2017 ワークスチューニンググループ合同試乗会 ~nismo~
9月に開催された、ワークスチューニンググループ合同試乗会。最後は、ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル、nismoの試乗記。ニッサンのフラッグシップ、NISSAN GT-R(R35 2008年モデル)を筆頭に、NOTE e-POWER NISMO、X-TRAIL NISMO Performance Packageの3車種を持ち込んだ。純潔スポーツカーと電気自動車、SUVと全くジャンルの違う3台のクルマを、どうチューニングしたのか興味津々だ。
まず、ニッサンのフラッグシップスポーツカーのGT-R。今回は07~10年モデル対象のチューニングメニューだ。初代GT-Rのデビューから10年が経過したが、発売当初のモデルに末長く乗ってもらうため、最新のGT-Rのパーツを使うことで、レストアではなくパフォーマンスも向上させている。エアロパーツもSUPER GTの空力エンジニアが担当。空力解析を用いて開発することにより、ダウンフォースや旋回性まで向上させている。試乗した感じも、とても10年前に発売されたクルマとは思えない出来栄えだった。走る、曲がる、止まると言った基本性能の高さが、10年たった今でも色あせない魅力的なクルマの母体となっているのだろう。そこに最新のパーツを組み込むことで、パフォーマンスでも現代のスポーツカーに勝るとも劣らない仕上がりになっている。試乗当日が雨で道幅の狭いコースだったこともあり、その性能の片鱗しか見ることはできなかったが、GT-Rは何年経っても魅力的だった。
続いて、X-TRAIL NISMO Performance Packageだが、今回装着された全てのパーツを同時装着した際に最適になるように開発されたチューニングパーツと言うことだ。
主だったエクステリアは、フロントアンダースポイラー、サイドスカートリアアンダースポイラー、ルーフスポイラー、ダーククロムフロントグリルセンター、アルミロードホィールを装着。全てのエアロパーツは、空力シミュレーションされておりスタイリッシュなだけでなく、空力を向上させ直進安定性などに貢献している。
乗り味はSUVとは思えないほど上質で、30mmのローダウンがSUV腰高さを消しているようだ。ローダウン化の効果は、コーナリング中に顕著に現れた。横Gに対してロール感がかなり薄れているのは、スポーツサスペンションキットが素晴らしい仕事をしているからと推測される。ローダウン化とスポーツサスペンションが相まって、ふわふわした感じは全く無く接地感の高さを感じた。ハンドリングもゆるい感じが無く、操作系もかっちりとした印象を受けた。
最後にNOTE e-POWER NISMOだが、モーターのみで駆動するこのクルマの加速感を変更することで、よりスポーティな特性にリセッティング。Sモードとエコモードの切り替えで、特性の違いをさらに感じやすくリセッティングしたとのこと。
外装部品は、フロントグリル、フロントバンパー、サイドシルプロテクター、ルーフスポイラー、カーボンドアミラーカバーなどが装着。どのエアロパーツもSUPER GT GT500クラスの空力チームがデザインしている。サスペンションは、オーリンズ製のダンパーをオリジナルチューニングしたモノを装着。上質でスポーティな乗り味になっている。
まず、エコモードで試乗を開始した。航続距離を伸ばすため、出力を抑えた仕様だ。それでもモーター特有のトルク感は失われておらず、0kmスタートでももたつくことは無かった。普段の街乗りであれば、全く不満は出ないであろう。ところが、Sモードに切り替えると特性は一変する。モーターならではのトルク感は増大し、鋭い加速を見せる。2リッターターボに匹敵すると言う謳い文句に偽りなし。それどころか、ラグタイムがない分2リッッターターボを凌駕する勢いだ。しかも回生力を高めているため、ブレーキを踏まずに停止するほどだ。多少の余裕を持ってコーナリングを楽しめば、ブレーキを踏まずアクセルのみのワンペダルでスポーツドライブを楽しめてしまう。普段はエコモードで走り、峠ではSモードで楽しむ。1台で2台分楽しめるのがNOTE e-POWER NISMOだ。
(写真、テキスト 折原弘之)
折原弘之
F1からさまざまなカテゴリーのモータースポーツ、その他にもあらゆるジャンルで活躍中のフォトグラファー。
作品は、こちらのウェブで公開中。
http://www.hiroyukiorihara.com/
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