関谷正徳 レジェンドコラム 第1回 クルマ今昔とドライビングテクニック

みなさま、こんにちは! 関谷正徳です。GAZOO.comにてコラムを書かせていただくことになりました。クルマのお話、モータースポーツのお話をみなさまにお届けして行く予定です。よろしくお願いいたします。

クルマ今昔

最初に、昔と今のクルマの事についてお話しします。
私は16才の時、軽自動車免許を取得しました。初めてのマイカーは、マツダのキャロルというクルマでした。そのクルマは、16馬力と今では考えられないくらい遅い車でしたが、当時高校生の私は、得意げに走り回っていました。スタートして0から10メートルは、人間の方が速いくらいで、ゆったりした時代のなかで生きてきました。

トヨタ2000GTが発売された時の馬力は、確か150馬力だったと記憶にあります。ニッサンスカイラインGTRも確か2000CC DOHC。今では、全ての車がDOHCという仕組みのエンジンになっていて、DOHC「ダブルオーバーヘッドカムシャフト」という言葉は特別な言葉ではなくなってしまいました。

確かGTRは160馬力だったと思います。馬力だけで行くと150~160馬力というのは、今の時代では、少しだけ性能のいいクルマ。どちらかというと馬力のない方の部類に入るでしょう。その当時では物凄い性能の車だった訳です。しかし、今走らせてみるとビックリするぐらい遅い性能に驚かされます。今は、とんでもなく高い性能の車がごまんと存在しているわけですから。

その高い性能を出し切って走ることには、かなりのドライビング技術が必要になって来ていると思います。500、600馬力の性能は、今のスーパーGTやスーパーフォーミュラの馬力と変わらず、そんな車を誰でもお金さえ出せば手に入れることが出来る!凄すぎる時代になりました。

話は戻りますが、当時は1リッター100馬力の性能を出せばレーシングカーのエンジンとして使えました。が、今の技術では1リッター300馬力出す技術が生まれています。つい最近のF1がそうでしたが、あまりのコストアップで馬力を下げる方向でレースを行うというのが最近のモータースポーツ事情になってきています。技術の進歩と同じ時代に自分が生きて来られたことは、良かったとつくづく感じます。

この進化と共にエンジンだけではなく、ボディ剛性、タイヤの性能、ブレーキの性能も同じように進化して、今では、当時「1960年代」のレーシングカートヨタ7やR380よりも性能が良い一般車は数多く存在します。特に加速、制動力、横力「横G」は、今の市販車の方が優れていると思います。そんな凄い性能を持ったクルマを当たり前のように免許取り立てでも運転出来てしまうという今は、あの当時を考えると、ある部分怖さもあります。そのような時代の流れの中で、あの当時のドライビングと今のクルマの性能に見合ったドライビングは、少しずつですが変わってきていると思います。

ドライビングテクニック

それでは、次に、クルマのドライビングテクニックについてお話ししましょう。
皆さんの中には、レーシングカーの運転と一般車の運転は異なると思っている人が多くいると思いますが、私的にはレーシングカーもポルシェもプリウスも軽自動車も、全て同じ構造で出来ているので、取り扱い方法は同じという考えです。違いは、性能の違いでしかないので、ブレーキ、ハンドル、アクセルをどのぐらいの量で「入力」の操作をするか…の違いでしかないというのが私の意見です。

全てのクルマは、タイヤの上にバネを介してボディ、エンジン、人が載っているという構造でできています。エンジンがモーターに変わっても、基本構造は一部の電気自動車を除けばやはり同じです。また、エンジンの位置が「MR.RR.FR.FF」と変化しても、バネの上に載っていることに変わりはありません。エンジンは、大きくて重いのでタイヤに大きな負担を掛ける為、クルマにとってエンジンの位置は、非常に重要なポイントになってきます。

そして、バネ上重量をブレーキとハンドル、アクセルを使ってタイヤの摩擦力を変化させることにより4輪のタイヤの性能を自在に操ることが、クルマを安全にスムーズに走らせることができるドライビングテクニックになるのだと思っています。ブレーキの踏み方、ハンドルの切り方、アクセルの踏み方、これらをクルマの走行理論にあった取り扱い方をすることでクルマの運転が、どれだけ楽しいものになるかを実感して欲しいと願っています。

関谷正徳ワンポイントアドバイス!

【ブレーキ】
ブレーキを踏む時には、クルマを直進状態にすることがブレーキ性能を引き出す方法です。

【ハンドル操作】

ハンドルの切る量、切る速度が、そのクルマの性能を大きく変化させてしまいますから、速度が高い時にはゆっくり少しずつ、速度が下がっているならば、たくさん速く切り込むことで性能アップを計ることができるのでおすすめです。

【アクセル操作】
アクセルを開けるのは、ハンドルとの関連が大切です。アクセルを開ける時には、ハンドルを切り込むというのは、理論上、得意な構造にはなっていないので、アクセルを開けながらハンドルを戻して行くという作業になれば、正しい取り扱いをしているのだと認識してください。

これらを実践していくと、貴方のドライビングは飛躍的に上達して行くと思います。是非トライして見て下さい。それでは、また次回に! 関谷正徳でした!

(写真:大谷幸子)

[ガズー編集部]