LEXUSの表彰台独占と同士討ち! ~SUPER GT Rd4 現場レポート~

ただいま!SUPER GT唯一の海外戦、タイから帰国しております。LEXUS勢、過去5年で4勝を挙げているタイラウンドですが、終わってみれば、LEXUS勢が表彰台を独占しました。LEXUS勢の話ばかりになりますが、簡単に振り返ります。

開催地は、タイの首都バンコクから、約400km離れたブリーラム。私の住んでいる横浜から、鈴鹿、もしくは菅生へ行く距離です。道路事情は、毎年良くなっていますが、休憩入れてだいたい7時間くらいかかったかな。

今年も長旅のお供はハイエース。かなりチューニングされ、日本ではあまり見たことがないデコラティブなクルマたちと共に往復しました。今年もお世話になりました。ありがとうございました。

タイは、親日ですので本当に居心地も良く、苦手な方の多い辛いものやパクチーをのぞけば、タイ料理はフツーに食べやすく、濃くない中華料理と言ったところでしょうか。今回もせっかくのタイ出張、ブレずにタイ料理を1週間食べ続けました(笑)。現地現物…です。

さて、もうご存知かと思いますが、優勝は6号車 WAKO’S 4CR LC500(大嶋和也/山下健太 組)。チーム ル・マンは、2013年6年ぶりの優勝となりました。タイヤ選択はさておき、速さとピット作業で優勝を勝ち取りました。

印象に残るポイントを振り返っても、そこしかない素晴らしいレース!お見事でした。ポールトゥウィンですね!何よりこの総合力で勝ち取ったことは、今後の自信につながります。久しぶりの勝利が完璧だったことは、何ものにも代えがたく、士気も上がることでしょう。

チーム ル・マン、ここ数年なかなか優勝にたどりつきませんでした。チーム体制も大きく変わりましたが、かと言ってレースはすぐに結果に結びつきません。でも、何かチームが変わる糸口を与えてあげたい、そんなチームでした。あとちょっとという結末に、泣かされてきた感がありますね。

監督も4年目を迎え未勝利。焦りがないかと言えばウソになりますよね。サポートする体制は万全かつフレンドリー。どこのチームもそうですが、毎年、素晴らしい体制を作ってシーズンに臨みます。

スポンサーさんと共に、スタッフと共に戦うのがモータースポーツ。人の縁も大切なんだよね。技術的なことだって、人が手掛けるものだから、人あってこそ…。そんな体制が揃ってってやっと勝利に結びつく。

人の入れ替えもとても気になるレース業界。今年のキーマンは、阿部エンジニアがチームル・マンに戻ってきたのもそうですが、山下健太選手の加入も大きいね。彼、本当に速いです。某19号車の監督さんは、『あいつは感覚で走る天才で関口タイプ』と言っていました。

彼の速さはトップカテゴリーにステップアップすると、すぐに開花しましたね。スーパーフォーミュラでも、初年度からポールポジションを獲得しています。

同じく同カテゴリーに同時にデビューしたニック・キャシディ選手も初年度から同様に大活躍。2年目には、コンド―レーシングがチームチャンピオンを獲得するなど、おもしろい存在です。

山下健太選手の速さは顕著に現れ、予選も初めてではないですが、Q2を担当。ポールポジションを獲得しました。ゆえに決勝は、スタートを大嶋和也選手だったのかな。他のチームでもドライバーの出走順については、入れ替えがあるので珍しいことではないですが、ずっと後半を担当してきた(違ってたらごめんなさい)大嶋選手がスタートを担当するのは、異例に思えました。もしかすると、心の葛藤があったかもしれませんね。これは想像です。

今シーズンは、開幕でLEXUS勢が振るわなかったことが、シーズン序盤、軽いウェイトで、2,3戦の勝利をもぎ取ったかなと思っていました。しかし、タイでは、ウェイトの影響をあまり感じない結果となりましたね。得意なサーキットということもあるのかもしれませんが、なぜ結果が良いのかよくわからないという関係者も実は多いです(笑)。

19号車WedsSport ADVAN LC500(国本雄資/坪井翔 組)は、予選2番手。新人くんも速くいい感じです。ヨコハマタイヤももちろん自信があると思います。過去に勝ってますしね。

グリッドウォークが終わり、メディア―センターに戻ろうとしていた私を、坂東正敬監督が呼び止めました。ん?謎の会話をしました。その表情、声色、とっても自信があるから私に声をかけたんだなと思います。今回、優勝はできませんでしたが、シーズンの行方を見守りたいと思います。

39号車DENSO KOBELCO SARD LC500(ヘイキ・コバライネン/中山雄一 組)が、予選Q1落ちでしたが、終わってみれば5位。こういうところ、LEXUSはレースに強いと感じます。

コバライネン選手には、奥様とご一緒のところ、帰りの空港で遠くから声かけていただき、ありがたく。中山選手は、お父様から声かけていただきましてね。500へのステップアップは、見届けたいですよね。このチームも体制が大きく変わっていますが、頑張っていますよ!

