

外装も特徴的なAero Front Bumperを始め、Carbon Upper Wing、LED Rear Fog Light、Carbon Lip、Carbon Door Mirror Coverなどカーボンパーツを多用しボーイズレーサー感を演出。足元もAluminum Wheel MD8のフラットブラックで引き締めている。

そして極め付けは、ボンネットに排気用のスリットを入れた、Aero Bonnetだろう。FRP製のボンネットにスリットを入れ、放熱効果を上げているとのこと。だがその効果は、放熱効果以上にスタイリッシュなボーイズレーサーをアピールしている。試乗して感じたのは、キビキビした動きとFFらしくない運動性能だ。Sports Suspensionの効果も相まって、多少オーバースピードでコーナーに侵入しても曲がらない感じはない。さらに、そこからアクセルを踏んでもアウトに膨らむこともなく回頭していく。FFのネガな部分が、大幅に解消されているように感じた。見た目もそうだが、乗り味もキビキビとしたボーイズレーサーというフレーズがぴったりハマっている。

次にVEZELだが、目指したのは「プレミアムスポーツSUV」。Front Under Spoiler、Side Spoiler、Rear Under Spoilerを、つや消しブラックで 統一しLower Wingでスポーティさを印象づけている。

足回りはSports Suspensionで固め、ホィールはAluminum Wheel MD5を装着することで1本あたり2,3kg軽量。運動性能向上に貢献している。

試乗した感じはSUVの腰高感はかなり軽減されている。これはサスペンションを変更することで、ロールを抑えることに成功した結果だろう。ハンドリングもSUVにしてはかなりリニアな感じで、バネ下のホィールの軽量化が生きているように思える。SUV好きだが、スピーティさも欲しいという欲張りな方にぴったりのSUVに仕上がっているようだ。

(写真、テキスト 折原弘之)

折原弘之

F1からさまざまなカテゴリーのモータースポーツ、その他にもあらゆるジャンルで活躍中のフォトグラファー。
作品は、こちらのウェブで公開中。
http://www.hiroyukiorihara.com/

[ガズー編集部]