切ない振り返り ~スーパーGT 第5戦現場レポート~

みなさま、こんにちは!トップの画像は、スーパーGT 第5戦 富士500マイル決勝日のスナップ写真。無線のケテル岡本さんがくださった写真ですが、いろいろあった中で印象深い振り返り写真となりました。 “泣けたトピック(言葉の重みがおかしいですね)”を振り返ります…。

もうご存知のあの件、走り始めのフリー走行で起きた大クラッシュです。1コーナーで、ブレーキにトラブルが起きレーシングスピードのまま停まれなくなった38号車 ZENT CERMO LC500立川祐路選手がスピン、前を走行していた34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3 道上龍選手が後ろから追突され、巻き添えとなってしまいました。動画が拡散されていたので、ご覧になった方も多いかと。激し過ぎますね。立川祐路選手もこれまでのレース人生で、一番大きなアクシデントだったようです。

立川選手が、病院からサーキットへお戻りになった際に、足を引きずる様子が見て取れましたが、こういう状況を、私はどうなった?と普段でもあまり聞けない性格でして(野次馬みたいでイヤなの…)、チームが落ち着くのを待つのが得策だと思ってさ…。夜、帰る時に、ピットをのぞいて作業をしていたのは見ましたが、頑張れ!と祈りながらそっと帰りました。

34号車をドライブされていた道上龍選手ももちろん無事でしたが、不意のアクシデントで腰が痛むご様子。ピットウォークでは、ファンサービスをされていて、大丈夫ですと元気に答えてくださいました。この時点で、私は34号車があまりにキレイにピットに鎮座していたので、メディアセンターで耳にしたにも関わらず、前から見るとキレイだったので、全損と全く気づかずに過ごしていました。フレームまでいっちゃって、エンジンだけ無事という、どうにも走れない状況で、参戦を諦めざるを得ない状況でした(後からチョンくんに聞いたの…)。

日曜朝、ピットを訪問。チョン・ヨンフン監督夫妻は友人でもあるので…。チョンくんから、今後のレース参戦が厳しいこと、クルマをあたらしく用意しなくてはいけないこと、クルマのお値段も伺いましたが、これはかなりの負担でびっくりしました。しかし、シリーズを戦うことでスポンサーさんもいらっしゃいますし、きっと参戦を取り止める訳にもいかないだろうしと、ただただ切なくなりました。レース中も、チーム全員でレースを見ていました。ピットまで行ったのですが、写真を撮れなかったです。そっと立ち去りました。

そして8日!新車購入を決断し、レース活動を続けることが、道上龍選手のSNSを通じて発表されました。今、決断をしないと、鈴鹿10時間が間に合わないタイミングでもあったようですが、ホントこれすごい決断です。買えたとしても(イタリアから空輸)今後が大変と聞いていたので…。戦うことを諦めず大変な時を過ごしていたのですね。直近の鈴鹿10時間レースは、宿なしの私ですが(笑)、イタリアからクルマ買うよりも泊まるとこ探すのは簡単!行こうと思っているので、レポートできればと思います。みなさん、頑張って!

38号車は、終わってみれば8位フィニッシュ。日曜日には、土曜に見送った石浦宏明選手の100戦記念のお祝いも、やはり34号車のチームに気遣いながらも行っていました。「こんなことやってて良いのかな…」と、口にしたのは石浦選手。立川選手も、複雑なお気持ちなのは間違いなく、レース後にチームのブログを綴ったりしていました。ケーキを一日置いてしまったので、出てくるなり素敵なケーキに、「これ腐ってますから」の石浦選手の言葉は爆笑でしたね。若干、けがをされた立川選手もいらしたので、張り詰めた感あったのに(笑)。

お二人もドライバーですから、クルマが目の前にあって走れない無念さは痛いほどわかっていらっしゃいます。だからこそ、気遣いは忘れていませんでした。こちらが真面目に心配すると、心配させまいと自虐ネタでごまかすところも、彼ららしいですホントに。靴、履けますかと伺った時の立川選手の表情…。レースとなれば痛くても履くよ!ってお顔。手で、そんな話題不要という感じで払いのけるジェスチャーをされましたね…。ドクターストップがかからなければ、痛くても全開で行くんだろうなあとも思いましたが、プロですね…。

メカさんたちが朝5時半までかかって、クルマを修復しましたが、そうなると、今度は走る体制に気持ちを持っていかないといけません。クルマが出来て、今度はTRDの手により細かな作業も施され、何事もなかったかのようにグリッドにつきました。GT500クラスは、モノコックが無事であれば、どうにか修復が可能であるというのは、なんとなくわかってはいました。しかし、あんな姿にまでなってしまったクルマですから、グリッドについたとしても、完走も出来ないのでは?と正直思いました。もしくは、「完走」を目指すくらいの話なのかなと。セルモさんごめんなさい! めちゃくちゃフツーにレースをしていましたね。天晴れです。何も言うことありません!

最後に、12号車 カルソニック IMPUL GT-R!

これは、行くだろうと思っていましたが、最後にまさかのトラブル。優勝は富士の得意なインパルさんか思っていましたが、残り20周でインタークーラーのパイプが外れ緊急ピットイン。これは痛かったね。優勝を確信するにはまだ早いかもしれないけど、視野に入ってきちゃう終盤。心のダメージがキツイですこれは。星野一義監督へのおめでとうは、お預けになりました…。

レースでは、このような事は珍しい話ではないのです。カラダにもクルマにもココロにも痛みを伴い、そんなシーンを間近で見ちゃうことは常にあります、今回は切なくなりましたよ。クラッシュの後の明暗が分かれてしまったこともありましてね。またサーキットで彼らも含めたみんなを応援したいと思います。いつもトラブルがあってはいけないけど、こんな大変なことを傍らで見ると、応援したくなるし、人としての魅力にやられちゃいますね…。では、また!

(写真:KTEL・折原弘之・大谷幸子 / テキスト:大谷幸子)

[ガズー編集部]

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