スーパーGT Supra is Back! GT300クラスにもGRスープラ参戦中!

開幕から早3週間!今季、スーパーGTはコロナ禍でようやく開幕を迎え、短いスパンでシーズンの残り7戦が開催される予定となっています。

GT500クラス、GRスープラ陣営にとっては幸先の良いスタートを切ることになりましたが、もう一台いましたよね…。

ディーラーチームとレーシングチームの老舗とは参戦スタイルは似て非なる。長年埼玉トヨペットGreen Braveのレースを取材しているライターの奥野大志さんに、レポートしていただきましたよ、どうぞ!

というわけでGRスープラがデビュー戦で上位を独占したスーパーGT開幕戦。でも、群雄割拠のGT300クラスを制したもう一台のGRスープラを忘れていませんか?

それが埼玉トヨペットGreen Brave(GB)のGRスープラ。デビュー戦とは思えない横綱相撲ぶりは、多くのファンに衝撃を与えました。一体どんな生い立ちなのでしょうか?

GT300のGRスープラ、正式名称はGRスープラGTと呼びます。おしりにつく「GT」の二文字は「JAF-GT」からとったもので、このマシンがJAF-GT規定に基づいて開発されたことを意味しています。

JAF-GT規定とはスーパーGT独自のレーシングカーの規格。主なライバルであるFIA GT3と異なり、改造が許されているのが特徴です。

どちらもオーガナイザーが定めるBOP(性能調整)により、性能の均衡化が図られるのですが、JAF-GT規定は車両の特徴を打ち出しやすいため、オリジナルマシンにこだわるチームが導入しています。

ちなみにGRスープラGT以外のJAF-GT規定のマシンはマザーシャシーをのぞくとプリウスとBRZ。個性あふれる面々ですよね?

埼玉トヨペットGBは昨年まで、マークXのオリジナルボディを搭載したマザーシャシー(マークX MC)で参戦。JAF-GT規定と同じく、マザーシャシーも改造が許されており、マーケティング面と技術力強化に力を入れる埼玉トヨペットGBは、3年間にわたりマークX MCで戦ってきました。

しかし昨年、マークXが惜しまれながら販売終了。ニューマシンを投入する必要が生じ、GRスープラをベースとしたJAF-GT規定のマシンが選ばれたというわけ。

エンジンこそRC F GT3と同じV型8気筒を搭載していますが、AピラーからCピラーまでの骨格は純正を使用。ボディの中身は市販車とは別物ですが、ルックスはGRスープラそのものです。

また、車両の開発にはサプライヤーが協力していますが、埼玉トヨペットのエンジニアも開発に参加。風洞実験を行って開発したボディワークやネジ1本まで突き詰めた軽量化など、これまでのレース活動で得た知見が投入されています。

多くのメディアで報じられている通り、開幕戦でデビューウィンを達成できた大きな要因は、タイヤ無交換作戦をノーミスで実行できたこと。2回のセーフティカー(SC)導入により、タイヤを温存できたという言い方もできますが、2回目のSCではタイヤ無交換で得たマージンも削られており、外から見るほど楽勝ムードではありませんでした。

デビューウィンを達成できた理由は2つ。まず、スタートドライバーを務めたルーキー、川合孝汰選手がプレッシャーに押しつぶされることなく、スタートからノーミスの走りを披露したこと。特に序盤の連続オーバーテイクは見ていてとても安心感がありました。チーム関係者の中には、トップ争いから一歩引いた予選4位というポジションが結果的に良かったと分析している人も。

また、タイヤ無交換でバトンタッチした吉田広樹選手のペースが、思いのほか、良かったのが2つ目。タイヤを交換した11号車GAINER TANAX GT-Rとの差が急激に縮まり、緊迫するシーンもありましたが、マシンにムチを打って逃げる姿には本当に驚かせられました。気迫あふれる吉田選手の走りにはベテランの風格が漂っていました。

ここからは推測ですが、GRスープラGTはとにかくタイヤに優しいマシンではないかということ。関係者の間で評価の高いブリヂストンタイヤの性能に助けられている面はもちろんあると思いますが、それを差し引いてもタイヤのロングライフぶりには目を見張るものがあります。

で、チームは当然そのことに気づいていて、決勝の作戦は端からタイヤ無交換一択。そして、ノーウエイトの開幕戦はそれを決行するには最適なラウンドだった。つまり、最初から一本釣りを狙っていたということで間違いないでしょう。

空力なのか、足まわりのセットアップが効いているのか、その理由はわかりませんが、本格的に走り始めてまだ半年も経っていないのに、恐ろしい仕上がりぶり。おそらくタイヤにはまだまだ余裕があったのではないでしょうか?

GRスープラGTは数あるGT300クラスのマシンの中で、抜きん出たポテンシャルを持つ1台に間違いありません。チームの技術力の高さには本当に驚かされます。

第2戦は8月8日(土)~9日(日)、開幕戦と同じ富士スピードウェイで行われます。GRスープラGTが背負うウエイトは60kg。先日、レース中のタイヤ交換(4本)が義務付けになったというニュースが飛び込んできましたが、涼しい顔で連勝できたら間違いなく本物です。

テレビ観戦の際はスーパーGTのライブタイミング(アプリ)も併用して、ラップタイムの変化をチェックしながら観戦してみましょう。

写真:GTアソシエーション、テキスト:奥野大志、編集:大谷幸子

[ガズー編集部]

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