坪井翔参戦2年目で初優勝!やっぱりドラマの生まれる岡山でした! ~スーパーフォーミュラ第2戦岡山現場レポート~

スーパーフォーミュラ第2戦の開催された岡山国際サーキット(岡山県美作市)に行って参りました。

  • N-ONE オーナーズカップには、以前よりモータースポーツと関わりの深いあのロックバンドグループのメンバーも参戦

このレースウィークは、あらためて振り返りますと、スーパーフォーミュラ(SF)の他にスーパーフォーミュラライツ(SFL)、TCRジャパン、N-ONEオーナーズカップ、パーティレースなどレースがてんこ盛りで、フォーミュラーカーとハコという組み合わせでいろんなエンジンの音を聞くことができます(マニアっぽいかな)。今季は、いや今季もSF、SFL、TCRジャパンがセットでシーズンを転戦しにぎやかなのですよ。

  • スーパーフォーミュラ 36号車 代役を務めた宮田莉朋選手

今回は、いや今回もですが2つのカテゴリーをかけ持ちするドライバーさんがいました。開幕戦でも見られましたが、スーパーフォーミュラ(日本のフォーミュラのトップカテゴリー)とスーパーフォーミュラライツ(昨年までの全日本F3選手権、プロへの登竜門です)の2つです。
  • 代役を務めた3号車 阪口晴南選手

先週、ル・マン24時間が開催されましたが、コロナ禍で次のSFのレースまで日も浅い事から今回の参戦が残念ながら叶わぬドライバーさんたちがいました。
  • 代役を務めた7号車中山雄一選手

中嶋一貴選手、小林可夢偉選手、山下健太選手の3選手です。中嶋選手は、ル・マン24時間3連勝の偉業を達成しました。おめでとうございます。ぜひ現場でおめでとうと言葉で伝えたかったのですが、今年は仕方ないですが、そんな世界をまたにかける彼らの代わりに走ったのは、中山雄一選手、宮田莉朋選手、阪口晴南選手でした。その3人の中の宮田選手と阪口選手がダブルヘッダー、SFLでも熱い戦いをしましたよ。
  • スーパーフォーミュラライツで36号車の宮田莉朋選手

SFLについて振り返ると、第4戦も第5戦もセーフティーカーまで入る戦いでしたが、第5戦のスタートでトップに立ったのは4戦全勝中の宮田選手ではなく、予選2番手からスタートの阪口選手でした。

トップで1コーナーを過ぎた直後多重クラッシュ発生でセーフティーカーと若手が沢山参戦するF3の世界戦マカオグランプリを彷彿とさせる元気の良さでしたね。リスタート後は、宮田莉朋選手が追うカタチでレースが進みました。両者が飛びぬけて速く、スーパーフォーミュラの代役に選ばれるだけのチカラを持っていて、レースを引っ張りましたね。

前回のSFL開幕戦は二日間に渡り3レースが行われるスケジュールの中、気温が上がってしまい、SFと掛け持ちしたドライバーさんが体調を崩されたので、今回も若干心配していました(母目線)。

しかし、今回の岡山ラウンドは気温が下がった事と、ご本人たちも体調管理をしっかりやられたのだと思いますが、問題なくレースウィークは進み安堵。SFLの第5戦決勝は、阪口晴南選手優勝と代役の二人で一勝ずつを挙げました。

シーズン序盤とは言え宮田選手のトムスがてっぺんを獲れなかったことで、ますますバチバチの予感。また新たな熱量のもと、シーズンが盛り上がることと思います。入門カテゴリーもおもしろいので、ぜひみなさまにも見て欲しいですね。若い頃のドライビングスタイルが、ステップアップして行ってもそのままだったりと興味深かったりします。ですので、ぜひ熱い若手も見てくださいね。