そして、ポイントリーダーで臨んだ38号車ZENT cerumo LC500(立川祐路/石浦宏明 組)は、予選最後尾から、7位でポイントゲット。やっぱりLEXUSが得意なサーキットにしておきましょうね。ランキング3位。ずっしり重いウェイトで、よく戦いましたよね。

この立川/石浦 組がチャンピオンを未だ獲ってないのが不思議なんです。次の富士は、38号車がどのクルマよりも一番得意なサーキット。ウェイトが重い中、どんな結果になるのか、楽しみにしたいと思います。

そして、トムスの2台。今の体制は、2台体制の中でも過去最強じゃないかなと昨年から思っていますが、今回の36号車au TOM’S LC500は、まさかの結末でしたね。チーム内での同士討ちは、なんとももったいない。他との接触は良いのかと揚げ足取らないでね。

まあ、終わってからは、こうしていくらでも書けちゃうのですが、優勝が射程圏内にある走りを見せていただけに、残念でした。コースオフしてクルマが跳ねてましたが、クルマのダメージも、中を見てみないとわからないということで、急遽、空輸されることになったそうです。

月末に船便でクルマが戻るのですが、そこでダメージが大きいと、次の富士に間に合いませんからね。そして、偶然ですが、空港に向かうサービスエリアで、36号車に遭遇しました。満身創痍で次に臨むというか、ダメージが最小だと良いですね…。

37号車KeePer TOM’S LC500は、新婚さんでパパになった平川亮選手が(おめでとうございます!)、スタート直後、インから寄せて来たクルマからの接触を避けるためオーバーラン。ポジションを落としましたが、ピットインする際には、ポジションをしっかり挽回してニック・キャシディ選手に渡しました。強さありますね。

その後は、セーフティーカーがキーとなる訳ですが、トップ争いの前に、36号車を押し出してしまったこと、残念でした。チームは、チームオーダーもないし、舘総監督は、チーム内だろうがバトルは大歓迎で、この結果に関して誰も責めないというスタンス。これは、ドライバー自身が考えろということですよね。

レース結果を受け、チーム内では明暗が分かれましたが、後のことはチームにお任せ。常勝チーム、どちらのクルマも速いがゆえの今のトムスらしいレーシングアクシデントでした。1台分、ラインを残すべきと思う自分もいますけどね。

ただ、6号車の山下健太選手と、37号車のニック・キャシディ選手のバトルは素晴らしかったです。当ててでもと言ったらダメかもしれないけど、トップを守りたかったという健太。本当に素晴らしいバトルを見せてくれました。鼻先並べてどんだけ走ったでしょう。あれは見応えありすぎましたね。終わったあと、ぶつけてゴメンという仕草をした健太。

ニックは、あんなバトルができて勝てなくても、上機嫌でした。お互いを称えあっていました。あの走りは、SUPER GTでも記憶に残るシーンだと思います。若手の二人の高速バトル。あんなのなかなか見られません。終わってみれば、表彰台独占でタイラウンド終了です。

長くなってしまいましたが、今回は、LEXUS勢が大健闘でしたが、この先、重くなったウェイトハンデと燃料リストリクターを絞られパワーがちょっとなくなるクルマでLEXUS勢より比較的ハンデの少ないホンダ、日産勢とどんな戦いをするのか、楽しみです。

次戦、SUPER GT第5戦は、昨年から500マイル(800㎞)レース!8月3,4日に富士スピードウェイにて開催されます。まだサーキットに来られたことのない方!走る距離の長い分、走るクルマもイベントもたくさん楽しめますよ!ぜひサーキットへ! GTタイでの写真は、( https://www.instagram.com/yucco_ne_san/ )をご覧くださいね!では!

(写真:折原弘之 / テキスト:大谷幸子)

[ガズー編集部]

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