ライバルは常にそばに… ~SUPER GT第3戦 現場レポート~
やっと晴れました!SUPER GT 第3戦が、5月24日(土)公式予選、25日(日)決勝が行われました。晴れたのは良いのですが、一昨年まで8月下旬に開催されていた“鈴鹿千キロ”を彷彿とさせるような“暑さ”に見舞われ困惑しました。とにかく望んでいたドライコンディションでレースが行われ安堵。レクサス勢にとっては、アウェイの鈴鹿で、レクサス表彰台独占という驚きの結末でした。
今回は、トムスのワンツーでしたが、チーム内で、上位のクルマを先にピットにいれるというルールと、もちろん2台とも速かったですが、関口雄飛選手の後続を引き寄せて、タイヤを使わせ、一気にラストスパートを飾るという作戦。会見では、人の嫌がることをされた事があるからやったとおっしゃっていましたが、それも作戦ですよね。どんなクルマもストラテジーがありますが、見事にハマったレースウィークでした。
タイヤもシーズンオフのセパンテストで使用していた実績にあるタイヤだったとか。気温があがっても心配なかったとのことです。土日ともに、同様のコンディションだったことも、味方したでしょう。気になったのは、ニック・キャシディ選手がスタートドライバーではなかったこと。今回は、自らセカンドを選択したそうです。トップチェッカーを受けたいという気持ちの現れでしょうか。そんな気がしてならないです。
現場入りする前から気になったのは、トムスのウェイトが軽かったこと。36号車2キロ、37号車8キロ。あまり見たことがなかったですね、戦績調べた訳ではないけど。「ここで勝たないで誰が勝つ」と、トムス東條力エンジニアがおっしゃっていましたが、チームも取りこぼしていた分、勝つことがマストという意識はあったようです。ウェイトハンデ2キロとか、食べすぎ飲みすぎの“誤差”です(私の場合…笑)と、冗談で言ってました。
前回、36号車はエンジンブローでリタイア。フレッシュな二機目のエンジンは、無事に優勝をもたらしました。今季は、2機までエンジンの使用が可能。3機目を使用する際は、ペナルティが課せられます。まあ、これは誰もがそうですし先のことなので、考えてもしょうがない、とにかく残りシーズンを見届けるだけです。
38号車は、43キロとずっしりでした。前戦で優勝していますから当然ですね。しぶとく行って、6位入賞!そして、ポイントリーダーです。今季復調したと言ったら失礼かもしれないけど、GT-R勢の雄、23号車が残念ながらリタイアしてしまいました。これは、びっくりでした。それでもランキング2位で、トップ38号車と2ポイント差。シリーズを牽引していく立場には、もちろん変わりはないでしょう。本当に速いんだもん。今、ランキングの話は、時期尚早でナンセンスですけどね、すみません。
1号車のリタイアも驚愕で…。GT300クラスのクルマとあたってましたが、チャンピオン、開幕戦もノーポイントで、ただただ信じられませんね。反面、まだウェイトが軽いということで、どこかで圧勝した勢いで巻き返しを図って来ることは間違いないでしょう。
今回、強く感じたのは、以前から見て来ていますが、ライバルが常に一緒にいるチームの戦いは、すごいなと。何がすごいって、悔しさも間近で感じるわけです。現在のトムスは、3カテゴリー、SUPER GT、SUPER FORMULA、F3に、それぞれ2台ずつ、計6台エントリーしています。常に戦いです。負けっぱなしの体制になってしまうこともあります。かと言って、言い訳もできない。勝たないと笑顔になれないのです。だから、常に勝つことに集中しています。もちろんどのチームもそうですよね。
予選後のドライバーの表情、メカニックの表情、ついつい見ちゃうんですよね。やっぱりチームとしては“一つ”ですが、クルマは2台。個々にクルマに携わっている訳で、今回、予選も決勝もワンツーでしたので、チーム的に大団円ではあるけど、悔しそうな顔を見ると、頑張れ~ってお母さんは思うのでした。身近にライバルがいるのは悔しいこともあるけど、強みでもありますよね。
メカニック同士もバチバチにやっている姿も今まで見て来たし、いまや、2台のどちらが勝ってもおかしくない体制で、ほんと素晴らしいバチバチがチーム内にある。男の仕事だなと、常に思います。「2位じゃダメなんですか?」というどこかで聞いたようなフレーズは、勝負事ですから、はいダメなんですと、即答しちゃうでしょう。もちろん勝ち方にもよりますけど、表彰台くらいじゃ喜ばない、一回優勝したくらいじゃ、今でも集合写真とか撮らないチームだと思いますよ。ま、写真どうのこうのは、どうでも良いことですが、プロの仕事だとチームのうちの1つですね。
そう思うと、6号車の悔しさも相当のものでしょう。同じメーカーの身内、データは共有しているので、大まかな戦い方は予想がつきます。そんな知らないことの少ない狭い領域で、ドライバーのスキルだけは読めません。未知の力を駆使して戦うのがGT500クラス。大雑把過ぎますね…、許してね。とにかく、身内にも負けたくないはずです。山下健太選手がドライで走るのを見たかったので、今回しっかり見ましたが、かなりの戦力なことがわかりましたよね。6号車の優勝も近いのか?見てないですものね、最近。楽しみにしてますね。
最後に、設営日のこのコがとても癒しでした。開幕戦でも見かけたのですが、ニック・キャシディ選手のファンのTちゃん。サーキットにご両親と来ているうちに、ニックのファンになったそうです。ジーンズにスニーカーで、女子!って雰囲気を醸し出しているんだけど、ちっちゃいから、まあかわいらしいこと。とっても癒されましたよ。ニック、レースウィーク、ナーバスになるんだけど、ファンサービスの時は笑顔。「ガールフレンドだね」というと、笑っていましたが、国旗持参で来たこのコの姿には、ニックも大喜びでした。また来てね!
SUPER GT、次のラウンドは、タイです。いい感じの3メーカーの三つ巴…、シリーズが盛り上がりますね。今年も、タイの現場は設営日からおりますので、いろいろお伝えできそうです!では、また!
(写真:折原弘之 / テキスト:大谷幸子)
レポーター(お)ねえさん・大谷幸子
随時、クルマに関する様々なイベント・テーマでレポートしていきます!
[ガズー編集部]
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