そしてSF本番。スーパーフォーミュラの予選が、驚きの展開でした。宮田選手、第4戦の決勝から1時間くらいしか経過していない中、なんと2番手!フロントロー獲得でもう驚愕でしたね。オフシーズンのSFテストでめちゃくちゃ速かったという噂だけは聞いてましたが、これを裏付けてくれる証拠となりました。
と~っても楽しみにしていたSF決勝だったのですが…。阪口選手は、フォーメーションラップでスピン。戦わずして姿を消しました。く~っ残念。ここは経験値なのでしょうか。見たかったねえレース…。また、いつかチャンスあるといいね。
  • ポールポジションの19号車平川亮選手

また決勝スタート時に、スピンした車両が他車を巻き込む悲しいアクシデントもありました。さっそくセーフティーカー導入という波乱の幕開け…。これは無念がいっぱいでしたが、レースあるあるでもありますので、次に期待しています。

今回予選3番手となったルーキーのサッシャ・フェネストラズ選手。彼もスタートの混乱で姿を消しました。不運でしたが、彼の初優勝は、私は今季中に見られるのではないかと思っているのですよ。テクニックも文句ないのは、みなさんご存じでしょう。スーパーGTでの大活躍は、ランキングトップを譲ったものの、タイトル争いにしっかりからんでいます。

ここ岡山は、石浦宏明選手、山下健太選手など初優勝した場所、またここを得意とするドライバーさんもいて毎年ドラマの生まれるサーキットだったので、ひょっとしてなどと思っていました。とにかく大注目のルーキー、菅生でも気にして見てますね。

  • マシントラブルに見舞われ、あまり走ることができなかった14号車大嶋和也選手

  • 決勝スタートとアクシデント

  • オープニングラップから、セーフティーカーが入りました

  • セーフティーカー後の順位 坪井選手2位へ

そして、そのドラマは、今年は38号車、39号車JMS P.MU/CERUMO・INGINGに生まれました。スタートの混乱をすり抜け2,3番手にあがったのは、坪井選手と石浦翔選手の2台でした。今回は、持ってましたね。スタート時の1コーナーの混乱からは、同チーム対決へと展開して行きました。
  • 終盤までピットインせずに引っ張り、最終的に3位表彰台を獲得した1号車ニック・キャシディ選手

  • こちらもピットを終盤まで引っ張り7位となった18号車国本雄資選手

石浦vs坪井の直接対決もありまして、当然ですが行くしかない!と思ったそうです。見応え満載でとてもおもしろいレースでした。最年長の石浦選手は、後輩の強さも目の当たりにしつつ、ベテランゆえのプライドの2位、などなどいろんな感情が渦巻いた?と思いますが、ますます頑張れると思ったはずです。今回のレースでは若手が戦線を離脱していく中で、しっかり表彰台を獲得したというのが、さすがベテラン!と思ったレースでもありました。

号泣する坪井選手に、無線のむこうの菅沼芳成エンジニアは、「ここからがスタートだから泣くな」と。そして、「バイザーを上げなさい」と指示したそう。嗚呼、シビレます。一生懸命こらえてパルクフェルメに向かったそうですよ。じーん。レース後だいぶ経って、笑顔でうれしそうに帰っていかれるエンジニア様も拝みました。男の仕事は本当にかっこいいですね。チェッカーまでピットで見届けました。メカさんがつんつんって肩を…。勝ったよと、そして目でおめでとうとそんないつもの時間でした。

すぐSF菅生ラウンドも控えております。元気な若手の活躍も頼もしかったですが、ラインナップは変わるでしょう。コロナ禍で、戦えてない海外から入国できていないドライバーさんは気の毒です。良くも悪くもレースが立て続け。熱が冷めないのは良いのですが、出られないドライバーさんの環境が少しでも変われば良いのですがね…。

じっくりじっくり味わいたいプロのレース、シーズンのスケジュールが詰まっているので、流されることなくしっかり噛みしめながら伝える側も次へ進みたいと思います。

では、また!

写真:折原弘之、テキスト:大谷幸子
[ガズー編集部]

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