富士のナイトセッションと気になるクルマ ~スーパー耐久プレシーズンテスト~

国内のモータースポーツシーズン開幕まで、あと少し! そわそわの毎日ですが、3月3日(土)、富士スピードウェイ(静岡県駿東郡尾山町)にて開催されたスーパー耐久シリーズのテストに行って参りました。今季のトピックとして、タイヤの供給メーカーがピレリタイヤに代わったことが大きいですが、シリーズの第3戦に、富士SUPER TEC 24時間レースが開催されるという事にも注目ですよ。24時間耐久!世界中でやってる、あれですよあれ!

富士で開催されるスーパー耐久シリーズは、毎年少しずつ決勝レースの時間が増えて行き、とうとう昨年の10時間が最長となっていました。10時間まで来て、さてどうするの?と思ったら、いきなり24時間です! とうとうやるのか?ですが、このシリーズの名物となっていた十勝24時間レースがなくなってから、若干さみしく思っていたので久しぶりの24時間復活は、非常に楽しみです。今回のテストは、24時間レースも見据え夜間走行のテストも組み込まれていたので、雰囲気含め、好奇心の赴くがままに富士を訪れてみました。

公式テストとしては、ワンデーだったのですが、日中、セッションが3回ありました。新しいタイヤでのセッティングにどのチームも集中。みんな初めてだから、スタートラインが同じというのは、遣り甲斐にも繋がると思うのは私だけかしら。どこがいち早く攻略して行くのか?チーム体制も重要となりますが、参加型レースでもあるので、そこはそれぞれのチームが主眼とするものにフューチャーして、シーズンが進んでいくのが一番ですので、良いシーズンになることを祈ってます。また、まだチーム体制が固まっていないところもあり、このテストがオーディションも兼ねていた所もありました。今月末の鈴鹿サーキットでの開幕まであと少し!万全な体制で臨んでくださいませ。

そして、楽しみにしていたナイトセッションですが、初の夜間走行に備えるサーキットには、LEDのライトなどが設置され、メディアには、安全な光る?が配布され、どこからでも存在がわかる体制で、走行がスタートしました。危ないですからね、真っ暗だから。

(私の写真でお許しを…)

ピット周りは当然明るかったです。スタンド側の電気も灯っていましたので余計キレイでした。Bピット側にも、ピットの上にライトがつけられ、煌々とピットロードを照らしていました。

コースサイドを見渡すと、暗い中、カメラを構えた方々も多く、どんな写真があがってくれるんだろうとワクワクしましたね。露光を調整した光の帯も楽しみだし、幻想的な光の少ない写真も好き。ま、単純に自分の好みで話していますが、普段なかなかお目にかかれないシチュエーションでのレースですから、写真好きには楽しみもいっぱいですね。本番のリハーサルにもなった方は多かったのではないでしょうか。

コースサイドは当然真っ暗ですが、暗い!と文句を言ってる方がいたとか居ないとか?そもそも夜だからね!←これは、自分に言い聞かせていると言っても過言ではありませんが…。ニュル(ニュルブルクリンク)だって真っ暗だよというのが、メディアさんのお言葉。そだね~と思いつつ、本番は沢山写真の練習もできそうなので、楽しみです(すみません…)。それと、本番の5月末は、今と違って気温が高いから“虫”がいるのでは?とおっしゃっている方もいましたが、これは期待を裏切ってくれることに期待です(笑)。

そして、ちょっと気になっていたクルマがいましたのでご紹介。トヨタ自動車のモータースポーツ活動の発表のリリースにあったレクサスRC F GT3。スーパー耐久に参戦するというのは、気に留めておいたのですが、誰に聞いてもわからないので(笑)、逆に気になっていました。お名前のあったGT3のカスタマーチーム、MAX Racingの全貌が富士でわかりました。

チーム監督は天野定宣氏、ドライバーは、AドラがオーナーでもあるGo Max選手、Bドラが大ベテラン田中哲也選手、Cドラが欧州でのレース経験も豊富な若手、佐藤公哉選手という新規チームでした。メンテナンスガレージは、土屋エンジニアリング。そう武士さん(土屋武士選手)とこでした。

2月7日にシェイクダウンし、これまで先月の23,24日にテスト。3月2日と今般でテストというスケジュールなそうです。これまでは、ドライバーがクルマに慣れるのがメインだったとのこと。今回だけ、こんな姿を拝めました。

(私の写真でお許しを…)

この日は、走行枠が沢山あったので、乗っておいた方がわかりやすいという事でドライブしていました。エンジニアが乗れるというのは、チームの強みですね!前回までのテストでドライバーからエンジニアへ伝えられていたクルマのインフォメーションを、自分で確認できたそうです。そして、もっと大げさに言ってくれたらよかったのにと思ったとか。なるほど。言葉のニュアンスって、何事もそうですが大事ですよね。今回のテストを終えて、結果的にクルマはまとまっているとのことでした。

スーパー耐久にこれまで参加しているチームは、どのクラスも経験豊富なチームが多いですよね。そこへ、新規参戦、初めてのクルマ、初めてのタイヤと初めてづくしでチャレンジするのは、思いの外、大変で他のカテゴリーの準備もしながらバタバタだったと、職人武士さんでも大変だったそうです。

こちらのチームは、富士でテストした2日間で900キロ、この日、700キロも走ったそうですが、こんなに走ったけど、ライトがまだ耐久用になっていないので、今日はまだ走ってみたという感じ…、と走行距離に見合わない軽いタッチで武士さんはコメントしました。

そして「ここまでモノを揃えるのが一番大変だけど、でもレースは得意だし、クルマのセットアップは固まったから、安心してドイツ(ニュルブルクリンク)に行くことができる」と。「レースは得意だし」に、大きく共感しました。今年は、ニュルブルクリンク24時間レースにも、TOYOTA GAZOO Racingから参戦しますので、本戦までVLNもあるし、そっちのクルマづくりも佳境を迎えましたよね。ドライバーとして裏方のエンジニアとしての土屋武士は、まだまだ職人として息の長く仕事をしてくれるでしょう。

新生スーパー耐久シリーズも時間作って追いかけようかなと悩み中(笑)。レースが好きすぎて、そこで頑張る裏方のみなさんが好きすぎて困っております。わくわくのシーズン開幕まで仕事も手につきませんが(笑)、みなさまと一緒にこのカテゴリーも楽しみたいと思います!今月はテストだらけ!それでは、また!

(写真、折原弘之 テキスト、大谷幸子)

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road